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エチオ・ポップ男性シンガーの新作から その2 アビネット・アゴナフィル [東アフリカ]

Abinet Agonafir  ASTARAKY.jpg

ABことアビネット・アゴナフィルも、前回のタムラット・デスタと同郷のアワサ近郊出身の歌手。
73年生まれというので、タムラットより5歳年上になりますが、
もとは歌手ではなく、鍵盤奏者として活躍していた人だそうです。

少しサビの利いた歌声で、ガッツのある歌いっぷりが魅力。
グルーヴィーなファンク・アレンジと相性がバツグンの人ですね。
ベースがグイノリのヘヴィーなラインでアフタービートを強調するかと思えば、
スラップを利かせたりと、なかなかの巧者。
ほかにも、ギンギンのエレクトリック・ギターをフィーチャーしたロック色の強い曲や、
クラールをフィーチャーしたスロー・ブルースなども聞けるのが本作の白眉といえそうです。
一方、チック=チック=カと呼ばれるエチオピア独自のハチロク・ナンバーも、もちろんありますよ。

タムラット・デスタのプロダクションがフュージョン寄りとすれば、
こちらはロック/ソウル/ブルース寄りでしょうか。
いずれにせよ、双方のアルバムともポップ・センスに富み、
コンテンポラリーなプロダクションの手腕はかなりこなれています。
エチオピアの伝統的なメロディを活かした曲と、
エチオピア色を感じさせないロック、レゲエ、ソウル色濃い曲がバランスよく並べられています。

Abinet Agonafir  ASTARAKY  US.jpg   Abinet Agonafir  WULETA.jpg

ぼくが入手したエチオピア盤は傷で音トビする箇所があったので、
ジャケット違いのアメリカ盤をあらためて買いました。
過去作では、前作にあたる07年作の“WULETA” を持っています。
1曲目がまるでシャバービーだったのが、印象深かったですね。
エチオピア調・非エチオピア調半々の内容は新作同様でした。

タムラット・デスタのように手放さなかったのは、
コンテンポラリー・センスに富んだアルバムづくりが巧みだったから。
鍵盤奏者だった経験が、アルバム作りに生かされているようにも思えますね。
ひょっとすると本人がプロデュースにも関わっているのかも。
クレジットに英語表記がなく、すべてアムハラ文字なので、
そのへんのところがわからないのが残念であります。

Abinet Agonafir "ASTARAKY" AB Music & Film Production no number (2014)
[エチオピア盤]
Abinet Agonafir "ASTARAKY" AB Music & Film Production no number (2014)
[US盤]
Abinet Agonafir "WULETA" Nahom NR0094 (2007)
コメント(3) 

コメント 3

イワタニ

なかなかいいですねぇ。
これなら古くからのエチオファンも安心して聴けるんじぁないでしょうか。2、3曲 you tubeで聴いてみましたが、余裕のある歌いぶりで、ハンドマイクの似合いそうな感じがして、エチオピアのカラオケあたりで結構歌われていそうな感じがいいです。(エチオピアにカラオケってあるのかな?)
bunboniさんが、過去の作品を処分しなかったのが納得できます。
現代はダンスミュージックではなく、歌謡の時代です。エチオピアには、まだまだ面白い歌い手さんがいそうな予感が持てました。



by イワタニ (2015-02-25 17:06) 

bunboni

アレンジやプロダクションはコンテンポラリーでも、メロディはエチオだから、楽しめますよね。
by bunboni (2015-02-25 20:12) 

イワタニ

やっと入手しました。こんなエチオものを待ってたんですよー。
この人、予想以上にセンスのいい人でした。これだけセンスがあると普通はもっとエチオ臭さがなくなってしまうものですが、この人は違います!
「都会に出ても故郷のことは忘れないぜ!」てきで、実に演歌が染み付いていて良いですよ。
演歌好きのぼくには、今年のベスト級の1枚でした。
この良さ、若いリスナーに分かるかな~?配信で音楽聞いてる若者にはわかんないだろうな~。ブルースじぁないんだよ。演歌、演歌心なんだよ。(オヤジの独り言)
新曲もyou tubeで聞きましたが・・・素晴らしい!

by イワタニ (2015-07-30 15:08) 

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