知られざるラマタ・ジャキテのNY・セッション [西アフリカ]
マリ、ワスルの女性歌手ラマタ・ジャキテが、03年に出したアメリカ盤を手に入れました。
アメリカでレコーディングしたアルバムがあったなんて、全然知りませんでしたねえ。
聴いてみると、これがすごくいい出来で、さらにびっくりです。
ラマタ・ジャキテといえば、98年のセカンド作“NA” がフランスのコバルトから配給され、
世界でもその名が一躍知られるようになった人です。
現地マリでは95年のデビュー・カセット“ARTISTES” が大ヒットして、一躍スターとなりました。
“ARTISTES” はその後、タイトル曲のライヴ・ヴァージョンを追加して98年にCD化されています。
04年作の“I DANSE” を最後に、その後音沙汰を聞かずにいたところ、
09年11月にA型肝炎で亡くなったことを、だいぶ後になってから知りました。
結婚のお披露目を目前に控えていたそうで、まだ35歳という死はあまりに早すぎました。
ちなみに、ウィキペディアほかあちこちに誤った記載がありますが、ラマタの生年は74年です。
最後に聴いた“I DANSE” のプロダクションが物足りない内容だっただけに、
その前年にニューヨークで録音された“MABA” の素晴らしい出来は予想外でした。
ドラムス、ベース、ギター、ハーモニカなどミュージシャンの大半はアメリカ人で、
マリ勢はコラのママドゥ・ジャバテ、カマレ・ンゴニのママドゥ・シディベ、
バック・ボーカルのアブドゥライ・ジャバテの3人のみ。
ワスル音楽をベースに、ほどよく加味された異種の音楽要素が、
面白い化学反応を起こしたアルバムに仕上がりました。
ブルースやインド音楽とミクスチュアした曲があるのが面白いところ。
バンスリやハルモニウムの演奏者の名前を見ると、インド人ではなくアメリカ人のようですが、
ワスルのメロディとインド風味がよく調和しています。
タイトル曲はブルース・ハープのソロをフィーチャーしたブルース・ナンバーで、
これがまた無理のない仕上がり。ラマタのチャーミングな歌い口もよく映えます。
そしてアルバムの最後は、カマレ・ンゴニ1台をバックに歌って締めくくるという、
ワスルらしい心意気が嬉しいじゃないですか。
プロデューサーでギタリストのマイケルとクリストファーのデプタト兄弟含め、
アメリカ人ミュージシャンたちは知らない名前ばかりで、
セカンド・ムーンというレーベルも聞いたことがありませんが、
このまま埋もれてしまうにはあまりにはもったいない、ラマタの知られざる名作です。
Ramatou Diakite "MABA" Second Moon 5003 (2003)
Ramata Diakité "NA" Cobalt 09291-2 (1999)
Ramata Diakité "ARTISTES" Mali K7 no number (1998)
2015-02-11 00:00
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