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南ア・ジャズを活況へ繋いだ世代 マッコイ・ムルバタ [南部アフリカ]

McCoy Mrubata  HOELYKIT.jpg

たんまり旧作南ア盤を入手したので、今回もその話題。
サックス奏者マッコイ・ムルバタの00年作であります。
以前、この人のブラスカップ・セッションを取り上げたことがありました。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2016-10-01
セッション第2作は、マラービをリヴァイヴァルさせたトラックがあるなど、
古き南ア音楽に回帰した意欲的な快作で、愛聴しました。

本作はそれよりも古い作品で、
サックス奏者マッコイ・ムルバタの魅力を全面に出したアルバム。
アルト、テナー、ソプラノ、サクセロ、フルートを、曲によって吹き分けています。
タイトル曲の1曲目 ‘Hoelykit?’ は、なんとスティールパンをフィーチャーしたカリプソ。
南ア・ジャズと思いきや、いきなりハッピーな、
ナベサダの「カリフォルニア・シャワー」みたいな曲が飛び出して、意表を突かれます。

おかげで、いきなり肩の力が抜けて、リラックスしちゃいましたけれど
2曲目からは、アンディル・イェナナ(p)、ハービー・ツォエリ(b)、
マラボ・モロジェレ(ds)を伴奏とする、王道の南ア・ジャズを聞かせてくれます。

キッピー・ムケーツィに捧げたバラード ‘Philan’ は、胸に迫るエレジー。
マッコイのフルートとフェヤ・ファクのフリューゲルホーンが、涙を誘います。
続く ‘Obsession’ のサクセロがつむぐ優しいメロディも、心に刺さるなあ。
ソウェト生まれのジャズ・ヴォーカリスト、
グロリア・ボスマンのポエットをフィーチャーした
‘Romeo & Alek Will Never Rhyme’ も、いい。
マッコイ・ムルバタが書く曲はどれも、歌ゴコロが溢れていますね。

もっともジャズ的スリルに富んだトラックは、8曲目の ‘Amasabekwelangeni’。
テナー・サックスをブロウしまくるソロといい、
アンディル・イェナナのピアノ・ソロといい、
最高のビバップを聞かせてくれます。

マッコイ・ムルバタは、ジモロジーで名を馳せた
サックス奏者ジム・ンガワナと同じ、59年生まれ。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2020-05-31
ジム・ンガワナは11年に亡くなってしまいましたけれど、
アパルトヘイト時代を生き抜いたこの世代の活躍があったからこそ、
現在の南ア・ジャズ・シーンの活況に繋がったのは、間違いないですね。

McCoy Mrubata "HOELYKIT?" Sheer Sound SSCD059 (2000)
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