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オールド・タイム・ソウル制作の舞台裏 ダン・ペン/ボビー・ピューリファイ [北アメリカ]

Dan Penn  THE INSIDE TRACK OF BOBBY PURIFY.jpg   Bobby Purify  Better To Have It.jpg

昨年のレコード・ストア・デイで限定発売されていたというレコードがCD化。
レコード・ストア・デイはぼくの関心外なので、
こんなレコードが出ていたとはちっとも知りませんでしたが、
こりゃあ、ダン・ペン・ファンにはたまらない贈り物ですね。

ダン・ペンが曲提供してプロデュースした、
サザン・ソウル・シンガー、ボビー・ピューリファイの05年復帰作
“BETTER TO HAVE IT” のダン・ペンのデモ音源10曲と、
ボビー・ピューリファイによる同じ完パケを並べた企画作。
ダン・ペンのデモ音源の素晴らしさは、
60年代のフェイム・レコーディングですでに証明済みですよね。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2012-12-09
ダン・ペン名義で出るのもナットクの企画です。

ボビー・ピューリファイの復帰作は、スプーナー・オールダム、カーソン・ウィットセット、
レジー・ヤング、ジミー・ジョンソン、デイヴィッド・フッド、ウェイン・ジャクソンという
そうそうたるメンバーを揃えて、ナッシュヴィルでレコーディングされたものでした。

このアルバムを制作したのは、ダン・ペンがソロモン・バークの02年の復帰作
“DON'T GIVE UP ON ME” のタイトル曲を書いて、
大きな手ごたえを得たのがきっかけとなったそうです。
グラミー賞を獲得する高い評価を得て自信を深めたダンは、
次なるホンモノのソウル・シンガーに自分の作品を歌ってもらいたいと、
曲作りとともに候補のシンガーを探し始めたのだそうです。

そうして巡り合ったのが、60~70年代のサザン・ソウル黄金期に活躍するも、
過小評価に甘んじていたボビー・ピューリファイ(本名ベン・ムーア)だったんですね。
R&B歌手ボビー・ピューリファイとゴスペル歌手ベン・ムーアの双方で活動するも、
緑内障のために94年から視力を失い始め、その4年後には失明して
絶望の淵に立たされ、当時サーキットから離れていたといいます。
その後レイ・チャールズに励まされ、再起を考えたところにダンと巡り合ったのでした。

ボビー・ピューリファイとダンとは、不思議な因縁がありました。
かつてのソウル・デュオ、ジェイムズ&ボビー・ピューリファイの66年のヒット曲
‘I'm Your Puppet’ は、ご存じダン・ペンとスプーナー・オールダムの作。
これを歌った初代ボビー・ピューリファイ(本名ロバート・リー・ディッキー)が
71年に健康上の理由で音楽活動を引退して、後任のボビー・ピューリファイを
ベン・ムーアが引き受け、第二期ジェイムズ&ボビー・ピューリファイで活動したのです。
この新生ジェイムズ&ボビー・ピューリファイでも ‘I'm Your Puppet’ を再録音し、
76年にイギリスで全英12位となるヒットとなったのですね。

ボビー・ピューリファイの慈愛に満ちた温かな歌声に、
サザン・ソウルのスピリットが詰まった名作でしたけれど、
カーソン・ウィットセットとバッキー・リンゼイを伴奏に歌うダンのデモ音源に、
あらためて名作曲家だなあと感じ入ります。

Dan Penn "THE INSIDE TRACK OF BOBBY PURIFY" The Last Music Co. LMCD231
Bobby Purify "BETTER TO HAVE IT" Proper PRPACD001 (2005)
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