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カラニッシュの巨石を想って イゾベル・アン・マーチン [ブリテン諸島]

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おお、期待通りのアルバムを作ってくれましたねえ。
スコットランド、ルイス島出身の女性シンガー、イゾベル・アン・マーチンの2作目。
こういうのを聴きたかったんですよ。

ドラムスが入った11年のデビュー作“DUSLACH IS ÓR ( DUST & GOLD)” とは打って変わり、
今作はアクースティック・ギターの伴奏を中心に、ピアノ、ホイッスル、チェロのほか、
コーラスが控えめに加わるだけという音数の少なさ。
デビュー作のにぎやかなプロダクションでは、この人の美しいソプラノ・ヴォイスが埋もれてしまい、
もっとシンプルなサウンドで歌った方が映えるのにと思っていたので、
今作のプロダクションは願ったりかなったり。

ひそやかな歌に伴奏がそっと寄り添うだけのプロダクションは、
目下愛聴中のアイルランドのフィオナ・ケラハーのデビュー作とも相通じるものがありますね。
ランリグのギタリスト、マルコルム・ジョーンズが伴奏を務めた曲では、
エレクトリック・ギターのストロークがさざなみのようなエフェクトを生み出していて、
ただシンプルなだけではない、神経の行き届いたプロダクションを施していることがわかります。

無伴奏の7曲目、太く深い音色を響かせるチェロと、
イゾベルのソプラノの鮮やかな対照が美しい9曲目、
さらにアルバム・ラストでは、
ルイス島の港町ストーノウェイに伝承された讃美歌がコーラスとともに歌われます。
ルイス島には、イギリスに現存するストーン・サークルの中でもほぼ原型をとどめているという、
カラニッシュ遺跡があることで有名ですけど、鎮魂歌のような響きを持つその神秘的な旋律に、
そびえ立つ巨石の光景が目に浮かぶような思いがしました。

イゾベルは18歳の時、スコットランド音楽祭のロイヤル・ナショナル・モッドで
金賞を受賞した実力者。
全曲スコットランド・ゲール語で歌い、約半数が伝承曲という本作は、
彼女の実力を見事に開花させました。

Isobel Ann Martin "SONAS" Leum Music LR002 (2013)
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