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グエン・レのディスコグラフィから漏れた名作 セリーヌ・ボナシナ [西・中央ヨーロッパ]

Céline Bonacina Trio inviting Nguyên Lê  WAY OF LIFE.jpg

マイ・フェバリット・ギタリストのグエン・レの名を付したアルバムを発見。
10年にACTから出ていたバリトン・サックス奏者のソロ作なんですが、
知らなかったなあ、このアルバム。
グエン・レのウェブ・サイトのディスコグラフィーにも
なぜか載っていなかった参加アルバムで、それじゃあ、気付かないよなあ。

フランス、ベルフォール出身のセリーヌ・ボナシナは、
バリトンをメインに、ソプラノやアルトも吹くサックス奏者。
05年に出した自主制作のデビュー盤が評価されて、
ジャズ・フェスティヴァルへ招聘されるようになり、
09年のジャズ・コンペティションで優勝して、翌年のフェスティバル出演と
本作の制作が授与されたんだそうです。

本作の制作にあたって、セリーヌが影響を受けたグエン・レに参加を求めたのだそうで、
ACTで録音することになったのも、グエン・レの推薦だったようです。
バリトンらしい低音域をしっかりと効かせながら、
時にもフラジオも使って、パンチの利いたサウンドを出す一方、
ソロでは高音域もバリバリ吹き、非常に存在感のあるプレイをする人ですね。
スロー曲では、ジェリー・マリガンのような柔らかいトーンでも吹いたり、
多彩なサウンドを持った才能豊かな人です。

べース、ドラムスとのトリオというシンプルな編成で、
複雑なコンポジションを演奏しながら、強力なグルーヴに引っ張っていくのが、
セリーヌのサックスなんだから頼もしいじゃないですか。
彼女のリズム感がスゴイなと思ったら、
なんとセリーヌはレユニオンに7年暮らしていたんだそうで、
レユニオンの音楽と深く触れ合ったとのこと。
それって、マロヤだったんじゃないのかしらん。
そう思わずにはおれない、グルーヴ感の強さに感じ入りました。

しかも、ドラマーはマダガスカル出身なのだから、
インド洋のハチロク・リズムに精通していることは間違いないですよね。
バリトン、アルト、ソプラノを合奏したトラックや、
ハミングをオーヴァーダブしたり、ハーモニー・コーラスをフィーチャーするなど、
多彩なアイディアを施したアレンジも楽しめます。

グエン・レをフィーチャーした3曲では、それぞれ異なるギター・トーンで
弾き分けているところも、聴きどころ。
グエン・レ自身がライナー・ノーツまで書いているのに、
なぜディスコグラフィに載せなかったんでしょうね。単なる書き漏れか。

グエン・レへの興味から聴いたアルバムでしたけれど、
セリーヌ・ボナシナの才能に圧倒された一作、
彼女のほかのアルバムも聴いてみることにします。

Céline Bonacina Trio inviting Nguyên Lê "WAY OF LIFE" ACT 9498-2 (2010)
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