ソダーデにこんがらがって ルーラ [西アフリカ]
カーボ・ヴェルデの女性シンガー、ルーラが去年出したアルバム、いいですね。
いままで以上に、カーボ・ヴェルデの伝統寄りのアルバムとなっています。
最初聴いたときは、ずいぶん地味な作品だなと思いましたが、
繰り返し聴くうちに、その地味なところが好ましく思えるようになりました。
ルーラを知ったのは、04年の3作目“DI KORPU KU ALMA”が最初。
モルナやフナナーなど島のリズムを取り入れた曲と、
R&B、MPB、アフロ・ズークの影響を受けたクレオール・ポップが無理なく同居していて、
ハツラツとしたのびやかさと、哀感のあるソダーデ感覚を併せ持ったポップ・センスが、
それまでのカーボ・ヴェルデのシンガーにない個性を感じさせました。
このアルバムはかなりヒットしたらしく、翌05年には2曲削って新たに3曲を追加したCDと、
ライヴ8曲にヴィデオ・クリップ2曲、インタヴューを収録したDVDとをカップリングした
新装版がリリースされました。
前作“M'BEM DI FORA”(06)は聴かないままとなってしまいましたが、
カーボ・ヴェルデ音楽の偉人B・レザの曲をタイトルにした5作目の本作は、
たおやかなアクースティック・サウンドに、
メランコリックなソダーデ感あふれるメロディーをのせた、
渋い味わいのアルバムに仕上がっています。
ポップさを抑えたことで、きりっとしたルーラのヴォーカルが、かえって輝いて聞こえます。
ルーラは、カーボ・ヴェルデが独立した75年に、
サンティアゴ島出身の父とサント・アンタン島出身の母のもと、リスボンで生まれました。
幼い頃からカーボ・ヴェルデ音楽になじみ、
カーボ・ヴェルデ人のアイデンティティを強く意識して育ったそうです。
17歳の時、サントメ・プリンシペのズーク・シンガー、
ジュカのアルバムにデュオ・ヴォーカルで起用され、
96年に自作曲で固めたデビュー・アルバムをリリースし、
その内容はアフロ・ズークとR&Bが半々といったものだったそうです。
カーボ・ヴェルデの伝統と今を繋いだルーラは、ディアスポラの立ち位置から離れ、
カーボ・ヴェルデ人としての足固めを確かなものとしたのではないでしょうか。
そんな実感がシンとした空気となって伝わってくるこのアルバム、
涼しくなってきた秋口によく似合います。
Lura "ECLIPSE" Lusafrica 562222 (2009)
2010-10-01 12:00
コメント(4)
ルーラ、好きですよぉ
これはまだ聴いていませんが
そうだ、ソダーダ、ってナンですか?
by アフリマリ (2010-10-01 13:32)
ソダーデ sodade はカーボ・ヴェルデ人にとっての望郷の念、
<サウダージ>のカーボ・ヴェルデ・クレオール語ですね。
カーボ・ヴェルデ音楽の最重要キーワードです。
by bunboni (2010-10-01 21:19)
やっぱりそうでしたか。
そうかなぁ、と思ったのですが。
カボ・・・は行ってみたくてぜんぜん行けない場所
「お向かいのセネガル」は何度も行っているのに
カボのソダーダはブラジルのものとはまたひと味違いますね。
やはりアフリカっていうか
by アフリマリ (2010-10-02 19:56)
あ、ソダーダ、ではなく、ソダーデです。
ブラジルのサウダージより、カボのソダーデはもっとさみしく切ない感じがしますね。
ブラジルのサウダージにはイタリア移民が多いのが影響してたりして!?
by bunboni (2010-10-02 20:15)