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イサーン版「青い山脈」 モンケーン・ゲーンクーンとカーオティップ・ティダーディン [東南アジア]

Monkan Kankoon & Kawthip Thidadin.jpg

どん臭いポップ・モーラムを思いっきりアカ抜けさせて、
あっといわせたカーオティップ・ティダーディン。
デビュー作、セカンドと快進撃が続いていましたけれど、
昨年の新作は男性歌手とのデュオ作という変則的な内容で、
ちょっと1回お休みにしていました。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2011-09-06
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2012-11-07

で、遅まきながら聴いてみたところ、
ヒップ・ホップあり、ラガマフィンあり、エレクトロありの
まばゆいばかりのポップ最前線とは一線を画した、
落ち着いたルークトゥン・アルバムで、うん、こういうのも、またいいですねえ。

前2作では、よく練られたアレンジのサウンドの面白味が、
なんといっても一番の聴きどころとなっていましたけれど、
今度はじっくりと歌の上手さを味わえる内容となっています。

前半5曲が二人のデュエットで、後半7曲はそれぞれのソロという構成。
モーラムの雰囲気はほとんどなく、これはルークトゥンのアルバムといっていいでしょうね。
シンセやギターなどエレクトリックな音を抑え目にして、
ピン、ケーン、ソーのアクースティックな響きを目立つように配しています。
ほのぼのとしたイサーンの田園情緒を醸し出していて、
少しくすんだ色使いのジャケット同様、今回ははしゃいだところがありません。

カーオディップの歌の表情をぐっと前に出してきたことによって、
彼女のヴォーカルの魅力が、より鮮明になっています。
風が吹き抜けるような清涼感いっぱいの声とチャーミングな歌いぶりは相変わらずなんですが、
今回はスロー・ナンバーで切なげにこぶしを回すところなど、歌のうまさに改めて感心しました。

一方、お相手の男性歌手モンケーン・ゲーンクーンの方は、可もなく不可もなくといったところ。
丁寧なこぶし回しなど歌のうまい人なんだけど、強い個性がなくて、印象に残らない。
ルークトゥンやポップ・モーラムの男女デュオって、
みんな男性の方が目立ちませんよね、なんでだろ。
8曲目のポップ・モーラムが、モンケーンのベスト・トラックでしょうか。
この曲はほかと違って、力のこもった歌いぶりを聞かせてくれます

カーオディップが歌うラストでは、珍しく木琴がフィーチャーされます。
要所要所でおやっと思わせる、こういう楽器の扱いがうまくって、ファンの頬をゆるませますね。
アレンジと音楽監督は、ターイ・オラタイのポップ・モーラム作でも辣腕をふるったヴェテラン、
アージャーン・ボーイことティーラポン・サックゲーウ。
この人と作曲家兼プロデューサーのサラー・クナウット(クルー・サラー)が
タッグを組んだアルバムに、ハズレはないようです。

Monkan Kankoon & Kawthip Thidadin "JEB BORK HAI PAI JAI BORK HAI KORD" Grammy G0557033 (2014)
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