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ギリシャのアコーディオン女子 ミレラ・パフウ [東ヨーロッパ]

Mirela Pachou  LIGO CHORAMA.jpg

ギリシャのアコーディオン女子、ミレラ・パフウの2作目が出ました。
ピンクのスカートの裾を持ち上げて微笑んでいたデビュー作のジャケットから一転、
今回は白黒写真で、アコーディオンの鍵盤3か所に、
わずかに色付けしただけのシックなジャケットとなっています。
『小さな色』というタイトルを示しているんですね。

面白い個性の持ち主なんですよ、この人。
オールディーズのセンスで、
スウィンギーにしてロッキンなグリーク・ポップを聞かせてくれます。
ライカも歌ってはいますけれど、ミレラはライカ歌手ではありませんね。
ポップ・ライカも歌う、庶民派ポップ・シンガーというところでしょう。

こういうポジションのギリシャのシンガーというと、
マラヴェヤス・イリーガルことコースティス・マラヴェヤスがいますよね。
ギリシャ語のほか、英語、スペイン語、イタリア語を駆使して、
アメリカン・オールディーズからカンツォーネにタンゴ、スカまで歌っちゃう、
おとぼけシンガー・ソングライター。

チョイ悪なイケメン兄ちゃんといった外見とはウラハラに、
どこかトボけたB級ムードの歌を歌う人で、得難い才能の持ち主なんですが、
ミレラ・パフウもマラヴェヤス人脈の一人なんだとか。
どうりで音楽性もよく似ているわけです。

20070623_中山うり DoReMiFa.jpg

アコーディオンを抱えて、ノスタルジックな歌を歌う女子といえば、
S-KENがプロデュースしていたデビュー当初の中山うりがなんといっても秀逸で、
いまだに『ドレミファ』をよく聴き返すんですけれど、
カラッとした地中海の明るさを感じさせるミレラ・パフウには、
ほがらかな味わいがあって、これまた愛すべき1枚となりそうです。

Mirela Pachou "LIGO CHORAMA" Ogdoo Music Group no number (2018)
中山うり 「ドレミファ」 ソニー SICL165  (2007)
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マケドニアのコンテンポラリー・フォーク ルボイナ [東ヨーロッパ]

Luboyna & Ismail Lumanovski.jpg

両腕を思いっ切り伸ばして、深呼吸したくなるような、すがすがしさ。
オープニングのゆったりとおおらかなリズムにのせて歌う、
マケドニアの女性歌手ヴェラ・ミロシェフスカののびやかな歌唱に、
陶然としてしまいました。

マケドニアといえば、エスマやコチャニ・オーケスターに代表されるとおり、
ジプシー音楽のイメージが強いお国柄。
ところが、この曲にはそんなジプシーの猥雑な臭みはまったく感じられず、
抜けるような空の青さと、広々とした丘陵を思わせるメロディの美しさに胸を打たれます。
おそらくこれは、南スラブ系の民謡をベースに創作された曲なんでしょうねえ。

Vanja Lazarova.jpg

ああ、そういえば、思い出しました。
マケドニアの南スラブ系民謡歌手として世界的に知られた人で、
ヴァンヤ・ラザローヴァという女性歌手がいましたね。
“MACEDONIAN TRADITIONAL LOVE SONGS” で
素晴らしい歌声をきかせてくれたのが忘れられませんが、
ヴェラ・ミロシェフスカの歌いぶりは、まさにヴァンヤゆずりといえます。
調べてみたら、ヴァンヤは17年3月に亡くなられていたんですね。
86歳だったそうです。

さて、話をアルバムに戻して、2曲目からはジプシー色の濃い音楽も登場して、
アルバム名義にも添えられた、
名手イスマイル・ルマノフスキーのクラリネットも大活躍します。
バルカンらしい変拍子リズムあり、南スラブのフォークロア色濃い曲ありで、
マケドニアという複雑な民族と政治状況に揺れ続けてきた歴史のなかで、
文化混淆してきた音楽が、芳醇な香りを放っていますよ。

マケドニアは、ユーゴスラヴィア連邦の解体によって91年に独立した新興国で、
南スラヴ系のスラブ人種が多数を占める現在のマケドニア人は、
古代マケドニア王国と直接の民族的な関係はありません。
マケドニアと名乗る由来がないにもかかわらず国名にしたことで、
古代マケドニア王国の系譜を持つギリシャと鋭く対立し、
今なおその火種が続いていることは、よく知られているとおりです。
前に「南スラブ系民謡」という言い方をしたのも、その複雑な歴史事情を考えると、
「マケドニア民謡」と呼ぶには、ためらいをおぼえずにはおれなかったからでした。

このルボイナというマケドニアのグループは、
そんな複雑な民族事情を、豊かな文化混淆にかえたサウンドを実現していて、
ブルガリアのコンテンポラリー・フォークと共通した音楽性を持つバンドといえそうです。
ヴァイオリン、チェロ、カーヌーンの弦楽アンサンブルを、
レクやダルブッカなどのアラブ由来の打楽器が鼓舞するアンサンブルも聴きものなら、
ナイチンゲールの異名を持つ紅一点のヴェラ・ミロシェフスカの歌いぶりが、
なんといってもこのバンドの最大の魅力でしょう。
地中海世界に開かれた歌い口で、ギリシャやトルコと近しい現代性を感じさせます。

Luboyna & Ismail Lumanovski "SHERBET LUBOYNA" Bajro Zakon Co BZC007 (2015)
Vanja Lazarova "MACEDONIAN TRADITIONAL LOVE SONGS" Third Ear Music 099/1 (1999)
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現代レンベーティカの最高峰 カテリーナ・ツィリドゥ [東ヨーロッパ]

Katerina Tsiridou  AMAN KATERINA  A TRIBUTE TO PANAYIOTIS TOUNDAS.jpg   Katerina Tsiridou  OPOU KI AN EISAI GURISE.jpg

うわぁぁ、ハードボイルドだぞぉ。こりゃ、たまらん。

レンベーティカにこだわって歌い続けるヴェテラン女性歌手、
カテリーナ・ツィリドゥの新作、これは話題を呼びそうですね。
今回はスミルナ派を代表する作曲家、
パナギオーティス・トゥンダス(1886-1942)の作品集ですよ。

マルコス・ヴァンヴァカリスやヴァシリス・ツィツァーニスなど、
20世紀初頭のスミルナ派のレンベーティカを歌ったカテリーナの前作
“OPOU KI AN EISAI GURISE” も素晴らしかったんですけれど、
今作はパナギオーティス・トゥンダスの作品とあって、
さらにディープさを増して、現代レンベーティカの最高峰じゃないですか、これ。

生粋のスミルナっ子のパナギオーティスは、幼い頃からマンドリンを弾き歌い、
のちにエジプトで古典音楽も学んだ、スミルナ派きっての教養高い音楽家。
トルコとの住民交換後にピレウスへ移り、
24年にオデオン社ギリシャ支社のディレクターとなって、
数多くのレンベーティカを録音しました。
31年になるとコロンビアとHMVの音楽監督に迎え入れられ、
40年までに350曲以上の歌を残したといいます。
ローザ・エスケナージを見出したのも、パナギオーティスだったんですよ。

ブズーキ、バグラマー、カーヌーン、ヴァイオリン、チェロの弦楽器に、
アコーディオンとパーカッションを加えた、伝統的なレンベーティカのサウンドにのせ、
甘さを排したカテリーナの芯のある歌声がキリリとしていて、胸をすきます。
期待の若手女性歌手アレッティ・ケティメもサントゥールで参加していて、
1曲歌を歌っているのも、聴きどころ。
カテリーナの歌の合間にアレッティの声を聞くと、
なんとも可愛らしいというか、チャーミングですねえ。

かつてローザ・エスケナージが歌った、
パナギオーティスの代表曲“Chariklaki” はじめ、
無頼な味わいを色濃く残す、これぞ地中海のブルースといった、
パナギオーティス・トゥンダスのレンベーティカを堪能できる傑作です。

Katerina Tsiridou "AMAN KATERINA : A TRIBUTE TO PANAYIOTIS TOUNDAS" Protasis Music PR1173-2 (2016)
Katerina Tsiridou "OPOU KI AN EISAI GURISE" Protasis Music PR1157-2 (2012)
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ターボ・フォークの痛快作 ダーラ・ブバマラ [東ヨーロッパ]

Dara Bubamara.jpg

セルビア、ターボ・フォークの美人巨乳歌手、ターラ・ブバマラの新作。
しばらくアルバムが出ていませんでしたが、前線復帰作でしょうか。
毎度おなじみ、豊胸したバストを強調した写真が、ライナーにはたんまり。
セルビアの男どもを、さぞ喜ばせているんでしょうね。

76年生まれなので、すでに四十代ですか。
野性味たっぷり、艶やかさをあわせもつ姐御肌のエネルギッシュなヴォーカルは、
相変わらず胸をすく爽快さで、円熟味を増して
彼女のキャリア最高の境地を示しているんじゃないでしょうか。
ベタつかない切れ味、男前な歌いっぷりは、
南欧らしい乾いた情感を伝える、このジャンルならではの良さを示します

いわゆるウチコミ系ダンス・ポップスですけれど、
EDMではなく、ファンク味のあるアレンジが、ぼく好みなんですよね。
ターボ・フォークの醍醐味、バルカン・ブラスが活躍する曲ももちろんあり、
ジプシー・ルンバのリズムも巧みに取り入れています。
ほとんどの作曲とアレンジを手がけるデジャン・コスティッチ、才人ですね。
手を変え品を変えのアレンジで、さまざまな曲調を料理しながら、
骨太のグルーヴでアルバム全体を貫く手腕が鮮やかです。

ギンギンのロック・アレンジも、ある意味、見事に様式化したもので、
いわゆるお約束な楽しみが、聴き手の期待を裏切らないというか、
ポップスのあるべき姿みたいなプロダクションを作る人ですね。
以前夢中になった、ポップ・モーラムのインリー・シーチュムポンを思い出します。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2012-11-19

本篇10曲、ボーナス・トラック7曲付きという過剰サービス盤ながら、
「ムダに長い」などの不満を抱かせない、ターボ・フォークの痛快作です。

Dara Bubamara "2017" City CD001141 (2017)
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ターボ・フォークは姐御におまかせ エマ・エマ [東ヨーロッパ]

Ema Ema.jpg

お! ぼく好みのターボ・フォーク、来たぁ。

クラリネットとサックスがぶりぶりと、バルカン独特のコブシをつけて吹きまくれば、
アコーディオンが仄暗い情念を秘めた妖しい旋律を奏でる。
まっこと、いいですなあ、これぞバルカンであります。

ハスキー・ヴォイスのエマ・エマさん、変わった芸名でいらっしゃいますが、
迫力満点の身体つき同様、歌もパワフルそのもの。
見得を切るような節回しもキレよく、説得力を持って迫ってきます。
歌いぶりは熱くても、歌は暑苦しくなく、爽快感さえあります。

アップ・テンポで迫る曲ばかりでなく、
ギリシャ歌謡やトルコのハルクふうのスロー・ナンバーもあり、
多彩なレパートリーとなっているところがいいですね。
抒情味あふれるスローでも、情熱的に歌うエマ・エマにグッときますよ。
エキゾなムードが横溢するクレズマーのようなワルツもいいなあ。
全8曲、わずか28分にも満たないミニ・アルバムなんですけれど、
1曲1曲にそれぞれ趣向が凝らされ、充実したプロダクションとなっています。
ストリングスもオーケストラ並みの大人数をフィーチャーしていて、ゴージャスです。

やっぱ、ターボ・フォークの歌手は姐御肌でないと。

Ema Ema "EMA EMA" Grand Production CD692 (2016)
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チャルガよ、バルカン・ビートに戻れ エミリア [東ヨーロッパ]

Emilia  EH, BYLGARIJO KRASIVA.jpg

これ、これ。これですよ。
やっぱりバルカン・ポップは、こういう生音を活かしたフォークロアなサウンドでなくっちゃあ。
ここのところ聴いたセルビアのターボ・フォークは、
どれもこれもEDM寄りのサウンドになっていて、ウンザリさせられていたので、
ブルガリアのポップ・フォークまたの名をチャルガのトップ・シンガー、
エミリアの3年ぶりの新作に、快哉を叫んだのでありました。

冒頭から、アコーディオンとクラリネットの高速フレーズで、びゅんびゅんとトばす、トばす。
スタッカートの利いた、つっかかるようなツー・ビートを軸として、
くるくると変化するリズム・アレンジの巧みさに酔わされます。
ロマ色豊かなバルカン音楽の旨みをたっぷり溶かし込んだサウンドがたまりません。

アコーディオン、クラリネット、ヴァイオリンがそれぞれ超絶技巧のソロを取るかと思えば、
一転、アンサンブルが一丸となって怒涛の如く疾走します。
バルカン・ブラスが高らかに鳴らされる曲もあって、
まさに「めくるめく」という形容がぴったりのサウンドが繰り広げられ、血流はもう上がりっぱなし。
いやぁ、これぞバルカン・ビートでっす!

そんなアンサンブルとともに、艶やかな歌声を聞かせるエミリアの歌いぶりもまた見事。
こまやかなコブシ回しを使いながら、高速曲からスローまで、
クセのない美声を聞かせてくれます。
これまでのエミリアのアルバムの中でも、もっともフォークロア寄りに仕上がりました。

近年のポップ・フォーク、チャルガのプロダクションは、
凡庸なダンス・ポップに化していく傾向が強いんですけれど、
こういうバルカン・ルーツ色濃いサウンドをデフォルトにしてもらいたいと思うのは、
国外リスナーのわがままでしょうか。

Emilia "EH, BYLGARIJO KRASIVA" Payner Music PNR2015061618-1088 (2015)
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バルカンからアナトリアへ ソフィア・パパゾグルー [東ヨーロッパ]

Sofia Papazoglou  O HTYPOS TIS KARDIAS MOU.jpg

ギリシャ歌謡三連チャンの最後は、華ある女性シンガーのアルバム。
ヨルゴス・ダラーラスやグリケリアなどトップ・シンガーたちの眼鏡にかない、
コンサートのコーラス・シンガーとして起用されてきた、ソフィア・パパゾグルー嬢です。

ベルギー、ブリュッセルに生まれ、家族とともにギリシャ、テサロニキへ移住し、
その後6歳の時から歌いはじめたというソフィアは、96年にCDデビューし、
玄人好みのシブい作品を作ってきた人とのこと。
ソロ・アルバムを聴くのは本作が初めてなんですけれど、ライカ新世代というか、
エレフセリア・アルヴァニターキ以降のシンガーという印象を受けました。

ひとことでいえば、かつてのギリシャ歌謡が持っていた飾り気のない無骨さがなくなり、
愛想がよくなったということでしょうか、
歌い口はソフトになり、世界共通言語のポップスが下地になっているのを感じます。
といっても、あくまでもモダン・ライカ路線を貫いているので、
いわゆるグリーク・ポップとは一線を画す、
トラッドなギリシャ歌謡の味わいをちゃんと残しているんですけれどもね。

本作は正調ライカの合間に差し挟まれる、
ラテン調、マヌーシュ・スウィング調、トルコ古典風の曲が聴きものとなっています。
特に、トルコの軽古典~シャルクを思わせる曲にしのばされている、
アラブの香りやバルカンの響きには、ゾクゾクしてしまいますね。

ロック寄りになったり、汎地中海音楽の様相をみせたりと、
練り合わせる要素によって、さまざまな表情をみせるモダン・ライカですけれども、
バルカンからアナトリアに連なるギリシャとトルコの古層に触れたサウンドは、
たまらなく魅惑的です。

Sofia Papazoglou "O HTYPOS TIS KARDIAS MOU" Music Links Knowledge MLK3221 (2015)
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ライカのアマチュアリズム マノリス・リダキス [東ヨーロッパ]

Manolis Lidakis  AFTOS POU ANIGI TO HORO.jpg   Manolis Lidakis  KARAVI APOPSE TO FILI.jpg

ヨルゴス・ダラーラスの新作同様、去年の暮れに出たマノリス・リダキスの新作も大当たり。
う~ん、ひさしぶりにギリシャ歌謡の波が、来てるかも。
ダラーラスに次いでぼくの好きな男性歌手が、マノリス・リダキスなのです。

マノリスもレンベーティカのルーツを受け継いだライカを歌う人で、
ぼくが最初にこの人にホレ込んだのは、92年作の“KARAVI APOPSE TO FILI”。
「無頼」や「闇」といった部分ばかりでないレンベーティカの甘美な側面を、
ノスタルジックな響きの中に表わした大傑作でした。

男っぽいダラーラスとは違い、草食系優男ふうのマノリスは、
クレタ島出身で、82年にアルバム・デビュー。
ぼくが初めて聴いた92年作当時、すでに中堅どころとなっていて、
色男ふうのモテそうなルックスをしてたんですけれど、
最近の写真を見ると、すっかり中年太りのオヤジ面になってしまいました。
メロウな哀愁味を持ち味としていて、歌唱力より味で聞かせる、
カエターノ・ヴェローゾに似たタイプの歌手といえます。

新作は、ライカの名作曲家フリストス・ニコロポウロスの作品を歌ったアルバム。
ブズーキ、バグラマー、ピアノ、アコーディオンという完全アクースティックの編成で、
余計な装飾など何一つない、生粋のギリシャ歌謡たるライカを聞かせてくれます。
時代の流行に左右されず、ポップスにも色目を使わない、
頑固一徹なまでに真正ライカを貫くマノリスらしく、
今作も朴訥とした変わらない歌い口で、嬉しくなります。

ヴェテランになっても、歌がうまくならないのが、この人のいいところ。
良い意味でアマチュアぽさを残しているところに、
みずみずしさを失わない秘訣があるんじゃないかな。
そんなところも、いつまでたっても歌がへたっぴーなカエターノとそっくりですよね。

Manolis Lidakis "AFTOS POU ANIGI TO HORO" To Rima A003 (2015)
Manolis Lidakis "KARAVI APOPSE TO FILI" Portrait 471638-2 (1992)
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レンベーティカ・ミーツ・ラグタイム ヨルゴス・ダラーラス [東ヨーロッパ]

Gergos Dalaras & Nikos Platyrachos  TA ASTEGA.jpg

2016年のベスト・アルバム、一番のり~♪
昨年末にギリシャでリリースされた、ヨルゴス・ダラーラスの新作でっす。

老いを隠せないハリス・アレクシウの歌いぶりにショックを受けたせいか、
ギリシャ歌謡からすっかり遠のいた、今日この頃なんでありますが、
やっぱヨルゴス・ダラーラスは、帝王だわ。さすがです。
歌いぶりこそ、ヴェテランの安定感にウナらされますけれど、
さまざまな音楽家とコラボしながら、野心的なアルバムを作り続ける
チャレンジングな姿勢がすごい。攻めてますよねえ。

新作は、映画音楽作曲家のニコス・プラティラコスとの共同制作で、
いつものミノスからではなく、ニコス・プラティラコスが関係する映画配給会社のレコード部門、
フィールグッド・レコーズからのリリースとなっています。

ニコス・プラティラコスは、アテネのミュージック・コンセルヴァトリーでピアノと作曲を学んだ後、
ハノーヴァーとケルンの大学で演劇と舞踏を学んで、ドイツの映画音楽界で成功した人とのこと。
現在もドイツとギリシャを行き来しながら活躍をしているそうですが、
ダラーラスとタッグを組んだ今作は、映画『スティング』を思わすムードの、
安酒場のアップライト・ピアノで弾かれるラグタイムに始まります。

このオープニングのインスト・ナンバーから、いつものダラーラスと違う予感を漂わせますが、
なんと今回の新作、レンベーティカとラグタイムをミックスするというアイディアを実現したもの。
これがなんとも絶妙な組み合わせというか、
こういう音楽が昔から存在したんじゃないのかと思わせるほどの相性の良さをみせます。

鄙びたジューク・ジョイントの雰囲気を横溢するラグタイム・ピアノの響きに、
レンベーティカらしいブズーキやバグラマーの弦の響きが混ぜ合わさり、
そこにディキシーランド・ジャズふうの金管・木管の管楽器が華を添えていくサウンド。
レンベーティカとラグタイムのどちらも、裏町の影をひきずっていて、
この二つの音楽が抱える闇が、妖しく共鳴するのを感じます。

レンベーティカがハッシシを吸わせるアテネの外港ピレウスのテケー(バー)から生まれたように、
ラグタイムが1880年代のセント・ルイスのサロンや売春宿から生まれたのは、
世界の大衆音楽史からみれば、偶然なんかじゃありませんよね。

ダラーラスも、いつもよりざらりとした舌触りを残す苦味の強い歌い口を聞かせていて、
枯れた味わいのなかに、ブルージーなやるせなさを溢れさせています。
裏街道を行く哀愁を濃厚に表わしつつ、
意外にもノスタルジックなムードをまとっていないのは、この音楽が仮想のものだからでしょうか。
ランディー・ニューマンのアイロニーに通じる現代性を感じさせます。

Gergos Dalaras & Nikos Platyrachos "TA ASTEGA" Feelgood 521003300094 (2015)
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躍動感溢れるチャルガ ロクサナ [東ヨーロッパ]

Roxana  ZA VSEKI IMA ANGEL.jpg

どっひゃー、すんげえー。ハンパない、この吹っ切れっぷり。
美少女アイドルふうなジャケットからは、とても想像つかないヘヴィーなサウンドが飛び出します。
立て続けのチャルガで恐縮でありますが、いや~、いいなあ、このわかりやすさ。
バルカン・ブラスぶりぶり、ロックなドラムスがどがすか、ギターはぎゅわん、ぎゅわん、
歌謡ポップ・フォークここに極まれり、って感じですねえ。

EDMなんかはまったく受け付けらんないくせに、
チャルガの打ち込みは、ぜんぜんウルさく感じないんだよなあ、なんでだろ。
こういう、わざとちょいダサにしたようなロック歌謡って、好きなんですよねえ。
たとえば、80年代のロマ・イラマに代表されるロック風のダンドゥットとか、
最近ではインリー・シーチュムポンのデビュー作みたいなサウンド。いいですよねえ。

ダンサブルに徹したプロダクションに、
アゲアゲ効果抜群の♪ヘイ・ヘイ♪と煽るコーラス隊をバックに、
はすっぱな感じのロクサナのヴォーカルが、キレよく炸裂します。
女の甘えを感じさせない、あっけらかんとした歌いっぷりが気に入りましたよ。
メロディはキャッチーだし、ヒップ・ホップとバルカン・ブラスの同居もごくごく自然。
大衆音楽路線まっしぐら、お客さんを楽しませてナンボの、
エンタメに徹したプロフェッショナルな姿勢が胸をすきます。

曲ごと、手を変え品を変えのプロダクション・アレンジも緻密だし、
予算をかけたレコーディングになっていますね。
ばりぶりソロを取るクラリネットやサックスも聴きものだし、
躍動感いっぱいのチャルガ、見事です。
息つかせず一気に駆け抜ける46分、う~ん、爽快ですねえ。

Roxana "ZA VSEKI IMA ANGEL" Payner Music PNR2014031560-1032 (2014)
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男前のチャルガ グロリア [東ヨーロッパ]

Gloria  PYTEKI.jpg

ひさしぶりに聴いたチャルガのトップ・スター・シンガー、グロリア姐さん。
あいかわらず絶好調ですねえ。この13年作が新作と思って買ったら、
後になって、この次のアルバムが今年出ていることを知りました。

グロリアの本名はガリーナ・パネヴァ・イヴァノヴァ。
ドナウ河の真珠と言われるブルガリア北部国境の港町ルセの出身で、
ルセの対岸にはルーマニアの都市ジュルジュがあります。

エメラルド・グリーンの瞳に、金髪もまばゆいブルガリアきっての美人シンガー、
それで歌唱力も抜群の実力派なんだから、鬼に金棒みたいな人であります。
それにしても、いつ聴いてもこの人の歌はスケールが大きくて、感心させられます。

ハスキーで野性的な歌いぶりも魅力なら、
どんなにパワフルに歌っても、熱唱型にならないところがグロリアの良さ。
キレがあるから、歌が暑苦しくならないんでうしょねえ。
男前な歌いっぷりで、胸をすくスカッとした気分を、毎回味あわせてくれます。

ロマ音楽ならではの即興フレーズを奏でるヴァイオリン、クラリネット、アコーディオンと
くんずほぐれつを繰り返すアレンジにも、ドキドキ、ハラハラさせられっぱなしです。
変拍子あり、つっかかるような独特のバルカン・ビートありの、
チャルガの快作です。

Gloria "PYTEKI" Payner Music PNR2013091525-995 (2013)
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イピロス地方音楽の粋 アレヒス・ズンバス [東ヨーロッパ]

Alexis Zoumbas  A Lamet For Epirus.jpg

「ヴァイオリンが歌う」とは、よく使われる形容ですけれど、
1曲目の絶妙なプレイに思わず引きずり込まれ、
息を押し殺したままじっと聴き耳をたて、終わった時には、息苦しさを覚えるほどです。
これほど繊細に歌うヴァイオリンも、ちょっと他にないかもしれないなあ。

ギリシャ北西部山岳地帯のイピロス地方出身のヴァイオリニスト、
アレヒス・ズンバスのSP録音集です。
1曲目の“Epirotiko Mirologi” には、「イピロスの哀歌」という英訳が付けられているとおり、
人が嘆きむせび泣くさまを、雄弁に表現したヴァイオリンのプレイが圧巻です。
ラストの12曲目でも、鳥のさえずりを模したような演奏に息を呑みました。

アレヒス・ズンバスは、1883年イピロス地方ヨアニナのグラメノという村に生まれ、
1910年にニュー・ヨークへ渡り、47年にデトロイトで亡くなった人。
本作は26年から28年にニュー・ヨークで録音されたSPから、12曲が収められています。
SPコレクター、クリストファー・クロスさんが2年前にリリースした
ギリシャ北西部イピロス地方のヴィンテージ録音集に続く第2弾になるわけですね。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2013-11-14

英訳された曲目を眺めてみると、シルト・トゥー・ステップ・ダンス、
マケドニアのダンス、アルバニアの羊飼いの曲、メイポール・ダンス、
盗賊のダンスなんてのもあります。
シルトというのは、ギリシャの横並びダンスですね。
メイポール・ダンスは、ヨーロッパ全域で親しまれるフォーク・ダンスです。
アレヒスのヴァイオリンにはチェンバロもしくはベース、またはその両方が伴奏に付きます。

解説によると、イピロスの音楽を特徴づける二つのタイプの曲に、
ミロロギとスカロスがあるそうです。
ミロロギは葬儀の嘆き唄で、古くは古代ギリシャの叙事詩の中にもみられ、
イピロスの祝祭の踊りパニイェリアの始めと終わりに、
必ず演奏されるのが習わしなのだとか。
一方、スカロスは、クラリネットとヴァイオリンで演奏される羊飼いの歌だそうです。

東欧的な旋律と、ギリシャのオリエントな香りもたっぷり含んだ音楽がなんとも味わい深く、
アレヒスのヴァイオリン演奏の華麗なアーティキュレーションにのせて、
イピロス地方音楽の粋を堪能させてくれる名演集です。

Alexis Zoumbas "A LAMENT FOR EPIRUS, 1926-1928" Angry Mom AMA04
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チャルガ寄りのポップ・フォーク カーリ [東ヨーロッパ]

Kali.jpg

カーリことガリーナ・ディミトロヴァ・イヴァノヴァは、ブルガリアのポップ・フォークのシンガー。
こちらは新作じゃなく、06年の旧作でした。このあと08年に7作目が出ているようです。

ポップ・フォークといっても、かなりエスノ歌謡色が強く、
チャルガといった方がふさわしいかもしれません。
いきなりジプシー・ブラスが響き渡るなか、
バルカン・ラップをかます男性ラッパーに導かれてカーリが歌い出すというオープニングから、
ジプシー色濃厚なサウンドを全面に打ち立てたプロダクションが強烈です。

ヒップ・ホップ・トラックにクラリネット・ソロが絡んだり、アコーディオンがフィーチャーされたりと、
アゲアゲなダンス・トラックで振りまかれる、臭みたっぷりのバルカン・メロディがたまりません。
そんなバルカン民俗色をたっぷり練り込んだプロダクションが聴きもの。
前回のセルビアのゴガ・セクリッチのプロダクションは、シンプルで明快なものでしたけれど、
カーリの本作はもう少し手がこんでいる感じ。

ヒップ・ホップやラガの生かし方や、R&Bのサウンド・センスも巧みに取り入れていて
現代的なポップスとして通用させるセンスが見事です。
トルコのポップスをよく研究しているんじゃないでしょうか。
カーリの歌は、セルビアの女性シンガーのようなごりごりヴォーカルではなく、
もっとフツーなアイドルふうというか、シャバービーにいそうなタイプのシンガーですね。
ジャケットを見てメタル・ロックかとびびりましたが、その心配はありません。

Kali "SHESTO CHUVSTVO" Ara Music ARACD395 (2006)
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モンテネグロ出身のセクシー・クイーン ゴガ・セクリッチ [東ヨーロッパ]

Goga Sekulić.jpg

セルビアの人気女性シンガー、ゴガ・セクリッチの8作目を数える新作であります。

どんがん、どんがん、とやかましい打ち込みがいかにも今様なポップスなんでありますが、
普段こういうサウンドを遠ざけているぼくでも興味をそそるのは、
セルビアのバルカン歌謡ターボ・フォークを下敷きとしているからです。
ポップ色を強めたポップ・フォークと呼ばれているジャンルのものですね。

去年の年末にもツァナ・ミトロヴィッチという男前な女性シンガーに出会いましたが、
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2014-12-01
ハスキー・ヴォイスのゴガ・セクリッチも、もろ肉食系な姉御ですねえ。
レーベルやトレイに、半裸の男性モデル二人を自分の太腿に寝そべらせてポーズをとるという、
訳のわからないことになってますけど、ゲイ・カルチャーにも親和性がありそうな、なさそうな。

プロダクションも明快なロック歌謡ともいうべきサウンドで、
ここまで迷いなく大仰に聞かせてくれると、その気風の良さが爽やかに思えるくらい。
ゴガも見得を切るような歌いっぷりも男前で、胸をすきます。
テクノぽいトラックなど、個人的にはまったく好みでないサウンドも多々あれど、
ゴガの説得力あるヴォーカルの力で、ねじ伏せられてしまいます。
もちろん、バルカン色濃厚なメロディの魅力もあるからなんですけど。

全8曲、わずか28分半という短さも潔くて、いいじゃないですか。
ラストのアゲアゲなファンク・チューンまで、一気に駆け抜けます。
いんやー、かっこいいっす。

Goga Sekulić "PONOVO RODENA" City CD001069 (2014)
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男前なターボ・フォーク ツァナ・ミトロヴィッチ [東ヨーロッパ]

Ćana.jpg

かっちょいー!
セルビアのバルカン歌謡ターボ・フォークというと、
2年前にナターシャ・マティッチ姉御を知って惚れこみましたけど、
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2013-01-10
これまた気風のいい女性歌手と巡り合いましたよ。

セルビアは、こういう男前な女性歌手の宝庫なんでしょうかねえ。
ツァナ・ミトロヴィッチさん、パッケージ写真からして迫力満点な姉御ぷりですが、
歌の方も、強力なこぶしをぐりんぐりん回しながら、ぐいぐい迫ります。
暑苦しさをちっとも感じないのは、スピード感あふれるバックのおかげでしょうか。

バルカンらしいリフがぴゅんぴゅんと旋回するセルビア民俗色豊かなメロディを、
アコーディオンを前面に立てながら、ぎんぎんのロック調ギターや
シンセが彩りを添えたプロダクションが、嬉しいじゃないですか。
ひと昔前のエスノ・サウンド風というか、90年代のダンドゥットみたいな大衆歌謡サウンドで、
ちょいダサな下世話さと、アカ抜けしてないところが好感持てます。

これが世界標準のダンス・ポップスになると、
打ち込み主体のマシン・ビートがやかましいサウンドになるのは目に見えてるので、
このままローカル・プロダクションを維持していただきたいところです。

Ćana "ĆANA" BN Music CD130 (2014)
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ブズーキが奏でる地中海の風 オレスティス・コレトス [東ヨーロッパ]

Orestis Koletsos  ME PLIMIRIZI FOS.jpg

ヤニス・コツィーラスともう1枚いっしょに買ってきたのが、
オレスティス・コレトスという若いブズーキ奏者のデビュー作。
オレスティスのブズーキに、ヴァイオリン、ギター、アコーディオン、ピアノ、
ベース、ドラムス、パーカッションで、アクースティックなライカを聞かせてくれるんですが、
これまたいい案配のトラッド風味なアルバムとなっているんですね。

エル・スールの原田さんに勧められて知ったんですけど、
オレスティス・コレトスは、ブズーキの名手として数多くのレコーディングを残した
ヤニス・パライオログウに師事し、腕を磨いた人だそう。
レンベーティカの巨人マルコス・ヴァンヴァカリスの甥でもあるヤニス・パライオログウのもと、
オレスティスはレンベーティカもしっかりと習得したようです。

オレスティスはテレビやラジオ番組、
その他コンサートのバック・ミュージシャンとしてキャリアを積む一方、
レンベーティカの影響色濃い歌手たちとの共演を通じて、作曲を始めるようになったのだそう。
なかでも、舞台女優で歌手のマーサ・フレンツィラの11年作のレコーディングへの参加は、
オレスティスにとって大きな刺激となったようで、その後自身のグループを率い、
ギリシャ国内ばかりでなく、キプロスやカリフォルニアへツアーに出かけています。

満を持してリリースされたデビュー作は、
これまで共演してきた5人の歌手たちをゲストに迎えています。
アルバム冒頭の1曲目では、マーサ・フレンツィラが歌っていますね。
計10曲、36分足らずという小品ともいえるアルバムですけれど、
地中海の風が吹き抜けるような、爽やかさを味わえるアルバムです。

Orestis Koletsos "ME PLIMIRIZI FOS" Ekkremes no number (2013)
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イズミールのアナトリア音楽を想って ヤニス・コツィーラス [東ヨーロッパ]

Estoudiantina Neas Ionias & Yannis Kotsiras.jpg

聴き終えて、しばし陶然。言葉も出ません。
ここ数年のギリシャ音楽で、こんな素晴らしいアルバムがほかにあったっけか。
すごい傑作が登場したものです。

90年にデビューしたというライカの男性シンガー・ソングライター、
ヤニス・コツィーラスの名は、寡聞にして初めて知りましたけど、
ハリス・アレクシーウとの共演歴もある中堅どころの歌手だそう。
12年にリリースされた本作は、『愛のスミルナ』というタイトルが示すとおり、
20年代から第二次大戦前までにイズミールで育まれたアナトリア音楽の恋歌、
いわゆるスミルナ派のレンベーティカをカヴァーした企画アルバムとなっています。

失われたありし日のアナトリア音楽を再現しようという企画にもグッときますけれど、
それを見事に実現した演奏陣に、感服するほかありません。
アルバムの共同名義となっているエストゥディアンティーナ・ネアス・イオニアスは、
19世紀末から20世紀初頭にかけてイズミールで活動していたじっさいの楽団名だそうで、
00年代半ばに結成された30人編成(!)のアンサンブルです。

戦後のギリシャ音楽がトルコ音楽の養分を失い、
無骨な男っぽさばかりを強調するようになってしまってから、
優美な弦楽奏にのって歌われるセンチメンタルな恋歌は、
すっかり聴かれなくなってしまいました。
特に、ピレウス派が主流となったレンベーティカからは味わえなくなった、
この時代ならではの哀感のあるロマンティックな表情がたまりません。

ヤニス・コツィーラスの歌声も悩ましければ、
歌・演奏ともに上品さのあるケレン味があって、なんとも嬉しくなりますねえ。
そばのご婦人を誘って、踊り出したくなるような曲もありますよ。

歯切れ‎のよいブズーキ、艶やかなヴァイオリン、華やかなツェンバロンなどが
織り成す弦楽アンサンブルのアレンジは、
近年のトルコ古典歌謡のアンサンブルと呼応するような現代性を感じさせ、
トルコとギリシャが分断される不幸な歴史さえなければ、
このような音楽がずっと育まれていたんじゃないかとさえ、夢想してしまいました。
数曲インスト演奏もあるんですが、途中で倍テンポになるなどリズム・アレンジが絶品です。

ここのところトルコの古典歌謡が花盛りで、
それに比べてギリシャ音楽は……なんて思ってたんですけれど、
これにはもう完全に脱帽、絶賛するほかありません。
願わくば、この1枚の企画作に終わることなく、
イズミールのアナトリア音楽を現代に蘇らせる試みが、
ほかでもどんどん起きてほしいですね。

Estoudiantina Neas Ionias & Yannis Kotsiras "H SMYRNE TOU EROTA" Minos/EMI 50999 602975 2 5 (2012)
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グリーク・トラッドのモダン・ポップ サミウ・マリア [東ヨーロッパ]

Samiou Maria  AMARTIA MOU.jpg

ずいぶんとごぶさたしていた感のあるギリシャのライカ。
ダイナマイト・ボディのお姉様で、これが3作目らしいサミウ・マリア。
モダン・ライカの女性シンガーといっていいんでしょうけれど、
ディモーティカ調のトラッド寄りの曲を多数取り上げていて、
モダン・グリーク・トラッド・ポップといった感じのアルバムとなっています。
全17曲、レパートリーが多彩で飽きさせず、引き込まれてしまいました。

アルバム全編でバルカン風味のクラリネットが大活躍していて、
エキゾティックなヴァイオリンがフィーチャーされる曲などもあり、背中ゾクゾクもの。
ダルブッカのビートが利いたパーカッシヴな曲など、快調なリズムでとばす楽曲が多く、
印象はすこぶるさわやかですね。
バックでうっすらと鍵盤系の楽器も鳴っていますが、あくまでも控えめなので、
アクースティックなサウンドを損なってはいません。

主役のサミウ・マリアはクセのない歌いぶりで、さっぱりとした歌い口で聞かせます。
そのルックスからもっと濃い口の歌を聞かせる人かと思ったんですが、予想外でした。
きっぱりと歌いながらも、押し付けがましさがなく、引きの美学を感じさせる人です。
最近聴いたグリーク・ポップでは、秀逸な1枚でした。

Samiou Maria "AMARTIA MOU" General Music GM1005 (2012)
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知られざるギリシャ北部山岳地帯のヴィンテージ録音 [東ヨーロッパ]

Five Days Married & Other Laments.jpg

ひと目でロバート・クラムとわかる漫画に、吸い寄せられました。

ギリシャ北西部イピロス地方の音楽家たちが、第二次大戦前後に残したSP18曲の復刻集。
SPコレクターでプロデューサーのクリストファー・キングが編集したアルバムです。
クリストファー・キングの名は、
ザディコのアメデ・アルドワンのリイシュー作などで知られていますけれど、
こんな東欧の辺境の音楽まで射程に入れているとはオドロキです。

ギリシャ北西部イピロス地方って、いったい、そりゃどこだ?と思わず地図を広げましたけれど、
調べてみると、20世紀に二度にわたるバルカン戦争を経験し、
第一次大戦と第二次大戦でも戦闘の場となり、
ギリシャとアルバニアが激しく領有を争った地域だそう。
住民の多くは、羊や山羊の牧畜業を営むギリシャ人ですが、
アルーマニア(ヴラフ)人やアルバニア人もいて、複雑な社会を構成しているそうです。

トレモロで弾くリュートを伴奏に、クラリネットが奔放に吹きまくるオープニングからして強烈。
クラリネットは羊飼いの笛を代用したもので、大きな音の出るクラリネットの特性を生かし、
フロエラと呼ばれる笛の響きを、よりダイナミックに表現する奏法が編み出されたんだそうです。
ヴァイオリンと掛け合う曲でも、嘆き歌のようなフレージングが生々しいことこのうえありません。

ギリシャ北部に暮らすロマの家系のハルキアス一族が伝えてきたラメントや、
アルバニア人による男声ポリフォニー、リュート、ヴァイオリン、クラリネットのパートと
男声ポリフォニー・コーラスが交互に入れ替わるワークソングのような曲も聞けます。
4分の3拍子のダンス曲、4分の4拍子のシンコペーションの利いた歌曲、無拍の器楽曲など、
リズムのヴァリエーションも豊かですね。

録音はすべてアテネで行われていて、はるばる北部の山村から都会のアテネまで、
羊飼いやロマたちを連れてきてレコーディングするのは、たいへんだったろうなあ。
レンベーティカに溶け込んだロマの音楽や、クレズマーのルーツがかいま見られる音源集です。

V.A. "FIVE DAYS MARRIED AND OTHER LAMENTS ; SONG AND DANCE FROM NORTHERN GREECE, 1928-1958" Angry Mom AMA03
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毒を昇華するチャルガ アジス [東ヨーロッパ]

Azis  GADNA PORODA.JPG

怖いものみたさで、とうとう手を出しちゃいました。
ブルアリア、チャルガの帝王アジスの最新作。
スキャンダラスなハードゲイの性表現に、さぞかし音楽の方も
こけおどしの重低音や爆音を放つエレクトロで、過剰な音作りになっているのかと思いきや、
意外にもスキマのあるサウンドで、すんなりと聴けてしまいました。

チャルガやポップ・フォークと呼ばれるブルガルアのダンス・ポップスは、
安直な作りのプロダクションが多く、積極的に聴く気が起こらないんですけど、
このアジスやガルナは、トルコ、セルビアなど周辺国のダンス・ポップスや
レゲトンなどの影響より、ロマ音楽をベースとした音楽性をしっかりと発揮していて、
チャルガのアイデンティティをはっきりと聴き取ることができます。

クラリネットの妖しい響きやダルブッカのめくるめくビートは、
異形としてのアジスの個性を強調するばかりでなく、
チャルガのまがまがしさを昇華しているようにも思えますね。
毒をもって毒を制すの典型でしょうか。

アジスの「性」のタブー破りは、かつてマドンナが性表現の自由を拡張しようと闘ったのと、
同じものと映ります。マドンナがその武器に使ったクラブ・ミュージックには、
ぼくは興味を覚えませんでしたけど、アジスのチャルガには心惹かれます。
というのは、アジスのチャルガからは、かつてのダンドゥットが持っていた
スラムの若者たちのパワーや熱のようなものが伝わってくるからなんですね。

長きにわたり社会主義国家だったブルガリアの社会で、
ゲイ・カルチャーやロマというマイノリティの存在を強調することは、旧来の価値観と
自由を性急に求める民主化後の新しい価値観との衝突を際立たせるものでしょう。
アジスのハードゲイの装いは、社会の異端を誇示することで少数派を代弁するとともに、
自由を希求する若者たちの心に火をつけたんじゃないでしょうか。

アジスのチャルガが、かつてロマ・イラマがスラムの貧しい若者に圧倒的な支持を広げた
ダンドゥットと妙に似た感触があるのは、そのせいなんじゃないかと
あてずっぽうに考えているんですが、じっさいのところは、どうなんでしょう?

Azis "GADNA PORODA" Ara Audio Video ARACD496 (2011)
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アナトリアの文化的モザイクの記憶 ローザ・エスケナージ [東ヨーロッパ]

My Sweet Canary.JPGスミルナ派レンベーティカを代表する女性歌手、
ローザ・エスケナージの人生を描いた
音楽ドキュメンタリーがDVD化されました。
あらためてこれを観ると、レンベーティカが、
異民族や異教徒にも寛容だったオスマン帝国の
文化的モザイクの土壌のもとに育まれたことを、
再認識させられます。

このドキュメンタリーは、イスタンブールの貧しい
ユダヤ系セファルディの家庭に生まれた
ローザ・エスケナージの生涯を、マーサ・フレンツィラ、
メフタップ・デミル、トメル・カッツの3人が追う
ロード・ムーヴィーとなっています。
ギリシャ、トルコ、イスラエルの若いミュージシャンを
起用したところが、映画制作者のレンベーティカへの
視点の確かさを表しています。
個人的に嬉しかったのは、今年の春にデビュー作を聞いてファンになったメフタップが出ていたこと。
雄弁に歌うケマンのプレイや、鮮やかなメリスマを聞かせるシーンに、クギづけになりました。

レンベーティカは、イスタンブール(当時はコンスタンティノーブル)や
イズミールなどのギリシャ人移民と、アテネやピレウスなどのギリシャ人が生み出した音楽です。
とはいっても、レンベーティカはけっしてギリシャ人コミュニティの音楽ではありませんでした。
同じアナトリアの住民であったイスラーム教徒のトルコ人やユダヤ教徒のセファルディ、
ほかにもアラブ人やアルメニア人など、さまざまな民族が共生していたからこそ、
花開いた音楽だったってところが重要なんですね。

考えてみれば、アラブ・アンダルース音楽も、
イベリア半島でアラブ人とユダヤ人が共生していた時代に生まれた音楽です。
レコンキスタによって、マグレブ地域へと活動の場を移すことを余儀なくされたとはいえ、
たくさんのユダヤ人歌手がアラブ人歌手とともに活躍した時代が、
アラブ・アンダルース音楽の全盛期でした。
これは、アナトリアで花開いたレンベーティカ全盛期時代の多民族が共存した社会文化状況と、
見事にオーヴァーラップします。のちにイズミールのギリシャ名を取って、
「スミルナ」派と呼ばれるレンベーティカの時代ですね。

その後の希土戦争の結果、ギリシャに住んでいたトルコ人とアナトリアに住んでいたギリシャ人を
それぞれ強制送還する住民交換が行われ、トルコ人とギリシャ人が分断されたことにより、
レンベーティカは決定的に変質してしまいます。
ハシュシュ吸引所の音楽という裏社会の象徴だったズミルナ派から、
居酒屋の音楽として都市のエリートたちが楽しむピレウス派へと変わった
もっとも重要なポイントは、トルコ音楽やユダヤ音楽という後ろ盾をなくしたことです。
マルコス・ヴァンヴァカーリスに代表されるピレウス派のレンベーティカが
単調で味わいに乏しいのは、こうした地中海民族の音楽の養分を失った証明でしょう。

この映画では、ローザが少女時代にギリシャのテッサロニキに移り、
ラディノ語で歌うユダヤの歌だけでなく、
当時まだトルコ住民の多かったテッサロニキでトルコ語の歌を覚えたことや、
希土戦争後にアテネへ渡って歌手としての成功を収め、
エジプト、アルバニア、セルビアなどをツアーして回ったことなどが紹介されています。
第二次大戦下では、ドイツ将校を情夫に持ったことで身の安全が図られた一方、
地元のレジスタンス活動を支援し、アウシュビッツへの国外送還から
大勢のユダヤ人を救うなど、激動の時代を生き抜いた逞しさに圧倒されます。

ピレウス派レンベーティカも衰退した50年代には、ギリシャ移民の多いアメリカへツアーに出かけ、
60年代までレコーディングを残すほか、70年代のレンベーティカ再発見ブームにのって、
ハリス・アレクシーウに招かれた76年のテレビ番組の抜粋や、現在のハリスも出演しています。
トルコ系のセファルディ歌手ヤスミン・レヴィも登場するこの映画、
スミルナ派レンベーティカのぞくぞくするような色気や、えもいわえぬ猥雑な味わいが、
アナトリアの文化的モザイクの記憶であることを雄弁に伝えています。

[DVD] Dir: Roy Sher "MY SWEET CANARY : A JOURNEY THROUGH THE LIFE AND MUSIC OF ROZA ESKENAZI" Arte 3401176883/4 (2008)

【訂正とおわび】記事中のマーサ・フレンツィアは、マーサ・D・ルイスの誤りでした。
Mayu Ekuniさん、ご指摘ありがとうございました。
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ターボ・フォーク姐御 ナターシャ・マティッチ [東ヨーロッパ]

Natasa Matic  MESECE.JPG

「姐さんについてきます!」
思わず声を上げそうになった、セルビアのナターシャ・マティッチの新作。

全編、男前。気風の良さが鮮やかです。
バルカン・ブラスぶりぶり、ツィンバロンとアコーディオンも大活躍する伴奏をバックに、
こぶしをぐりんぐりん回すナターシャの胸をすく歌いっぷりは、まっことカッコイイ。
ライカをロックぽくアレンジしたようなオープニング・ナンバーから、
勇壮なヴォーカルを炸裂させまくります。

バックのアレンジも見事で、バルカン・ブラスとヒップ・ホップが同居するプロダクションなど、
スリリングな展開を見せる一方、粋なバラードを挟み込んでみたりと、
聴き疲れしないアルバム構成の上手さに、プロデュースの妙を感じさせます。
セルビアにはクセニヤ・マンディッチというダイナマイト姐さんもいましたけれど、
こういったパンチの利いたバルカン歌謡って、セルビアの特長なのかなあ。
あまりこの地域の音楽を熱心に聴いているわけではないので、
よくわからないんですけれども。

セルビアでは、こういったバルカン歌謡をターボ・フォークと呼ぶのだとか。
セルビアの伝統音楽に、ロマ音楽、さらにギリシャのライカ、トルコのアラベスクなど
周辺国のポップ・ミュージックをミクスチャーしたダンス・ポップスというわけです。
90年代にベオグラード北部、ノヴィ・ベオグラード地区の違法ラジオ局が、
民俗音楽とダンス・ミュージックをミックスして放送していたのをきっかけに流行し、
やがて20世紀末の旧ユーゴスラヴィア諸国で一大ブームとなったそうです。

セルビアが国際的な経済制裁を受け、疲弊する市民生活のなかで、
享楽的で挑発的なターボ・フォークは、低俗と揶揄されながらも一大ジャンルへと発展。
いまやドラガナ・ミルコヴィッチやツェツァなどの大スターも生まれ、
扇情的なダンス・パフォーマンスで、ポピュラー・ミュージック・シーンの王道となったとのこと。
ブルガリアのチャルガやルーマニアのマネーレと似た傾向のポップ・ミュージックといえます。

こういう大当たりのアルバムに出くわすと、
ターボ・フォークなるバルカン歌謡のシンガーをもっと聴きたくなりますね。

Nataša Matić "MESEĆE" Gold Audio Video CD2293 (2012)
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極寒のトロピカル マルクシャイダー・クンスト [東ヨーロッパ]

Cafe Babalu.jpg

ミゲリート・バルデースの名曲「ババルー」をモチーフにした、
オープニングのタイトル曲“Café Babalu”にヤられちゃいました。
やる気のなさそうな脱力ヴォーカルに、
スライド・ギターが偽ハワイアンなムードをまき散らすというまがまがしさ。
そのダルな歌と演奏にあっけにとられていたら、
中盤からトレスが加わってキューバふうになるアレンジ。

いったいどこの国のバンドかと思えば、
バルト海沿岸のロシア極寒の都市サンクトペテルブルクのバンドだとのこと。
よくまー、そんな土地でこんな能天気なトロピカル・バンドが出てきたもんだ。

人を食ったトラックはこの1曲目が一番で、
2曲目からはスカをベースに、レゲエ、サルサなどのラテン音楽から、
ジプシー・スウィング、アフロビート、コンゴリーズ・ルンバまで網羅した、
多彩なミクスチャー・サウンドを聞かせます。

このテのミクスチャー・バンドというと、バルセロナあたりのバンドだと、
パンクぽい不良性が全面に出ますが、
このバンドはもっとオヤジくさいユーモアやウイットに富んでいるところが魅力。
スカ・バンドにありがちな単調・イケイケ系にならないところもいいですね。
演奏力が高く、歌より演奏のパートに比重が置かれているのも、実力の表れでしょう。
ノルウェイのファーマーズ・マーケットとも比類するライヴ・バンドといえそうです。

Markscheider Kunst "CAFE BABALU" Gala GL10510 (2008)
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ブルガリアのエスノ歌謡チャルガの歌姫 ライナ [東ヨーロッパ]

Raina.jpg

あれ、ライナって、こんなに良かったっけか。
02年のデビュー作“GASNE PRAMAK” を買ったけど、それほど印象に残っていなかったので、
この07年の最新作にはびっくりというか、見くびっていたことをちょっぴり反省。

ライナ(本名ライナ・キリロヴァ・テルジースカ)は、
ブルガリア南西部の街サンダンスキ出身のポップス・シンガーで、
チャルガと呼ばれる、ロマの音楽やトルコ音楽の影響を強く受けた歌謡ポップスを歌っています。
ロマやトルコ人を嫌うブルガリアのインテリ層からは、露骨に毛嫌いされているチャルガですが、
インドネシアのダンドゥット同様ポップス度を高め、徐々に偏見も薄まっているとのこと。
ライナが所属するチャルガを代表するレーベル、パイネルのアルバムを見ても、
そのジャケット・デザインは、ブルガリアの普通のポップスと区別がつきません。

でも音楽の方はチャルガらしさを失っておらず、エスノ歌謡路線まっしぐら。
バルカンらしいアコーディオンとクラリネットをフィーチャーしたダンス・チューンでは腰が浮き立ち、
ギリシャの島唄ニシオーティカのような地中海の潮の香りのする曲にはしんみりさせられたりと、
生音重視のエスノ歌謡で占めた全15曲、よくプロデュースされています。

5曲目の超絶テクのクラリネットとアコーディオンがたっぷりとソロを交歓するあたりが、
最高の聴きどころでしょうか。ひさしぶりに聴いたチャルガの傑作盤でした。

Raina "MAJKO, EDBA SI NA SVETA" Payner Music PNR27091169-714 (2007)
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アイドルのルーツ還り カロリーナ・ゴチェヴァ [東ヨーロッパ]

Karolina Goceva.jpg

カロリーナ・ゴチェヴァは、マケドニア代表としてユーロヴィジョンに2度出場した経歴を持つという、
マケドニアのトップ・アイドルだそうです。これまで全然知らない人でしたが、
マケドニアの伝統音楽を取り上げたという最新作で、はじめてその名を知りました。
その08年の最新作は彼女の15作目にあたり、より幅広いファン層の獲得を目指したとのこと。
要するに、アイドルを脱皮して、大人のファン層を取り込もうというネライなんでしょうが、
なるほどその企画によくはまったアルバムに仕上がっています。

作曲家ズラトコ・オリガンスキの全面的なバックアップのもとに制作された本作は、
陰影のある伴奏にのせて物憂げな表情を見せるかと思えば、
アコーディオン、クラリネットが活躍するダンス・チューンではキリリと歌うなど表情を使い分け、
大人の味わいを醸し出す歌手へと変身を遂げていて、なかなか魅力的です。

そういえば、こんな感じのアルバムで最近話題になったのに、
ロシアのアイドル歌手アルスーの“TAGUN TEL”がありましたね。
アルスーが結婚休暇から復帰したのを機に、それまでのイケイケ路線を捨て、
自分の故郷であるタタール地方の音楽に目を向け、
タタール語やバシキール語で歌った一作でした。
最初ぼくはこのアルバムを、ユニヴァーサルの正規盤でなく、
アイドル・ポップ時代の曲をボーナス・トラックで11曲も追加した海賊盤で手に入れたので、
その両者のギャップの大きさには驚きました。

アイドル歌手が一定の人気や地位を確保したあと、ルーツに還るというのはよくあることで、
そうした作品に意外な傑作が生まれるのも、これまた昔からよくあることです。
四半世紀前には、オフラ・ハザの“YEMENITE SONGS”(85)なんてのもありました。
覚えてます?

Karolina Gočeva "MAKEDONSKO DEBOJČE" City CD000657 (2008)
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