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カリプソ大学 アンディ・ナレル&リレイター [カリブ海]

Andy Narell and Relator.jpg

今年の夏はこれでキマリだあ!と叫びたい一枚が出ましたよ。
カリプソ歌手リレイターと、パン(スティールドラム)奏者アンディ・ナレルの共演作。
往年のカリプソをこよなく愛好される皆様におかれましては、
ダンス・ミュージックとして消費されるだけの近年のソカに、さぞや心をお痛めのことと存じます。
そんな皆様方にこそ是非と、力こぶをこめてお薦めさせていただきましょう!

え? アンディ・ナレル? といぶかる方もいらっしゃるようですね。
フュージョン・プレイヤーでしょ、などと侮ってはいけません。
アンディはカリプソ魂をちゃんと持ってますよ。
デヴィッド・ラダーと共演した95年の“THE LONG TIME BAND”でも、
カリプソやカーニヴァルに対するアンディの気概を感じさせましたね。

自作曲に加え、キチナー、メロディ、ライオン、テラーなど
往年のカリプソニアンのレパートリーを歌うリレイターは、
アクの強さこそないものの、その歌い口は芸人カリプソニアンそのもの。
演奏の方は、50年代には聞くことのできなかったパンを大々的にフィーチャーして
ラテン・ジャズのニュアンスも加えたサウンドに仕上げており、
ただの50年代カリプソ再演としていないところが、よろしいじゃありませんか。
ややリズムが整理されすぎちゃったかなとも思いますが、
クアトロを加えたりして、往時のカリプソ・ムードをたっぷりと味わうことができます。
個人的にゴキゲンだったのは、4曲目のパキート・デ・リベーラがクラリネットで演奏したインスト。
クラを使うアイディアは、黄金時代の戦前カリプソをよく理解しているアンディの仕業でしょうね。

また、ラストのギター、クラリネット、パーカッションで演奏したキチナーのナンバーが、
カリプソ・ファンを泣かせます。
リレイターが弾くガガガッと刻むギターのつんのめるようなビートは、
キチナーが映画『カリプソ天国』で弾いてみせた、あのリズム感そのものですね。
そこにパンデイロを絡ませて、サンバに仕上げたアイディアは、実に新鮮。
ネルソン・カヴァキーニョがバッキンバッキンと弾く強烈なギターのビートとも、
ダブってくるようじゃありませんか。

Andy Narell and Relator "UNIVERSITY OF CALYPSO" Head Up International HUCD3168 (2009)
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コメント 2

Astral

ラテン・ジャズが好きで、カリプソ初心者の私にはいいCDを紹介してもらいました。さっそく購入しましたよ。これは、ご機嫌です。あのガガガッというギターのビート、ほんとカリプソはラテンなんですよね。
by Astral (2009-07-06 22:40) 

bunboni

カリプソのリズムって、むずかしいです。
特に難しいのが、カイソと呼ばれていた戦前のカリプソですね。
昔、譜面におこそうとして、訳わからん!と思ったことがあります。
人によってリズムというか、タイム感がぜんぜん違うんですよ。
キチナーが映画で「外国人はこのリズムができないんだよ」
と言っていたのも、悔しいかな、そのとおりであります。
by bunboni (2009-07-07 20:29) 

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