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更新された王道のアフロ・ソウル フレディ・マサンバ [中部アフリカ]

Fredy Massamba  TRANCESTRAL.jpg

いやぁ、すごくこなれたコンテンポラリー・ポップだなあ。
プロダクションがしっかりと制作されていて、
プロのポップ職人の仕事を見る思いがしますね。
インターナショナル・マーケットをターゲットにしたアフリカものでは、
これ、出色の出来じゃないですか。

コンゴ共和国ポワント=ノワール出身のフレディ・マサンバの4作目。
このアルバムで初めて知りましたけれど、71年生まれというから、もう50過ぎ。
91年にレ・タンブール・ド・ブラザに参加して世界をツアーし、
93年に勃発したコンゴ共和国内戦でフランスへ逃れ、
ザップ・ママやセネガルのラッパー、アワディとツアーをしてキャリアを積み、
10年にソロ・デビューした人だそうです。

オープニングでいきなり飛び出す、アカ・ピグミーのポリフォニーのサンプリングに驚愕。
続く2曲目のイントロでも、ンゴマを伴奏に手拍子で
コール・アンド・レスポンスをするコーラスがサンプリングされています。
オーセンティックな伝統サウンドから、ジャジーなエレピやギターにラップへと
シームレスにつなげても、なんら違和感なく接続するところが手腕だよなあ。

この人の場合、レ・タンブール・ド・ブラザにいたことが、コヤシとなったんでしょうね。
レ・タンブール・ド・ブラザは、身もフタもない言い方をすると、
外国人相手にアフリカ音楽をショーケース的に演奏するバンド。
少なくとも、ブラザヴィルの同邦に向けた音楽ではありません。
レ・タンブール・ド・ブラザで振付もしていたフレディは、
ここでグローバルなポップスのなかでアフリカ性を表現するスキルを体得したのでしょう。

クレジットを眺めるに、サウンドのキー・パーソンは、キンシャサ出身のギタリスト、
ロドリゲス・ヴァンガマと、プログラミングとアレンジを担当する
マルチ奏者ディディエータッチの二人のよう。
ブルンディ生まれのベルギー人ラッパー、スカ・ンティマがゲストに参加しているのも、
ディディエータッチがプロデュースしているよしみでしょう。

このほかゲストでは、ロクア・カンザといった大物から、
フレディ・マサンバと同郷のポワント=ノワール出身の若手ラッパー、
ストゥ・ワンダーや、マリ西部カイのグリオの家系に生まれ、
現在はカナダで活躍するシンガー、ジェリ・タパがフィーチャーされています。
全曲フレディのオリジナルで、ソングライティングも秀逸。
曲によりホーン・セクションもたっぷり使って、申し分のないプロダクションです。

21世紀に更新されたアフロ・ソウルはジャジーな味わい。
直球ストレートの王道ぶりに胸がすきます。

Fredy Massamba "TRANCESTRAL" Hangaa Music no number (2023)
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