キューバ伝説の姉妹の復活劇 ラス・エルマナス・マルケス [カリブ海]
デッド・ストック放出品から見つけた1枚。
キューバの女性コーラス・グループらしいんだけど、ぜんぜん知らない名前。
04年にスペインのレーベルから出たCDで、
「パキート・デリベラ・プレゼンツ」とあるのが気になって、拾ってみました。
手に入れてみると、48ページに及ぶブックレットが入っていて、
グループの歴史の略歴に、往年の写真がたくさん載っています。
歴史的な名グループだったんですねえ。
ラス・エルマナス・マルケスは、
キューバの音楽一家のもとに生まれた3姉妹のコーラス・トリオ。
3姉妹が暮らすプエルト・パードレで31年から活動を始め、
33年にはサンティアゴ・デ・クーバに呼ばれてラジオ出演し、
37年にはハバナへ進出してさまざまなラジオ局へ出演するほか、
劇場でリサイタルを行い、絶大な人気を誇ったといいます。
41年にはRCAビクターへ初録音。
女性トリオがレコーディングしたのは、ラテン・アメリカで初だったとのこと。
第二次世界大戦中から戦後にかけ、キューバ国内ばかりでなく
カリブ海諸国、ベネズエラ、メキシコをツアーしてさらに名声を高め、
51年にニュー・ヨークで1か月公演を行い、
その後そのままアメリカに移住したそうです。
60年代まで東海岸を中心に演奏活動を続けていましたが、
両親の介護のために芸能活動を中止し、長い沈黙によって伝説となり、
忘れられた存在になってしまったんですね。
両親が亡くなり、90年からトリサとネルサの二人で活動を再開したことで、
パキート・デリベラが彼女たちを説得し、このレコーディングが実現したそうです。
ギター、ベース、パーカッションというシンプルな伴奏で歌うマルケス姉妹は、
キレのある歌いぶりを聞かせてくれます。息の合ったハーモニーや掛け合いは、
長年一緒に歌ってきたコンビの賜物ですね。
お二人ともかなりの高齢とは思いますけれど、
軽やかに歌うグァラーチャのノリなんて、バツグンじゃないですか。
曲によって加わるパキート・デリベラのサックス、クラリネットも好演。
エルネスト・レクオーナの名曲 ‘La Comparsa’ のクラリネットには
泣けました。この曲のみインスト演奏なんですよ。胸に沁みますねえ。
ダニエル・サントスが41年に残した ‘Yo No Se Nada’ を歌っているのも嬉しい。
ラテン・ファンには、ボレーロの歴史的名唱 ‘Olga’ と
同日録音の曲としても知られていますね。
ラストにシークレット・トラックでライヴ録音が1曲入っていて、
ユーモラスな歌唱で客を沸かせます。心がほっこりする、
とっても愛らしいステキなアルバムです。
Las Hermanas Márquez "PAQUITO D'RIVERA PRESENTS LAS HERMANAS MÁRQUEZ" Pimienta 8 245 360 599-2 5 (2004)
2023-05-30 00:00
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