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音楽の遊園地 ミストゥラーダ・オルケストラ [ブラジル]

Misturada Orquestra.JPG

カルロス・アギーレ周辺のアルゼンチンのミュージシャンだとか、
評判となっているミナス新世代たちのプログレッシヴな音楽は、どうも苦手。
試しに聴いてはみるんですけど、いつも途中で退屈しちゃうんですよね。
身体にも心にも訴えかけてくるところがなくって。
アタマで感心するばっかりの知的な音楽って、やっぱダメですねぇ、ぼくには。
こーゆーメンドくさい音楽は、ジスモンチやエルメート好きの人におまかせします。

だもんで、才気あふれるミナス新世代ミュージシャンが大挙集結したという、
このミストゥラーダ・オルケストラも、まったくぼく向きじゃないと思ってたんですけど、
どーゆーわけだか、これにはちょっとだけココロ惹かれちゃいました。
冒頭のミナスらしい浮遊感に富んだ女性スキャットをフィーチャーした曲から、
<音楽の遊園地>へ誘われような予感があって、これはちょっと違うぞと思わせます。
管楽器を中心とする緻密な構成の作編曲は、一聴して高度なものとわかるんですが、
そうした知的な興奮だけにとどまらないワクワク感が、この音楽には備わっているんですね。

歌心あふれるメロディがアレンジのそこかしこにまぶされていて、
おかげで堅苦しさも小難しさも感じさせず、斬新なアレンジの妙を楽しむことができます。
管楽器のアレンジの手法には、
かつてのジャコ・パストリアス・ビッグ・バンドと共通するものを感じさせ、
そこが<音楽の遊園地>といった感想を抱いたせいかもしれません。
ジャコがよく取り上げたチャーリー・パーカーの「ドナ・リー」をこんなに愛らしくアレンジしたのは、
初めて聴いた気がするし、アイルト・モレイラの「ミストゥラーダ」のアレンジもチャーミングです。

話題のアントニオ・ロウレイロはじめ、トニーニョ・オルタや
現代音楽畑のピアニスト、ベンジャミン・タウブキンなどもゲスト参加したこのオーケストラ、
譜面と首っ引きに演奏してるような感が強く、
演奏にグルーヴやダイナミズムが不足しているのは、このテの音楽に共通する欠点ですけれど、
まずは苦手意識が取り払われて聴けたのは収穫でした。

Ramo.JPG

ミストゥラーダ・オルケストラを小編成にしたかのようなミナス若手5人組の新グループ、
ラモも一緒に入ってきたのであわせて聞いてみましたが、こっちは、う~む。
プロデューサーのベンジャミン・タウブキンの色が強く出ていて、現代音楽になっちゃってます。
即興部分の、もったいつけた静的なパートやどしゃめしゃに暴れるパートの前衛クリシェも古臭い。
アントニオ・ロウレイロやラファエル・マルチニに才気があるのは認めますけど、
旧来の音楽を超えるような<ひらめき>は感じられません。
「ラテンの意味が書き換えられる」ですって?
こうしたインテリ向け音楽に、そんな大それた力はありませんって。

Misturada Orquestra "MISTURADA ORQUESTRA" no label MCD0111 (2009)
Ramo "RAMO" Funarte no number (2009)
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