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ランショの復活 ランショ・カルナヴァレスコ・フロール・ド・セレーノ [ブラジル]

Rancho Carnavalesco Flor Do Sereno.JPG

ブラジルのすばらしいインディ作を手に入れました。
古き良き時代のノスタルジックな響きあふれるランショを、現代に蘇らせたアルバムです。
こんなステキなアルバムが2年も前にリリースされていたとは、ぜんぜん知りませんでした。
このまま話題にもならず、埋もれてしまうなんて、許せませーん。
ピシンギーニャの『ブラジル音楽の父』(ライス)を愛聴する
ブラジル音楽ファンなら、ぜったい聴き逃せない名作です。

ランショとはカーニヴァルでマルシャやマシーシを演奏しながら
練り歩くブラスバンドのことで、19世紀末に生まれたと伝えられています。
1889年にシキーニャ・ゴンザーガが作曲した“Ô Abre Alas”が
マルシャ・ランショの第一号といわれ、
その後ピシンギーニャやジョアン・ダ・バイアーナらがランショを継承しますが、
やがてエスコーラ・ジ・サンバの人気に押され、ランショはすっかりすたれてしまいました。

そんなランショを復活させるべく、01年にエルトン・メデイロスが提唱し、
このフロール・ド・セレーノが結成されたんだそうです。
そして満を持して制作されたこのデビュー作では、
エルネスト・ナザレーやラマルチーニ・バボなど、往年の曲も取り上げてはいますが、
レパートリーのほとんどは、パウロ・セザール・ピニェイロやアルジール・ブランキといった、
ブラジルを代表する作詞・作曲家が新たに書き下ろした楽曲ばかり。
ただのリバイバル集とはしなかったところに、ランショ復活への本気度がうかがえますね。

こうしたレパートリーを、ブラスバンドとソロ・ヴォーカルにコーラスというランショの編成で、
ショーロの雰囲気もたっぷりに聞かせてくれます。
ヴォーカルにはエルトン・メデイロスも加わり、演奏陣にはマウリシオ・カリーリョのほか、
熊本尚美さんも参加しています。

ブラジル音楽の歴史を振り返る意欲的な重要作!とブチあげたいところですが、
そんな歴史的意義なんて堅苦しい理屈抜きに、とにかく楽しいアルバムです。
朗らかで親しみやすいメロディのなかに、
かすかな哀愁をさらりと滲ませるところが、ブラジルならでは。
わかりやすくポップなのに、聴けば聴くほど味わい深い音楽って、
世界を見渡してもそうそうはありません。
カーニヴァルに沸くパレードの雰囲気いっぱいのマーチング・サウンドに、心が沸き立ちます。

ランショを蘇らせたサウンドでは、コンジュント・コイザス・ノッサスの
“NOEL ROSA - INÉDITO E DESCONHECIDO”(83)を四半世紀愛聴してきましたが、
本作はそれと肩を並べるアルバムになりそうです。

Rancho Carnavalesco Flor Do Sereno "RANCHO CARNAVALESCO FLOR DO SERENO" Acari JP001 (2007)
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