サルサへペルーからの返礼 コサ・ヌエストラ [南アメリカ]
ペルーでもサルサが盛んなことは承知していますけれど、
現在のサルサに興味が薄れているせいで、
ペルーの「サルサ・クリオージャ」なるアルバムまで、とても手は回らず。
クリオージョ音楽の良質アルバムをリリースするサヤリー・プロダクション制作とはいえ、
なんとなくやりすごしていたら、「サルサ・クリオージャ」シリーズ第3弾は、
レーベルを移してリリースされ、日本盤まで出たのは正直意外でした。
それではと聴いてみたら、その新鮮な内容にびっくり。
まさしくその名のとおり、ペルーのクリオージョ音楽やアフロペルー音楽と
サルサをミックスしたものなんですけれど、
よく練り上げたアレンジで、ペルーらしい濃厚なサボールがあふれ出ていて、
イマドキのちゃらいサルサとは大違いの、コクのあるサウンドを聞かせてくれます。
3拍子系のペルーのクリオージョ音楽とサルサとのミックスゆえ、
サルサの肝であるクラーベは外れているんですが、そこに妙味があるんですね。
これまで脱クラーベといえば、キューバのティンバになってしまうパターンしかなく、
だからイマドキのサルサなんて聞く気がしないよ、となっていたわけですけれど、
サルサ・クリオージャは、ハチロクで脱クラーベの新たな方法論を提示したといえます。
オープニングのイスマエル・ミランダの“Abran Paso” に始まり、
ティテ・クレ・アロンソやラファエル・イティエールといった名作曲家たちによる
70年代サルサ・クラシックを数多くレパートリーに取り上げているのも、
単なる過去の再現にとどまらず、サルサを生み出したブロンクスのバリオ魂を
蘇えらそうとする気概を感じます。リマのペーニャ魂と共振するものがあったんでしょうね。
思えば、70年代サルサの歴史的傑作“CELIA & JOHNNY” で、
セリア・クルースがアフロペルーの名曲“Toro Mata” をサルサ・アレンジで歌ったんでした。
セリアのあの名唱は、多くのサルサ・ファンにとって忘れられないものとなりましたが、
サルサ・クリオージャは、セリアの“Toro Mata” に対するペルーからの返礼なのかもしれません。
Cosa Nuestra "SALSA CRIOLLA - LA RUMBA FINAL" Play Music & Video no number (2013)
2013-11-10 00:00
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