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マラガシ・ブルージー ララ・ジャーヴァ [インド洋]

Lala Njava  MALAGASY BLUES SONG.JPG

マダガスカルでこんなブルージーな歌、はじめて聴きました。

『マラガシ・ブルース・ソング』というタイトルそのものの曲が並んだアルバム、
5人兄弟姉妹グループのジャーヴァで歌手を務めていた
ララ・ジャーヴァのソロ・デビュー作です。

ララは若い頃、近所に暮らしていたママ・サナが歌うシャーマニックな歌に強い影響を受け、
マダガスカルの伝統的なメロディにエモーショナルな歌の表情を吹き込んだ、
独自の個性を作り出していったんだそうです。

内面にぐーっと沈み込んでいくような歌は、なるほどシャーマン的。
喉をつめた苦味のある発声はブルージーな薫りを放ち、聴き手を捉えて放さない魔力があります。
ララがフランスのディープ・フォレストや
フレデリック・ガリアーノのアルバムにゲストに起用されたのも、
心の奥底の襞を揺らすような、ディープな歌声の質にあったのかもしれませんね。

このアルバムでは、元ジャーヴァのメンバーたちがララのバックを務め、
ギター、ベース、ドラムスという標準編成で、マダガスカルの伝統楽器はまったく使っていません。
それにもかかわらず、ヴァリハのフレーズを移し変えたギターなど、
サウンドは強烈にマダガスカルの伝統を感じさせるものとなっていて、
従来のマラガシ・ポップにない新鮮さに溢れています。

以前、マリのグリオ歌手バコ・ダニョンが、ンゴニやコラなどの伝統楽器を一切使わず、
ギターを中心にしたアンサンブルで聞かせたアルバム“TITATI”(07) がありましたけれど、
ララが本作で聞かせたアンサンブルも、あの名作に匹敵するものといえますね。

マダガスカルを代表するアコーディオン奏者レジス・ジザヴがゲスト参加しているんですが、
ララの音楽性をよく理解し、アコーディオンの華やかな響きを抑えたのは大正解。
ハーモニカのようにも聞こえる蛇腹の響きを強調し、
ブルージーなサウンドを盛り立てて効果を上げています。

寄せては返す波のような静かな反復を繰り返す“Blues Song” は、
メロディが希薄で語り物ともいえるような曲ですけれど、
マラガシ・ブルージーな魅力をいっぱいに湛えています。

Lala Njava "MALAGASY BLUES SONG" Riverboat TUGCD1069 (2013)
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