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タペカール時代のベッチ・カルヴァーリョ [ブラジル]

Beth Tapecar Box.JPG

ベッチ・カルヴァーリョ……。
なつかしい名前ですねえ。

ベッチと出会ったのは76年の“MUNDO MELHOR” が最初。
サンバ・ブームだった当時、『すばらしき世界』のタイトルで日本盤も出た傑作です。
ぼくがサンバに夢中になった70年代後半、まさに上り調子だったサンバ歌手で、
自分がサンバ・ファンとして成長するのに、リアルタイムで伴走してくれた歌手でもあります。

でもその伴走をしてくれたのも、83年の“SUOR NO ROSTO” まで。
“SUOR NO ROSTO” に、それまでのベッチにはなかった手練をかすかに感じ取ったぼくは、
その後ぷっつりとベッチを追うのはやめてしまいました。
それからだいぶたった90年代の半ばに、ベッチの新作を聴くチャンスがあり、
そこには手練以上の驕りのニュアンスを感じて、幻滅したもんです。

でも、いいんです。ベッチは70年代にかけがえのない名作を数多く残してくれたのだから。
76~82年までのRCA時代の7作は、サンバ・ファンにとってマスターピースですよ。
そしてRCA移籍前の73~75年、タペカール・レーベルに在籍していた時代は、
サンバ歌手として大成するいわば助走期間で、貴重な記録といえます。

今回、そのタペカール時代のアルバムのストレート・リイシュー3タイトルに、
EP収録曲やフェスティバルの企画作への参加音源などをレーベルの枠を超えて編集した、
レア・トラック集(60年代編と70年代編)2枚を収めた5枚組ボックスがリリースされました。
タペカール盤の3枚は一度CD化されていますけど、
73年の“CANTO POR UM NOVO DIA” の見開きジャケの内側の写真はモノクロだったし、
75年の“PANDEIRO E VIOLA” のジャケットは、
タイトルとアーティスト名のロゴが変わってたので、
今回が初の完全オリジナル仕様のリイシューといえます。
レーベルもオリジナル盤のタペカールのデザインを使っているところが嬉しいですね。

特に、RCA時代のアルバムと遜色ないタペカール時代最高の名作、
“PANDEIRO E VIOLA” にボーナス・トラックが2曲追加されたのは、
ファンにとって最高のプレゼントですね。
編集盤の方はベッチが歌謡歌手だった時代の音源が中心で、ソフト・ロックふうの曲など、
コンジュント3D時代のアルバムやオデオンのデビュー作に興味がある人には聴きものでしょう。
ぼくが興味あるのは、サンバ歌手のベッチなので、
70年代編の後半、タペカール時代のEP収録曲のサンバがごちそうです。

70年代当時、ブラジル・タペカール盤は日本国内に輸入するルートがなく入手不可能で、
ぼくも長らくフランスのソノ・ディスクからリリースされていたLPで聴いていました。
そうそう、エルザ・ソアレスのタペカール盤もソノ・ディスク盤で聴いてたんだっけ。
そのエルザ・ソアレスのタペカール盤も近くCD化されるそうです。
以前ボックスの2イン1でCD化されたことはありますが、
オリジナル・タイトルどおりのストレート・リイシューは今回初。こちらもリリースが待ち遠しいです。

Beth Carvalho "PRIMEIRAS ANDANÇAS - OS 10 PRIMEIROS ANOS" Discobertas DBOX-01
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