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ケルト・ミュージック・フロム・マン バルー [ブリテン諸島]

Barrule  Wardfell.JPG

あぁ、ケルト音楽だ。
このアルバムを聴けば、ぼくばかりじゃなく、誰もがそう思うんじゃないでしょうか。

ケルト音楽って、考えてみれば、不思議な音楽です。
アイルランド音楽でも、スコットランド音楽でも、ブルターニュ音楽でもない。
ヨーロッパで散り散りになったケルト民族の文化に目覚めた音楽家たちが、
それぞれの地でそれぞれの方法によって、60年代後半に新しく創り出した伝統音楽。
いわば「でっちあげた伝統」であり、空想のもとに生み出された音楽ともいえます。

誤解しないでくださいね。これはケルト音楽を貶めるために言ってるんじゃありませんよ。
ぼくらは「伝統」という言葉を聞くと、つい、過去のいつかの時点に成立したものと、
固定的に捉えてしまう落とし穴にはまりがちです。
「伝統」をそのように狭く規定すれば、保護すべき対象のような考え方に向かいがちで、
過去の形式をわずかもイジってはいけないみたいな、窮屈で面白くない発想に陥ってしまいます。

「ケルト音楽」は、伝統との向き合い方として、まったく別の方法論を示してくれたといえます。
もともと無伴奏が「伝統」だったところに、ハープやパイプを持ち込み、ギターにアコーディオン、
さらにブズーキなんて楽器まで取り入れてきたのだから、やりたい放題だったわけですよね。
そうやって伝統を再創造し、現代にいきいきと響かせているのだから、頼もしいじゃないですか。

そんなことを考えさせられたのが、マン島から飛び出したハタチ前後の若者3人組のデビュー作。
マン島の伝承曲をベースに、スケールのドでかい演奏を聞かせます。
ダイナミックな演奏と緻密なアレンジは、デビューしたばかりとは思えない実力で、
ちょっと感動的なほど。ルナサがデビューした時のことを思い出しましたよ。
マンクス・ゲーリックで歌うヴォーカルは、トラッド・シンギングの作法に拠らず、
ロックとなんら変わらないエネルギッシュなヴォーカルで、スカッとしますねえ。

Barrule "BARRULE" Wardfell EOTRCD02 (2012)
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