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麗しき50年代インドネシア軽音楽 [東南アジア]

KENANG KENANGAN.jpg   IRAMA LATIN.jpg

50年代インドネシアのSP音源をコンパイルしたCDといえば、
日本一のインドネシア音楽コレクター吉岡修さんの自主制作レーベル、
ポルカ・ドット・ディスクの独壇場でしたけれど、
東南アジアのレコード・ディガー、
馬場正道さんのコレクションCDが新たにお目見えしました。

馬場正道さんといえば、
『レコード・バイヤーズ・グラフィティ ヴァイナル・マニアの数奇な人生』
(ミズモトアキラ著、リットーミュージック、2011)をはじめ、常盤響との共著
『アジアのレコードデザイン集』(DU BOOKS、2013)など、さまざまな記事で
猟盤エピソードを楽しく読んできましたが、CDを作ったのはこれが初だそうです。

収録されたSP原盤は、
インドネシア独立後最初に設立されたレコード会社イラマを筆頭に、
国営レコード会社のロカナンタのほかムティアラやグンビーラなど、
50年代に次々と誕生したレーベルの数々。

地方の民謡にマンボ、チャチャチャなどのラテン・アレンジを施した曲から、
都会的で洗練された粋なラウンジー・ジャズまで、
50年代インドネシアのポピュラー音楽黎明期を飾るポップ・ソング、
計25曲が収録されています。

かつてポルカ・ドット・ディスクから出た『IRAMA LATIN』の続編ともいえる内容で、
奇しくも1曲目は『IRAMA LATIN』にも収録されていた、
オルケス・グマランの ‘Tak Tong Tong’。
ジャカルタに住むミナンカバウ人が53年に結成したグループで、
ミナンカバウ語で歌う地方語ソング、ラグ・ダエラの人気グループとして、
数多くのSPを残しています。

初期のオルケス・ムラユなど、まさにこの時代だからこそ聞ける
都会的で洗練された演奏は、エレガントかつ粋の極みで、
当時のインドネシアの音楽家たちの演奏水準の高さに、感じ入るほかありません。
50年代にジャズやラテンやハワイアンなどの洋楽を雑多に吸収していたのは、
日本も香港もマレイシアもタイも同様だったわけで、
その土地土地の軽音楽を生み出していきましたが、
とりわけインドネシアは独自の麗しい魅力にあふれ、
それがのちのポップ音楽への萌芽をもたらしたといえるのでしょうね。

IRAMA JAZZ.jpg   IRAMA HAWAIIAN.jpg

ところで、この『KENANG KENANGAN』は出たばかりだというのに、
もうソールド・アウトになっているそうですけれど、もし買い逃した人で、
ポルカ・ドット・ディスクの諸作を聴いていない人がいたら、
こちらをオススメします。ジャズ編・ハワイアン編もあって、たっぷり楽しめますよ。

v.a. 「KENANG KENANGAN」 Serie Teorema SRTM0002
v.a. 「IRAMA LATIN: VINTAGE LATIN OF INDONESIA 1950S」 Polka Dot Disc CDR008
v.a. 「IRAMA JAZZ: INDONESIAN JAZZ OF THE 1950S」 Polka Dot Disc CDR006
v.a. 「IRAMA HAWAIIAN: VINTAGE HAWAIIAN OF INDONESIA 1950S」 Polka Dot Disc CDR007
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