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現代っ子のレトロ・サンバ スサーナ・ダル・ポス [ブラジル]

Susana Dal Poz  SÓ SAMBAS.JPG

フィーナ・フロールというブラジルのレーベル、目が放せませんね。
去年このレーベルからデビューしたニーナ・ヴィルチが、
レトロな味わいのサンバを聞かせてくれて、すっかりお気に入りになったんですけど、
今度はスサーナ・ダル・ポスという、ノスタルジックな風合いのサンバを歌う
女性歌手のデビュー作がお目見えしました。

冒頭から、柔らかなサンバのリズムにのせて優雅なホーン・セクションが流れ、思わずうっとり。
古いサンバ好きにはたまらないアレンジで、口元もほころびます。
今日びのサンバ・アルバムで、こういうサウンドはなかなか聞けませんからねえ。
ニーナ・ヴィルチのデビュー作にニンマリした人なら、頬が緩ぶことウケアイです。

ニーナ・ヴィルチのアルバムはサロン風のサンバ/ショーロのアレンジとなっていましたが、
こちらは管や弦をふんだんに使ったサンバ。テレーザ・クリスチーナのバックを務める
グルーポ・セメンチのメンバーが大勢参加しています。
ニーナ・ヴィルチとはプロデューサーは別ですけれど、
どちらもノスタルジックな雰囲気に仕上げているところは同じ。
こうしたテイストが、フィーナ・フロールというレーベル・カラーなんでしょう。

レパートリーは名曲中の名曲がずらり。
ジョアン・ジルベルトのレパートリーとして有名なアロルド・バルボーザ作
「マダムとの喧嘩はなんのため」、ノエール・ローザの「何を着ていくの?」、
ジェラルド・ペレイラの「偽りのバイーア娘」、
ギリェルミ・ジ・ブリートとネルソン・カヴァキーニョの「花とトゲ」、
ほかにもアシス・ヴァレンチ、ドリヴァル・カイーミ、ウィルソン・モレイラの名曲が並びます。

レトロ・サンバの酸いも甘いも知った職人芸的な伴奏に対し、
主役のスサーナの歌いぶりは、まだ硬さも残るウイウイしいもの。
かつてマランドロたちが歌ったサンバの粋を表現するには、お行儀が良いというか、
いかにも現代っ子らしい味の薄さに物足りなさも覚えますけど、時代が違うんだもんねえ。
今の若い人に、昔の濃厚な味を求めたってしょうがないよなあ。
21世紀現代ならではの、品の良い味わいを楽しまなくちゃ。
というわけで、このデビュー作、ぼくは支持します。

Susana Dal Poz "SÓ SAMBAS" Fina Flor FF046 (2013)
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