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コブシこそフジのアイデンティティ ワシウ・アラビ・パスマ [西アフリカ]

Wasiu Alabi Pasuma  LEGENDARY.jpg

アフロビーツはCDでまったく出なくなっちゃったけど、フジはまだCD健在。
コロナ禍が明け、現地買い付けのナイジェリア盤CDと久しぶりにご対面できました。
だけど、まぁ、ずいぶんとジャケットがぺらっぺらになっちゃったねえ。
ペーパー・スリーヴがボール紙じゃなくて、薄いコート紙みたいなのになっちゃった。

なんだかこれを見て、80年代のキューバ盤LPを思い出しちゃいましたよ。
オマーラ・ポルトゥオンドの “CANTA EL SON” とか、
グルーポ・シエラ・マエストラの “¡Y SON ASÍ!” とか。
もはやジャケットとは呼べない、内袋みたいな薄さのジャケットでしたね。
どちらも83年のレコードだったけど、キューバ経済がドン底の時代のもので、
物資不足だったんでしょうねえ。

さて、そのペラペラの新作フジCDで良かったのは、
実力最高で定番の、スレイモン・アラオ・アデクンレ・マライカとワシウ・アラビ・パスマ。
偶然にも、二人ともロール・モデル・エンターテインメントという、
初めて聞くレーベルからの新作です。新興のレコード会社に移籍したんでしょうか。

若手のスレイモン・アラオ・アデクンレ・マライカが絶好調で、
ここでも、これまでに2度ほど取り上げてきました。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2019-07-04
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2020-03-12
今回の22年の新作 “PASSWORD” も長尺の2曲という構成で、
気合の入った充実作でしたけれど、
今回はワシウ・アラビ・パスマの方を取り上げましょう。

パスマの新作を聴くのは、“2020” 以来です。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2022-04-19
昨年10月に出た本作は、3・4分台の曲が3曲続いたあと、
後半が6分台、12分台、そしてラストが32分台の長尺曲という
構成になっています。

第一声のガラガラ声に、はや頬がゆるんじゃうんですけど、
パスマの力量のあるフジ声はあいかわらず絶好調。
肉感たっぷりのファットな歌声にホレボレします。
今回新味を感じたのが、3曲目の ‘God Bless Nigeria’。
トラップ・ドラムやトーキング・ドラムのアンサンブル不在で、
バック・トラックがウチコミとシンセのみで作っているんですね。

ウチコミは明らかにアフロビーツのセンスのビートメイキングで、
そこにジュジュ/フジ特有のシンセを絡ませ、
アフロビーツ時代に対応したフジを生み出しています。
ひと昔前なら、トーキング・ドラム・アンサンブルが不在で、
ウチコミのフジなんて、サイテーのひとことで終わった気がしますけれど、
ジュジュのサウンドに接近してきたフジが、フジのアイデンティティを保ちながら、
アフロビーツ時代にも対応できるサウンドを獲得したと実感できる曲です。

この曲を聴いて、フジのアイデンティティは、
パーカッション・アンサンブルばかりじゃなくて、
強力なコブシにあるんだってことを、あらためて再認識させられましたよ。
今回こうしたプロダクションはこの1曲だけでしたが、
アフロビーツ時代に更新していくフジのサウンドとして、この方向性はありですね。
もちろんそのためには、鍛えられたフジ声によるコブシ回しあってこそですけれど。

Alhaji Wasiu Alabi Pasuma "LEGENDARY" Roll Model Entertainment no number (2022)
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