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サンティアゴ・デ・クーバのソンにあったまる [カリブ海]

SANTIAGO DE CUBA  LA REINA DEL SON  Fremeaux & Assosies.JPG

今年の冬も、骨身にこたえる寒い毎日が続きますねえ。
縮こまった身体の筋肉をほぐすには、なんといってもお風呂ですけど、
湯治気分で最近よく聴いているのがキューバのソン。
思えばトラディショナルなスタイルのソンから、ずいぶん遠ざかっていたような気がします。
昔ながらのソンを聴いていると、生姜湯に浸かったあとのように身体がぽかぽかしてきて、
ささくれだった気持ちもいつしかほぐれ、なんともいい心地です。

そんなルーツ・ソンの味わいを久しぶりに思い出させてくれたのが、
フランスのフレモオ・エ・アソシエから出た、92年のフィールド・レコーディング集。
キューバの古都サンティアゴ・デ・クーバで受け継がれてきたソンの伝統を凝縮したアルバムで、
最後はカーニバルのコンガ・オリエンタル(コンパルサ)も登場して、祝祭気分を盛り上げます。

なんでまたこれほど素晴らしい録音を、20年もお蔵入りさせてたんですかねえ。
このアルバムに収められたグループはいずれも、ソンの伝統を継承してきた
サンティアゴ・デ・クーバの名ライヴ・ハウス「カサ・デ・ラ・トローバ」の常連さんたち。
ソンをよく知る人には、おなじみのグループがずらりと並びます。

古老たちの渋い歌声から零れ落ちる芳醇な味わいは、まぎれもなくラテン独自のもの。
ここのところこういう味わいは、ペルーのクリオージョ音楽に求めていたような気がしますけれど、
やっぱりラテン音楽の花形は、キューバのソンですよねえ。
キンテート・デ・ラ・トローバが歌う“Santiago De Cuba” など、
高・中・低音の3人の歌手が織り成す三重奏の味わいが絶品です。

最後のコンガ・ロス・オージョスはバリオを代表するカーニバル・チーム(コンパルサ)で、
いわばブラジルの名門エスコーラ・ジ・サンバと同じもの。
サンティアゴ・デ・クーバのコンガ、コンガ・オリエンタルならではの、
中国系移民の影響によるチャルメラ(キューバでは「コルネタ」と呼ばれます)
が派手に吹き鳴らされ、
パーカッション・アンサンブルが強力にグルーヴする演奏には、
総合芸術化したリオのエスコーラが失った野性味があります。

フィールド・レコーディングとはいえ、しっかりとしたマスタリング処理を施し、
スタジオ録音と遜色なく楽しめるこのアルバム、ソンの古老たちがまだ存命だった92年に、
新世代に継承される様をドキュメントした、歴史的にも貴重なアルバムといえそうです。

Septeto Turquino, Sones De Oriente, Quinteto De La Trova, Septeto Tipico Oriental, Aracelis Romero Chely, Cuarteto Oriente, Conga Los Hoyos "SANTIAGO DE CUBA : LA REINA DEL “SON”" Frémeaux & Assosiés FA5389
コメント(2) 

コメント 2

アフマリリス

うわっ、すっごく聴きたくなった。ここのところしばらくソンとは遠ざかっていたし。日本の寒さには暖かいソン、とですね!
by アフマリリス (2012-12-17 21:08) 

bunboni

あったまりますよぉ。このアルバム。
いろんなグループが少しずつ入っているのも、
個性豊かな歌をさまざまに楽しめて、おトク感ありです。
by bunboni (2012-12-17 21:42) 

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