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ヴェトナム最高のバラディアー レー・クエン [東南アジア]

Lệ Quyên  DÒNG THỜI GIAN.jpg   Lệ Quyên  CON TIM DẠI KHỜ.jpg

う~ん、充実してますねえ。
ヴェトナムの女性歌手レー・クエンが昨年9月にリリースした新作2タイトル。
昨年4月に出産し休養していたそうですけど、
出産からわずか半年で2作同時リリースとは、公私ともに絶好調の証しですね。

一枚は、ここ最近続いている温故知新の企画作。
ヴェトナム戦争以前の古き良きヴェトナム歌謡を歌ったもので、
ゴ・トゥイ・ミエン、ラム・フォン、ファム・マイン・クオンといった名作曲家の作品12曲を歌っています。
こうした企画作を彼女が手がけたのは10年の“KHÚC TÌNH XƯA” からで、
ぼくもこのアルバムでレー・クエンを知り、11年の個人ベスト10に選ぶほどホレこみました。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2012-08-21

現代の歌謡にはない、昔の曲ならではの情の濃さを表現するのに、
レーの彫りの深い声は、うってつけといえます。
レー自身も、このアルバムできっと手応えをおぼえたんでしょうね。
翌11年に続編を出し、さらに12年には90年代後半のカヴァー曲集と、
立て続けに過去を振り返ったアルバムが続きました。

本作は“KHÚC TÌNH XƯA” 路線の3作目といえるもので、
情感を込めて歌いあげるレーが絶品です。
悲恋を歌わせたら、今のレー・クエンに勝てる人はいませんね。

そしてもう1枚は、若い世代の新しい作品を取り上げた、ひさしぶりのオリジナル・アルバム。
Vol.5と銘打たれているのは、懐メロ・カヴァー集をカウントせず、
オリジナル・アルバムとしての数のようで、ピンク色ジャケットのVol.4以来2年ぶりとなります。
エレクトリック・ギターと控えめな打ち込みを使うほかは、
懐メロ・カヴァー集とプロダクションに差はなく、
バラード・アルバムとして、たっぷりと予算をかけたレコーディングとなっています。

どちらも叙情的でロマンティックな曲が並んでいるとはいえ、
昔と今とでは、曲の作風にやはり違いがありますね。
昔の曲は、苦しみやつらさをぐっとこらえ、耐え忍ぶ風情が強調されていて、
運命に翻弄されるドラマティックな表現をみせるのに対し、
今の曲は感情の起伏があまり大きくなく、
切なさや哀しみに心を揺らす、ドライな表現に長けているように思えます。
いずれの作風にもマッチした歌いぶりを聞かせるレー・クエンは、
ヴェトナム最高のバラディアーといえますね。

今回のアルバムも、これまでのアルバム同様豪華な作りとなっていて、
二つ折りのカードボード・ケース仕様。
内ポケットには、歌詞を載せたミニ写真集式ブックレットが収められています。
ヴェトナムでは、2作のCD2枚を紙パックに突っ込んだだけの海賊版も出回っているようですが、
この手の込んだパッケージは、ヴェッタン・スタジオならではですね。
ちなみに、“CON TIM DẠI KHỜ” の方は、2曲のPVが入ったDVDも入っています。

Lệ Quyên "DÒNG THỜI GIAN" Viettan Studio no number (2013)
[CD+DVD] Lệ Quyên "CON TIM DẠI KHỜ" Viettan Studio no number (2013)
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