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ブラジル最高峰のジャズ ミシャエル・ピポキーニャ [ブラジル]

Michael Pipoquinha  UM NOVA TOM.jpg

やったあ~! ブラジルの超絶技巧ベーシスト、
ミシャエル・ピポキーニャが昨年デジタル・リリースした作品がついにCD化!
去年、これをフィジカルにしないなんて犯罪だぁ!と天を仰いだんだけど、
ついにやってくれました(感涙)。

ミシャエル・ピポキーニャは、96年北東部セアラー州リモエイロ・ド・ノルテの生まれ。
音楽一家に育ち、10歳の頃に祖父や父からベースを習い、
はや1年でプロのミュージシャンとして演奏していたという、早熟の天才です。
野外のステージで、サックス、キーボード、ドラムスを演奏する大人たちにまざって、
6弦ベースで堂々たるスラップを披露するプレイを YouTube で
観てブッとんだんですけど、これ、わずか14歳の時だったんだよねえ。

スタンリー・クラークやヴィクター・ウッテンの影響大なベース・プレイを、
磨きに磨き上げた超絶技巧が、もうハンパなくスゴイんですよ。
本作でも、 ‘Jazz Pipocado’ で絶頂期のジャコ・パストリアスを凌ぐ
驚異的なベース・ソロを披露しているんだけれど、
ジャコのベース・プレイの特徴を完璧にトレースしながら、
さらに洗練させて生前のジャコ以上にジャコらしく弾いてみせるんだから、参ります。

そして本作を聴いて、さらにブッたまげたのがピポキーニャの作曲能力。
めまぐるしくリズムを変化させて。変拍子も使いつつ複雑な構成を持つ楽曲が圧巻。
これほどの高い音楽性の持ち主だとは、心底驚きました。

ピポキーニャのベースに、ジョズエ・ロペスのサックス、チアゴ・アルメイダのキーボード、
フィロー・マシャードの息子セルジーニョ・マシャードのドラムスを中心に、
ヴァネッサ・モレーノのヴォイス、メストリーニョのアコーディオン、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2017-11-13
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2016-06-25
ペルナンブーコのアントニオ・ノブレガ(ラベッカではなくヴォーカルで参加)など、
大勢のゲストを迎えて制作されています。

入念に練り上げたスコアによるレコーディングであることは、間違いないですね。
21世紀のグローバル・ジャズの要素がすべて詰まっていて、ロバート・グラスパー、
サンダーキャット、ジェイムズ・フランシーズと肩を並べる作品ですよ。
それもそのはず、ピポキーニャはすでに15年にドイツのケルンで、
WDRビッグバンドやジェイコブ・コリアーとともに演奏をしているくらいだから、
その高い音楽性のキャリアはすでに十分なんですね。

今回のCD化で1点だけ悔やまれるのは、 ‘Confissão’ のみカットされてしまったこと。
収録時間79分ギリギリ収録できた気もするんだけどなあ。
とにもかくにもフィジカル作ってくれてバンザイな、ブラジル最高峰のジャズ作品です。

Michael Pipoquinha "UM NOVA TOM" Umbilical 21#03 (2023)
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