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ジャイヴィーなパップ・ヴォーカリスト ジョー・キャロル [北アメリカ]

Joe Carroll Charlie Parker.jpg

♪ウィ~、ダブディゥディゥディビリワッ! ウィ~、ダブディゥディゥディビリワッ!♪
♪シャバドゥバ、ダッダッダッダバ、イェ~、リィ~、ビバップ! ウッパッパダッ!♪

うぅぅ、しびれるぅ~。
やっぱジョー・キャロルは、ぼくにとって理想的なバップ・ヴォーカリストだぁ。

バップ・ヴォーカリストにもいろんな個性の人がいますけど、
ビリー・エクスタインは上品すぎるし、キング・プレジャーは知的すぎる。
かといってバブス・ゴンザレスでは器楽的すぎるし、エディ・ジェファーソンだと泥臭く、
ケニー“パンチョ”ヘイグッドじゃあゲテモノぽいと、どの人も一長一短があって、
ジョー・キャロルほど、ぼくの好みにピタッとくる
バップ・ヴォーカリストはほかにいません。

ジョー・キャロルを聴いたのは、オルガン、テナー・サックス、ギター、
ドラムスをバックに歌う、62年のチャーリ・パーカー盤が初めてでした。
A面1曲目の暴走する「ルート66」のカッコよさに、
イッパツでまいっちゃったんですよね。
これを聴いてから、ナット・キング・コールの「ルート66」が、
えらくチンタラ走ってるように思えて、しょうがなくなりましたもの。
スピード感あふれるシャッフルにのった、ジョーの唾が飛ぶような歌いっぷりといい、
キレのある豪快なスキャットといい、
これほど胸をすく「ルート66」はほかにありません。

このほか「オー・レディー・ビー・グッド」の粋な男っぷり、
「ハニーサックル・ローズ」の女形もどきな艶っぽさをみせる芸風、
ミュート・トランペットのモノマネで、ワウ、ワウ言ってるだけの、
「ワウ・ワウ・ブルース」のノヴェルティー味といい、もうすべてがサイコー。

Joe Carroll Epic.jpg

のちにジョーの代表作とされる、
レイ・ブライアントらが伴奏した56年のエピック盤を聴いても、
ぼくにはこのブルージーでアーシーなチャーリ・パーカー盤の方が、やっぱりお気に入り。
要するにぼくがジョー・キャロルに魅力を感じるのは、
ジャズ・ヴォーカリストしてよりも、ジャイヴ・シンガーとしての面だったんですね。
キャブ・キャロウェイやスリム・ゲイラードよりも前にジョー・キャロルと出会ったのは、
のちにぼくがジャイヴにのめり込むのを予感してたようなもんです。

School Days.jpg   Dizzy Digs Paris  Giant Steps Recordings.jpg

ジョー・キャロルがバップ・ヴォーカリストとして名を上げたのは、
ディジー・ガレスピーとともに活動し、
ジャズ漫談ともいえるパフォーマンスを繰り広げたからで、
その録音はサヴォイ盤に残されているほか、
53年2月9日パリのライヴにも残されています。
一方、コミカルなジャイヴ・シンガーとしてのジョーの魅力を味わえるのは、
なんといっても、オール・ブラック・キャストによる
43年のミュージカル『ストーミー・ウェザー』でしょう。

Stormy Weather.jpg

主役のビル“ミスター・ボージャングル”ロビンソンが、ミシシッピ河を航行する蒸気船上で、
偶然出会ったウォッシュボード・バンドとタップダンスをやるシーン。
そのウォッシュボード・バンド、ザ・トランプ・バンドの一員として歌う、
<動くジョー・キャロル>を観たときは、そりゃあ、もうカンゲキしたのなんのって!

それがいまでは、DVDでザ・トランプ・バンドあらため
ザ・ミュージカル・マッドキャップスでジョーが歌う
“Rhythm Of The Rhythm Band” も観ることができるし、
YouTubeにも“Hit That Jive Jack” が上がっています。
いやあ、いい時代になったもんです。

軽妙にして洒落、都会的なセンスとブルージーな感覚をあわせ持ち、
圧倒的なスピード感とノリの良さを持ったバップ・ヴォーカリストにして、
コミカルで大衆芸能的な味わいのあったジャイヴ・シンガーといえば、
ジョー・キャロルことジョセフ・ポール・テイラーただ一人と、
言い切らせていただきましょう。

[LP] Joe Carroll "MAN WITH A HAPPY SOUND" Charlie Parker PLP802S (1962)
[LP] Joe Carroll "JOE CARROLL" Epic LN3272 (1956)
Dizzy Gillespie, Milt Jackson, Joe Carroll "SCHOOL DAYS" Savoy SV0157
Dizzy Gillespie "DIZZY DIGS PARIS : THE COMPLETE 9 FEBRUARY 1953 SALLE PLEYEL CONCERT" Giant Steps Recordings GSCR016
Lena Horne, Cab Calloway, Fatz Waller, Bill Robinson, The Tramp Band and others "STORMY WEATHER" 20th Century Fox 07822-11007-2
コメント(2) 

コメント 2

Astral

クゥー!“Hit That Jive Jack” ご機嫌とはこのことですね。
ジャイブ方面はまだまだ手つかずでしたが、いい人を教えてもらいました。
このジャイブ=スウィング+おふざけ感?に米国黒人芸能の真髄を聴く思いです。
by Astral (2014-02-15 00:01) 

bunboni

サイッコーでしょ、ジョー・キャロルは。
その昔ジャズ喫茶でリクエストすると、イヤがられたもんです。
ジャズ・ファンはキャブやゲイラード、嫌ってましたからねえ。
by bunboni (2014-02-15 00:26) 

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