SSブログ

タイムレスなR&B グレン・ジョーンズ [北アメリカ]

Glenn Jones  IT’S TIME.jpg

ひさしぶりに棚から引っ張り出して、聴き惚れちゃった。
これは、やっぱり傑作だわ。四半世紀経っても変わらぬみずみずしさ。
タイムレスな作品だということの証明ですね。

グレン・ジョーンズ。58年フロリダ生まれ。
4歳から教会で歌うゴスペル育ちで、8歳で初レコーディング。
14歳でゴスペル・グループ、ザ・モジュレーションズを結成して全米ツアーし、
80年になってソウルに転向、83年にソロ・デビューした「歌えるシンガー」です。

奇しくもぼくと同い年で、これはグレンが40歳の時の作品。
RCA~ジャイヴ~アトランティックと渡り歩いた彼のキャリアからすると、
メジャーではなかなか決定打を出せず、
マイナー落ちしてからの作品ということになるんだけど、これが彼の最高傑作。

歌のうまさ、実力は超一流なのに、
メジャー時代のアルバムはいまひとつアピールするところが弱くて、
代表作がなかなか作れない人でした。
80年代当時、こういう「歌えるシンガー」はグレン・ジョーンズばかりでなく、
フレディー・ジャクソンも同じポジションにいた人でしょう。

98年になって、インディからひっそりと出されたこのアルバムは、
気迫のあるジャケットのポーズからして、名作の予感がありました。
しかも、このタイトル。期待にたがわぬ出来で、
ついにグレン・ジョーンズがやった!と嬉しさひとしおでした。
楽曲とプロダクションが見事にかみ合って、
ついにこの人の実力に見合った作品が完成したんですね。

さらにこのアルバムに輝きを増したのが、ボーナス・トラックとして収録された、
ニュー・ヨークKISS-FMのオン・エア・ライブ。
過去のヒット曲5曲を再演しているんですが、これがもう素晴らしい出来。
これ聴いて、もう過去作持ってなくてもいいやと、全部処分しちゃったんだよな。

90年代ならではのアンプラグド・ライヴが、
80年代のオリジナルのプロダクションを完全に凌いでいるんですよ。
楽曲の魅力があらためて引き出されているばかりか、
グレンの歌いっぷりもまっことソウルフルで、感激しました。

バックもすごくいいんだ。ポール・ジャクソン・ジュニアのアクースティック・ギターが、
これぞ歌伴のお手本といった職人芸のプレイで、ウナらされます。
スタジオのDJ二人(なんとアシュフォード&シンプソン!)の感極まったMCや、
リスナーの声もヴィヴィッドで、数多くのボーナス・トラックが蛇足に終わるなか、
こんな贅沢なボーナス・トラックは後にも先にもないですよ。

プロデュースはロス・ヴァネリ。かのジノ・ヴァレリの弟で、
アース・ウィンド&ファイア、デニス・ウィリアムズ、ジェフリー・オズボーンなど、
数多くのアーティストを仕事をしてきた作編曲家兼プロデューサーです。
グレンは4年後にピークへレーベル移籍してアルバムを出しましたが、
プロデューサー陣をがらりと変えた “FEELS GOOD” は、本作の出来に及ばず。
本作の成功は、ロス・ヴァネリの力が大きかったんじゃないかな。

Glenn Jones "IT’S TIME" SAR SAR1001-2 (1998)
コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。