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アフロ・ペルヴィアン・セッション ペーニャ [南アメリカ]

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今年はペルーの当たり年ですね。
またまたアフロペルー音楽の注目の新録が出ました。

リリース元がちょっと変わっていて、辺境ファンクのコンピなんかを出している、
ミネアポリスのシークレット・スタッシュというインディ・レーベル。
レア・グルーヴ掘りのDJが主宰しているレーベルが、
なんでまた伝統的なアフロペルー音楽のセッションなんて敢行したんだろ。
そのあたりの事情はよくわかりませんが、タイトルが印刷された帯封を外すと、
木製ケースの中にライナーとともに、CDとDVDが納められているという、
やたらと凝った装丁になっています。

録音機材を抱えてリマ入りしたプロデューサーとギタリストが、
学校の教室や居間、バルコニー、公民館などといった場所で録音してきたのだそう。
ペーニャというのがこの録音のセッション名なのか、アンサンブル名なのか判然としませんが、
録音に参加したのは24歳から65歳までの音楽家たちで、
ギター・ソロやギターとカホンなどのインスト曲と、
弦楽器と少数の打楽器の伴奏による歌曲が半々ずつ収録されています。

先々月に書いたデ・ロンペ・イ・ロハのような濃厚なアフロペルー音楽ではなく、
もっと端正で、洗練された音楽性の内容となっているのが特徴でしょうか。
スキャットを交えながら歌う若い女性歌手によるフェステーホには、
都会的なセンスが強く感じられ、その素直で伸びやかな歌声は、
先日観たばかりのロベルタ・サーにも共通するイマドキの感覚が感じられますね。
インスト・ナンバーについても、
フィンガリングの美しい響きがひときわ印象的な7・15曲目のギター・ソロでは、
ぼくの大好きなブラジルのギタリスト、マルコ・ペレイラがふと思い浮かびました。

収録時間36分ほどのDVDの方は、このセッションのメイキング・ヴィデオで、
リマ滞在1週間の中身の濃い記録となっています。
居間やバルコニーなど、さまざまな場所での録音風景ばかりでなく、
レコード会社のマスターテープ保管庫を訪ねたり、
レコード・ショップで、ニコメデス・サンタ・クルースやペルー・ネグロのアナログを掘ったりと、
コレクターなら思わず、おおっと前のめりになってしまいますね。

CD未収録の見所としては、ロック・シンガーのミキ・ゴンザレスが登場するところでしょうか。
ミキはエレキ・ギターを手に、アフロペルー音楽の古いギター・スタイルと
現代とのスタイルとの違いを実演して見せてくれます。
ミキがアフロペルー音楽の伝統もちゃんと消化したミュージシャンだということを、
あらためて再確認しました。

ヴィデオ終盤のレストランでのパーティーのシーンでは、
男女二人のタップ・ダンスや、蝋燭をもって踊る男女のダンスのシーンが披露され、
プロデューサーの熱のこもった解説(英語です)とともに、
アフロペルー音楽の良き入門編としても楽しむことのできる、
充実したドキュメンタリーとなっています。

[CD+DVD] Peña "PEÑA" Secret Stash no number (2010)
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