グリオのノドが輝くンバラ ファトゥ・ゲウェル [西アフリカ]
あいかわらずセネガルのンバラ・シーンは活気づいているようで、
ヴェテランから若手、男女問わず、百花繚乱の様子が伝わってきます。
だけど悔しいかな、フィジカルの入手は依然として困難な状況が続いていて、
ここのところ収穫はサッパリというありさまでした。
配信サイトから手元に控えておいたウォント・リストが、
どんどんと積みあがる一方だったんですけれど、
3年ぶりにパリから近作がまとめて送られてきて、
ひさしぶりにノドの渇きを癒すことができました。
配信サイトでサンプルを聴いたり、
YouTube のヴィデオで事前にチェックしていた歌手のCDもたんまり手に入りましたが、
ノー・マークだった逸品があったのは、嬉しかったですねえ。
それが、ヴェテラン女性歌手ファトゥ・ゲウェルが14年にリリースした2作です。
ファトゥ・ゲウェルは、98年にスターンズからインターナショナル・リリースをしたこともある、
グリオ出身のヴェテラン・シンガーで、ゲウェルというのは、ウォロフ人のグリオ姓であります。
これまではGuewel と綴られていましたが、このCDにはGueweul と書かれています。
いかにもグリオらしい、鍛えられたコクのある歌声が気持ちいいじゃないですか。
晴れやかな歌いっぷりで、あけっぴろげともいえる、奔放な歌い口に胸がすきます。
バックの小気味よく弾ける、切れ味のいいンバラ・サウンドも申し分ありません。
全面的にフィーチャーされたハラム(ンゴニと同型の弦楽器)に耳奪われます。
サウンドは従来と変わらぬいつものンバラでも、こぶしの利いたヴォーカルがのっかると、
ぐぐっと伝統色が前に出てきて、こうもイキイキするかというほど輝きを増します。
2作同時リリースというのは、彼女が絶好調のしるしで、
2枚組のつもりで聴くのが正解でしょう。
2枚とも円熟したノドをたっぷり披露していて、まったく聴き飽きることがありません。
Fatou Gueweul & Le Groupe Sope Noreyni "SANTATINA" no label no number (2014)
Fatou Gueweul & Le Groupe Sope Noreyni "BOROM KHAYRA" no label no number (2014)
2015-05-14 00:00
コメント(0)
コメント 0