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若返ったデイヴィッド・ブロムバーグ [北アメリカ]

David Bromberg Band  BIG ROAD.jpg

デイヴィッド・ブロムバーグは、
ぼくにとってライ・クーダーと並ぶアクースティック・ギター・ヒーロー。
10代の頃はギターをコピーしたり、熱心に聴いていましたけれど、
すっかりごぶさたとなっていましたねえ。

近年のアルバムを聴いていなかったわけじゃないんですけれど、
新作のオープニングには、ドギモを抜かれました。
戦前ミシシッピ・ブルースを代表する名曲、トミー・ジョンソンの‘Big Road’ を
カヴァーしているんですけど、オリジナル・ヴァージョンにはない、
ヒーカップを取り入れた奔放な歌いっぷりに、いやぁ、圧倒されましたよ。

なんですか、このハジけっぷりは。
昔とは比べものにならないくらい、ハツラツとしているじゃないですか。
モソモソと歌って、シブいギターを弾いていた71年のデビュー作とは、
とても同一人物に思えませんね。
74歳にして、これほどハリのある若返った歌声を聞かせてくれるとは、
予想だにしませんでした。

若い時に老成した音楽をやっていた人ほど、老年期を迎えて、
びっくりするほど若々しくなったりするものですけれど(J・J・ケイルとか)、
デイヴィッド・ブロムバーグも、まさにそんな一人ですね。
ヴォーカルも元気イッパイなら、ギターもソリッドで、
4管を含む10人編成のバンド・サウンドのコンビネーションも申し分ありません。
チューバには、名手ボブ・スチュワートが起用されています。

デイヴィッドを中心に五重唱で歌ったア・カペラのスピリチュアル
‘Standing In The Need Of Prayer’ もあれば、
ボブ・ウィルズのウェスタン・スウィングあり、
72年の傑作“DEMON IN DISGUISE” でやっていた
‘Diamond Lil’ の再演もやってくれていて、嬉しいったらありゃしない。
デイヴィッド・ブロムバーグ流アメリカン・ルーツ・ミュージックがてんこ盛りです。

さらに本作にはお楽しみがあり、レコーディングのメイキング映像や、
完成した5曲のヴィデオ映像を収めたDVDが付いています。
大きな窓から屋外もよく見える明るいクラブハウスで、
つい立なしのフロアに10人のメンバーが揃って演奏する様子は、
とても風通しが良く、メンバー全員がハツラツとしていますね。
デイヴィッドの絶好調ぶりが伝わる傑作です。

[CD+DVD] David Bromberg Band "BIG ROAD" Red House RHRCD315 (2020)
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