SSブログ

マン島のまっすぐな歌声 ルース・ケギン [ブリテン諸島]

Ruth Keggin.jpg

マン島からすばらしい女性シンガーが登場しました。
ぼくにとっては94年のエマ・クリスチャンのデビュー作以来だから、20年ぶりですね。
ハープやリコーダーを奏でながらクリアな歌声を聞かせたあのアルバムは、
鮮烈な印象を残しましたけど、その後ぷっつり活動の様子が聞こえなくなってしまいました。

ルース・ケギンというこの若い女性歌手は、荘厳さとケルト性を発していたエマとは個性が異なり、
温かみのある声でまっすぐに、清らかに歌う人。
1曲英語で歌うほかは、すべてマンクス・ゲーリックで歌っていて、12曲中7曲がマン島の伝承歌。
ルース自身によるピアノとフルートのほか、イングランド、アイルランド、マン島の混成メンバーによる、
ギター、ベース、アイリッシュ・フルート、フィドル兼バンジョーの4人が伴奏を務めています。

曲ごと必要最小限に選び抜かれたサウンドによってルースの歌を引き立てていて、
コンテンポラリー・フォークの理想形をみるかのようなアルバムに仕上がっています。
プロダクションが徹底した引き算でできているというか、
歌のメロディを生かすために、余計な音を加えないよう、神経を配っているのがよくわかります。

ソフトなハイ・トーン・ヴォイスのルースの歌は、特に強い印象を残すものではないのに、
聴くほどにその歌声が胸にしっかりと憑りつくのを感じます。
歌声に芯のある人ですね。
派手なところはまったくない、滋味に富んだとも表現できるこのデビュー作、
聴けば聴くほどに味わいが増します。

Ruth Keggin "SHEEAR" Purt Sheearan PSRCD001 (2014)
コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。