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コンポーズと即興演奏のオーガナイザー コマ・サクソ [北ヨーロッパ]

Koma Saxo  POST KOMA.jpg

コマ・サクソの新作がスゴイことになってる。
前作のエクレクティックなサウンドに、
未来派ジャズを幻視したような錯覚を覚えたものですが、
今思えば、それは錯覚じゃなかったんですね。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2022-05-23

ジャズ、クラシック、フォーク、ファンク、ビート・ミュージック、エレクトロニカと、
あらゆる音楽の実験場となっていた前作でしたけれど、
今作はその実験がひとつの完成形を見せていますよ。
どアタマから強靭なゆらぎビートで、クリス・デイヴ以降のジャズと
ビート・ミュージックを咀嚼したグルーヴがたまりません。

今作では、ペッター・エルドがサンプラーをかなり積極的に使用していて、
随所に短いカット・アップを組み込むなど、
サウンド・アーティストぶりを発揮しているんですが、
同時に即興演奏を際立たせるサウンドの構成が巧みで、
楽曲に明確なヴィジョンがあって、それを実現するアイディアも豊富なのね。
全13曲中1曲を除いてたった1日で録音した後に、
エルドが録音を重ねて完成させています。

なにより今作のいいのは、サウンドの風通しが良いこと。
リーダーのペッター・エルドのフレキシブルな音楽姿勢がメンバーに伝わり、
メンバー同士がインスパイアしあって、演奏にサプライズが起こっています。
コンセプト・アルバムの色彩が強かった前作とは、演奏の爆発力が違います。

バップからフリー・ジャズを経由してビート・ミュージックまでシームレスに繋がっていて、
ジャズの歴史を横断しつつ21世紀のジャズを響かせるコンポジションがスゴイ。
コンポーズと即興演奏をオーガナイズするペッター・エルドの力量を示した傑作です。

Koma Saxo "POST KOMA" We Jazz WJCD50 (2023)
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