アーシーなギター・バンド・ハイライフ ヤモアーズ・バンド [西アフリカ]
ヤモアーズ・バンドは、60~70年代のガーナで人気を集めたハイライフのギター・バンド。
ギター・バンド・ハイライフを代表するバンドのひとつです。
ぼくは70年に出たナイジェリア・プレスの10インチ盤を持っていますが、
デッカ・ウェスト・アフリカのWALシリーズから出されたこのレコードは、
フレミング・ハレヴさんのディスコグラフィにも未掲載で、知られざる1枚となっています。
ハイライフの専門書“GHANA HIGHLIFE MUSIC” でさえも、
72年のモーターウェイ盤“YAMOAH'S SPECIAL” が初レコードと書かれているくらいなので、
この70年の10インチ盤は存在自体、まったく知られていないみたいですね。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2012-10-14
その10インチ盤の収録曲を含むヤモアーズ・バンドの音源がリイシューされ、
バンド・リーダーでギタリストのP・K・ヤモアー(ピーター・クワベナ・ヤモアー)名義で、
CD4タイトルがリリースされました。
このCD、ダウンロードならばアマゾンでも販売されているんですが、フィジカルが見つからず、
ガーナ音楽専門サイトにも在庫がなくて、入手にはずいぶん苦労させられました。
ガーナ内陸の都市クマシを拠点に活躍したヤモアーズ・バンドは、
54年にギャックス・ギター・バンドとして結成され、
57年にリーダーの名を取ったバンド名に変えました。
オルガンを前面にフィーチャーし、重量感のあるリズム・セクションを武器に、
キャッチーなブレイクや独自のバックビートを特徴としていました。
のちにアフリカン・ブラザーズ・バンドを率いて活躍する歌手のナナ・アンパドゥが、
プロとして最初に参加したバンドが、このヤモアーズ・バンドでした。
CDには60年代録音のコレクションと謳われていますが、実際は70年代の録音が多く、
なかには90年代以降と思われる新しい録音も収録されています。
4枚ともそれら新旧録音がアトランダムに編集されていて、
選曲・曲順になんのポリシーもなければ、クレジットも皆無という、かなりトホホなもの。
第2集にはサブ・タイトルにもなっているヒット曲の“Serwa Akoto” が、
重複収録されていて、そのいい加減な編集ぶりにあきれ果てます。
第1集と第4集には、打ち込みやシンセを派手に使った曲なども入っていて、びっくり。
ヤモアーズ・バンドがつい最近まで活動していたことを、今回のCD化で初めて知りました。
メロディはハイライフでもリズムがスークースだったり、もろにルンバ・ロック調の曲があったりと、
泥臭いハイライフとルンバ・ロックがミックスされたサウンドが楽しめます。
一方、第2集と第3集には新しい録音はなく、60~70年代録音が中心で、
レイドバック感覚のハイライフと、急速調の曲とがバランスよく編集されています。
第2集の方はやや地味めな曲が並んでいますが、
伝統的なリズムのパートを取り入れた曲などは聴き逃せませんよ。
ヤモアーズ・バンドの魅力はドラムスとベースのコンビネーションで、
ジェリー・ジェモットばりのベース・ラインが、グルーヴィーなんですよ。
レゲエが登場する時代の録音だというのに、
レゲエを思わせるバックビートを聞かせるところも面白いところで、
トコトコトコとアクセントを付けるパーカッションが、
まるでナイヤビンギみたいに聞こえたりするところにも耳を奪われます。
[10インチ] Yamoah’s Band "GUITAR MUSIC" Decca WAL1039 (1970)
P.K. Yamoah "YAMOAH’S HIGH-LIFE COLLECTION VOL.1 : DEDE NYE" Owusek no number
P.K. Yamoah "YAMOAH’S HIGH-LIFE COLLECTION VOL.2 : SERWA AKOTO" Owusek no number
P.K. Yamoah "YAMOAH’S HIGH-LIFE COLLECTION VOL.3 : SAMAN ME" Owusek no number
P.K. Yamoah "YAMOAH’S HIGH-LIFE COLLECTION VOL.4 : ONIPA YE BAD" Owusek no number
2015-03-15 00:00
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