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ファドの道を歩む ジョアナ・アメンドエイラ [南ヨーロッパ]

Joana Amendoeira  MUITO DEPOIS.jpg

第一声で撃沈。
横隔膜を上下に動かし、たっぷりとした声量で発声するその歌声。
毎度のことながら、ほれぼれとさせられますね、ジョアナの歌いぶりには。

新作が常に最高作。
そんな快進撃を続けられる歌手って、そうそうはいませんよ。
すごいですよ、ジョアナ・アメンドイラがファドの音楽性を磨き上げようとする、その姿勢。
イチローと比較したくなってしまう、まさに「努力の人」じゃないですか。
周囲に惑わされず、我が道を歩むことに努力を惜しまない、
迷いなき音楽家の姿を見る思いがします。

前作から4年。
アマリア・ロドリゲス直系の伝統ファドの歌い手として、
新しいファドのスタイルを模索しながら、地道に自分のファドを磨き上げてきたジョアナが、
じっくりと時間をかけて、またも素晴らしいアルバムを送り出してくれました。

今作は、劇作家で作詞家のティアゴ・トレス・ダ・シルヴァの書き下ろし作品を歌っていて、
プロデュースもティアゴが務めています。
解説によれば、ティアゴはアマリア・ロドリゲスを題材にしたミュージカルをきっかけに
ファドを書くようになった人だそうで、マリア・ベターニャ、エルバ・ラマーリョ、
ネイ・マトグロッソ、ダニエラ・メルクリといったブラジルの歌手にも詞を提供しているそうです。
ぼくの大好きなサンバ作家、マルコス・サクラメントと共作しているのは、嬉しかったな。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2011-11-05

伝統ファドの特徴を生かした、音程が大きく上がり下がりする“Lisboa Da Madrugada” もあれば、
ピアノをメインにしたモダンなアレンジの“O Avesso Do Destino” もあるという、
ファドの基本を押さえながら、無理なく現代性を加味したレパートリー。
そしてジョアナの歌いぶりは、古風なファドの色を保ちながら、軽やかに歌っています。

伴奏は、ジョアナのお兄さんのペドロ・アメンドエイラのギターラに、
ヴィオーラのロジェーリオ・フェレイラのいつものメンバーで、息もぴったり。
イントロなしで歌い出すアルバム冒頭から、
ジョアナのヴォーカルの魅力を最大限に発揮した録音の良さも申し分ありません。
全ヴォーカル・ファンにおすすめしたい、珠玉の傑作です。

Joana Amendoeira "MUITO DEPOIS” CNM CNM533CD (2016)
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