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ストリートのコンペティションからレコード・デビューへ コリントン・アインラ [西アフリカ]

Kollington Ayinla  MR. FOOLISH.jpg   Kollington Ayinla  IJOBA ALAGBADA.jpg

コリントン・アインラのデビュー作とセカンド作らしきCDが手に入りました。
オリジナルLPを見たことがなく、本当にデビュー作かどうか定かじゃないんですけどね。
今月号の『レコード・コレクターズ』のリイシュー・アルバム・ガイドの原稿に、
偶然にもコリントン・アインラ初期の名作、83年の“ORO IDIBO” を取り上げたばかりで、
もう少し早く見つけていたら、こっちを記事にしてもよかったかなあ。

リリース年の記載がなく、遠藤斗志也さんのディスコグラフィでも不明となっている
ムクソン・ミュージック盤で、遠藤さんのディスコグラフィにはMucson とありますが、
CDにはMukson と書かれています。
リリースは、シキル・アインデ・バリスターのデビューと同時期のはずで、69年頃でしょうか。
少し回転数が早いんじゃないかと思わせる、コリントンの少年のような若い声が印象的。
バックの演奏にアギディボが加わっているところや、途中で笛がフィーチャーされるところは、
シキル・アインデ・バリスターのデビュー作とおんなじですね。
お神楽富士ですよ、あはは。(↓参照)
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2011-08-11

“VOL.2” と書かれたセカンド作とおぼしき“IJOBA ALAGBADA” では、
成長した大人の声(?)で、聴き慣れたコリントンの強力なメリスマが炸裂します。
う~ん、やっぱりデビュー作の方は、回転数が早いのかな。
ちなみに、こちらでは笛は登場しません。

49年生まれのコリントン・アインラは、レゴス、メインランドのエビュート・メッタで育ち、
62年に地元のウェレのグループに加わり、
わずか3年後の65年には、ンナンジ・アジキウェ・カップという
ウェレのナショナル・コンペティションで優勝した経歴の持ち主。

シキル・アインデ・バリスターは、わずか10歳でアギディボ奏者として
地元ムシンのウェレのグループに加わり、すぐに歌手として頭角を現し、
コカ・コーラ社主催のウェレ・コンペティションで優勝しています。
60年代の頃からコリントンをライヴァルとして意識していたそうで、
フジの名のもとレコード・デビューする以前の
ウェレ・コンペティション時代から、二人はライヴァルだったんですね。
ちなみに二人とも、同じ67年に兵役にとられているんですよ。

それにしても、かたやエビュート・メッタ、かたやムシンですからねえ。
どちらもレゴスの庶民街、それもスラムがあるような、かなり貧しい住民の地区で、
そういった場所のストリートで若者たちが競い合ったコンペティションの雰囲気って、
どんなものだったのかなあ。

90年にナイジェリアへ行った時のムシンは、強烈だったもんなあ。
シキル・アインデ・バリスターのレーベルの直轄レコード店が線路沿いにあって、
そこのマダムと仲良くなったもんで、よく通ったんだけど、すごい町でしたよ。

Mushin_Nigeria 1990.jpg

ドブの下水がそこらに溢れ出て、町中に汚水や小便の臭いが漂っているし、
ナイフを手に喧嘩する男たちを目の当たりにするかと思えば、
高足の仮面踊りで人を脅かすタチの悪いカツアゲ集団に出くわしたりと、
ロクでもない町という印象は、今でも残っていますよ。
ヒップ・ホップ誕生時のニュー・ヨークのサウス・ブロンクス地区って、
こんな町だったんじゃないかと思ったもんです。

Alhaji Kollington Ayinla and His Fuji Group "MR. FOOLISH" Mukson Music LRC(LP)01
Alhaji Kollington Ayinla and His Fuji Group "IJOBA ALAGBADA" Mukson Music LRC(LP)03
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