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伝統美とコンテンポラリーの調和 ドベ・ニャオレ [西アフリカ]

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コート・ジヴォワール出身のシンガー・ソングライター、
ドベ・ニャオレの昨年出た新作。チェックをもらしておりました。
コンテンポラリーなアフリカン・ファッションを打ち出したヴィジュアルが
この人らしいですね。

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04年のデビュー作を手にしたのだって、
レニ・リーフェンシュタールの『ヌバ』を思わすジャケット写真に、
度肝を抜かれたからだったもんなあ。
そのデビュー作では、ピグミーのコーラスにインスパイアされた歌などに
才気を感じさせたものの、アフリカ音楽を外から学んだような
インテリジェンスに、やや戸惑いを覚えたのが正直なところ。

それもそのはず、この人は、アビジャン近郊のキ・ユイ村で、
アフリカ各地から集まった仲間たちと音楽中心の共同生活を
送ったボニ・ニャオレの娘さんだったんですね。
幼い頃からコミューンの音楽的な環境に恵まれ、
才能豊かなシンガー・ソングライターとなったドベは、
アフリカの伝統社会から生まれた音楽家とは、まったく違う立ち位置で育ちました。
3作目となる10年作“DJEKPA LA YOU” では、ぐっとサウンドに肉体感が増し、
ドベのヴォーカルも自信に溢れて、スケールが大きくなったのを実感したものです。

コート・ジヴォワールの内戦を逃れてフランスへ渡り、
フランス人ギタリストでパートナーのコラン・ラローシュ・ド・フェリーヌとともに、
ヨーロッパで活動していたドベでしたが、
コロナの蔓延によって故国へ戻ることを決意し、
地元のミュージシャンたちとともに制作したのが、この新作だったのですね。

アビジャンのダンス・ポップス、スーグルーのトップ・スター、
ヤボンゴ・ロヴァをゲストに迎え、ズーグルーにアフロビーツなどを取り入れた、
コンテンポラリーなアフロ・ポップを聞かせてくれます。
ドラムスはすべてプログラミングで、ハウスぽいビート使いもあるものの、
きらびやかなギターやグルーヴィーなベースが生み出すサウンドは生命感に溢れ、
未来への希望を感じさせます。

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そんな希望に満ちた明るさは、6面パネルのジャケットや歌詞カードに収められた
ドベの装いにも溢れているじゃないですか。
伝統美とコンテンポラリーを調和させたファッションは、美麗の一語に尽きます。
アート・ディレクションを誰がしたのか、気になるところなんですけど、
なぜかクレジットはありません。スゴイ才能だと思うんですけれども。

Dobet Gnahoré "COULEUR" Cumbancha CMBCD145 (2021)
Dobet Gnahoré "ANO NEKO" Contre-Jour CJ014 (2004)
Dobet Gnahoré "DJEKPA LA YOU" Contre-Jour CJ024 (2010)
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