東アジアの感性伝えるポストロック・バンド 大象體操(エレファント・ジム) [東アジア]
才能豊かなミュージシャンが目白押しの台湾インディに、
目を見張るばかりなんですけど、またまた面白いバンドを見つけちゃいました。
それが、エレファント・ジム。
12年に高雄で結成された、スリー・ピースのポストロックのバンドです。
これまでジャズやネオ・ソウルの分野で、台湾に注目していたんですが、
こちらはポストロックという、ぼくの目ではなかなか見つからないジャンルのバンド。
そんな門外漢でも気付けるほど、すでに日本でも人気急上昇で、
大勢のファンがいるんだそう。それもそのはず、19年に初来日し、
昨年はフジロックへ出演して、秋に2度目の日本ツアーもしていたんですねえ。
もともとインストのバンドだったようですけれど、近年はヴォーカルをフィーチャーして、
ヒップ・ホップやフューチャー・ソウルに接近するサウンドを展開するようになり、
それでぼくの耳にも届くようになったみたい。最初に聴いたのが、
日本ツアーのライヴ会場で販売していたという、3曲入りEPの『凝視 GAZE AT BLUE』。
ピアノ・ソロと、インストとヴォーカル入りの
二つのヴァージョンのタイトル曲の実質2曲で、
ベースの張凱婷(KT・チャン)が作曲した、
静謐な1曲目のピアノ・ソロに引き込まれました。
抑制の利いたピアノを弾いているのはKT・チャン。そのシンプルなピアノ・プレイと、
次のタイトル曲でのテクニカルでメロディアスなベース・プレイは、対照的でした。
そして昨年リリースされた新作は、ソリッドなギターの音色、よく歌うベース・ライン、
引き締まったビートを叩き出すドラムスという、これまでの彼らの音楽性をベースに、
楽曲がよりポップになりましたね。ヴォーカルもフィーチャーして(日本語曲もあり)、
幅広いリスナーへアピールする内容になっています。
張凱翔(テル・チャン)の変拍子を多用したコンポジションが、個人的に花丸ポイント。
CDを買ったお店で付いてきた特典CD-Rには、
チャイコフスキーの曲を弾いた短いギター・ソロと、
高雄管弦楽団とコラボしたライヴ録音が収録されていて、
彼らの音楽性の豊かさがうかがえます。
新作は、淡い色の風景を描くサウンドスケープが、
東アジアらしい感性を伝えるようで、その美しさに魅せられました。
ライヴ、観てみたかったかも。
大象體操 Elephant Gym 「凝視 GAZE AT BLUE」 no label EG002 (2019)
Elephant Gym 「DREAMS」 Word WDSR005 (2022)
2023-03-31 00:00
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