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ラウンジ・ピアノで聴くクンビア ヘラルド・サンソーン&フレッド・マクドナルド [南アメリカ]

Gerardo Sansón & Fred McDonald  CUMBIA MEETS PIANO…THE 60’S.JPG

『クンビア・ミーツ・ピアノ』???
風変わりなタイトルに、思わず目が止まりました。
「ルーチョ・ベルムーデス」に「シックスティーズ」なんて文字もあることから、
どうやらイマドキのクラブ系とは無関係な、旧録のオールド・クンビアのよう。

中身がさっぱりわかりませんでしたけど、買ってみたら大当たり。
ピアノ演奏に、ベースとパーカッションがリズムを添えただけのシンプルな内容で、
いわばクンビア版ラウンジ・ミュージック。
ノロ・モラレスやジョー・ロコあたりのラテン・ピアノが大好きなもんで、
こういうのに目がないんですよぉ。
ラウンジといってもクンビアなので、都会的なムードとは無縁のイナタさですけれども。

ルーチョ・ベルムーデスのポロやクンビア名曲を、
二人のピアニストが演奏したわずか33分弱のアルバムで、
ヘラルド・サンソーンが4曲、フレッド・マクドナルドが8曲演奏しています。
ヘラルド・サンソーンって、ルーチョ・ベルムーデスが
47年に楽団を旗揚げした時に在籍した初代ピアニストですね。
フレッド・マクドナルドという人は知りませんが、
この人もベルムーデスと一緒にやってた人なんでしょうか。

あれぇ、このアルバムひょっとしてと思い、調べてみたらやっぱり。
コロンビア、コディスコス盤“LA MUSICA NEGRA DE LUCHO BERMUDEZ” と同内容。
タイトルもジャケットも曲順も変わっていて、すぐには気付きませんでした。
このレコード、ずいぶん昔に一度見たことがあるというか、ちらっと聞いたことがあって、
アタマの片隅にずっと残っていたんですよね。

2011年のリリースとあり、なんの気まぐれで、こんな60年代の珍品がひょっこり復刻されたのやら。
クレジットも解説もまったくない、いかにもラテンなやっつけ仕事のリイシューCDですけれど、
ラテン・ピアノ・ファンにはオススメの、ラテン・ピアノ小品です。

Gerardo Sansón & Fred McDonald "CUMBIA MEETS PIANO…THE 60’S・LUCHO BERMÚDEZ" Codiscos/Tropisounds/Sony Music 84265602322
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昔は良かったね アリシア・マギーニャ [南アメリカ]

Alicia Maguiña  CANTA A….JPG

「今度、アリシア・マギーニャをやろうと思ってるんですよ」

エル・スール・レコード私家盤シリーズで、
ペルー、クリオージョ音楽の女性シンガー・ソングライター、
アリシア・マギーニャをCDR化する話を店主の原田さんから聞いた時は、
「はあ」と気乗りのない返事をしてしまったのでした。

アリシアのか細いソプラノ・ヴォイスと、
オペラちっくな大仰な歌い方が、ぼくはどーも苦手。
いくつか持っていたアリシアのレコードも、
だいぶ前に全部処分してしまったくらいなので、
正直まったく反応できませんでした。
ひさしぶりにアリシアをいいと思ったのは、
数年前CD化された異色のウァイノ作ぐらいだもんねえ。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2011-02-24

「これ、知ってます?」
反応の鈍いぼくに原田さんが出してきたのは、ずいぶんと若いアリシアの顔が写ったレコード。
アリシアの初期にあたる62年のソノ・ラディオ盤で、3作目だとのこと。
へー、見たことないなあ、こんなレコード、と思い聴かせてもらったら、びっくり。
なんてチャーミングな歌声。
大仰なところなど微塵もない、ういういしい歌い口にトロけました。

え~、初期のアリシアって、こんなに良かったんだぁ!
これはびっくりです。ぼくが苦手とする後年のアリシアとは、まるで別人。
アリシアはクリオージョ音楽の大先輩の女性歌手ヘスース・バスケスに憧れたといいますが、
楚々とした歌いぶりで、けっして歌い込むことをしなかったヘスースの歌い口を、
ちゃんとここでは倣っているじゃないですか。
ああ、こんなにみずみずしく歌えていたのに、
なんで後年はあんなに大仰になっちゃったんですかねえ。

レパートリーも“Indio” はじめ、“Viva El Peru Y Sereno”
“Inocente Amor” と、アリシアの代表曲がずらり。
バルスをはじめ、トンデーロ、マリネーラ、フェスティーホ、ウァイノまで、
ペルー音楽の多彩なスタイルを縦横に歌いこなしますが、
歌い口はどこまでも淡々としているところがイイ!
これこそ、まさにアリシアの代表作ですよ。

「昔はよかったね」って、歌のタイトルじゃないですけど、
このアルバムはアリシアが24歳の時の録音。
考えてみれば、アリシアの初期音源って、ほとんど聴いたことがない。
そこで、つい最近日本盤でもリリースされた
カルロス・アイレとの共同名義の70年作をあわてて聴いてみましたけど、
いやあ、いいですねえ。遅まきながら、アリシアの魅力に開眼しました。

Alicia Maguiña "CANTA A…" El Sur CDR009 (1962)
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カジャオのカリプソ コンベネスェーラ [南アメリカ]

Convenezuela  GUAYANA ES... CALYPSO.JPG

ベネズエラ東部に広がるグアヤナ地方のカジャオには、
<カジャオのカリプソ>と呼ばれる、トリニダードとは異なるカリプソがあります。

19世紀後半に金鉱が発見され、カジャオの町には、トリニダード、グレナダ、
マルチニーク、グアドループから多くの労働者であふれかえりました。
やがてカーニバルが行われるようになり、カリブ海に広く伝わっていた
アフロ系の歌とダンスのカリンダを素に、<カジャオのカリプソ>が誕生します。
もちろん「カリプソ」の名がついたのは、もっとずっと後になってからのことで、
20世紀に入ってトリニダードからその名前をいただいたんでしょう。

トリニダードでは、カリンダから即興性の強い風刺の効いた歌謡音楽カイソが独立して誕生し、
そのカイソを楽しむ「テント」と呼ばれる演芸場が成立して興行化され、カリプソへと発展しました。
太鼓の使用が禁じられていたため、初期のカリプソはストリング・バンドが伴奏を務めていましたが、
カジャオのカリプソは、ブンバック(太鼓)、ラージョ(金属製ギロ)、カウベル、マラカスなど、
パーカッションをふんだんに使うアフロ色の濃さが特徴です。

即興的な歌の技量を競う、歌手の個人技が問われるトリニダッドのカリプソと違って、
カジャオのカリプソは混声合唱によるコール・アンド・レスポンスが基本。
音楽的には、マルチニークのベレ(ベル・エアー)の方が近いといえます。
トリニダードのカリプソが、細かくビートを刻むエイト・ビートを基本に、
ひっかかるようなリズム感を持っているのに対し、
カジャオのカリプソは、フォー・ビートのどっしりと安定したリズムであるところも、
フレンチ・カリブのアフロ系音楽により近いものを感じさせます。

そんなカジャオのカリプソも、金産出の減少による経済の衰退ともに忘れ去られ、
コミュニティ内の祝祭音楽としてのみ息づく音楽に後退してしまいます。
そんな片田舎の民俗芸能にすぎなかったカジャオのカリプソに光をあてたのが、
民俗音楽研究家のオスバルド・ラーレス率いるコンベネスェーラでした。
コンベネスェーラは70年代半ばにカジャオのカリプソを国内外に広め、
やがてウン・ソン・プエブロやコスタ・カリベなどのバンドも、
カジャオのカリプソをレパートリーに加えるようになりました。

50年代からコミュニティでカジャオのカリプソの伝統を護ってきた、
ケントン・サンベルナルドやルールデス・バサンタなどのヴェテラン歌手をゲストに迎えた、
コンベネスェーラの82年作“GUAYANA ES... CALYPSO” は、
正調カジャオのカリプソの決定盤といえる内容で、今もこれを凌ぐアルバムはありません。

Convenezuela "GUAYANA ES... CALYPSO" TH 1A50100529A (1982)
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タジャンとシパンの息子たち グラン・レセルバ・デル・クリオジスモ [南アメリカ]

Gran Reserva del Criolooismo.JPG

ペルー、リマ下町のバリオでクリオージョ音楽を歌い続けてきた古老たちを一堂に集めたアルバム
“LA GRAN REUNION: CRISTAL HERIDO” にカンゲキしたファン、ちゅーもーく!
またしてもズイキの涙もんのアルバムの登場ですっ!

“LA GRAN REUNION” シリーズを企画したギタリストのウィリー・テリーが、
今度は北部海岸地方のクリオージョ音楽をテーマとするプロジェクトを立ち上げ、
クリオージョ音楽はリマばかりでなく、北部海岸地方のラ・リベルタ、ランバイエケ、ピウラも
歌手の宝庫であることを証明してみせた2枚組CDブック。
企画・音楽監督のウィリー・テリーに、相棒のカホン奏者パペオ・アバンが脇を固めるほか、
クリオージョ音楽からアフロペルー音楽まで幅広く伝統音楽を追求する女性歌手フリエ・フレウンドと、
名ギタリスト、オスカル・アビレスの娘で歌手のルーシー・アビレスがプロデュースを務めています。

ペルー北部海岸地方といえば、白いハンカチを右手に持ち、
男女の恋のかけひきを表現する華やかな踊りのマリネーラ・ノルテーニャが有名なところ。
トンデーロも北部生まれなら、アンデス音楽の影響を受けたメロディを持つバルスなど、
リマのクリオージョ音楽との違いがくっきりと示されています。

「タジャンの息子たち」と題されたディスク1では、
ピウラを代表するラファエル・オテロ・ロペスの作品を中心に、
ロス・トロバドーレス・デル・ノルテのリード・シンガーを務めたヘラルド・コロナードはじめ、
ロス・タカレーニョスなどのヴェテランたちが勢ぞろい。
聴きどころはやはり、マリネーラ・ノルテーニャでしょうか。アルト・サックスとスネア・ドラムを加え、
ブラスバンドふうの伴奏にしているところがノルテらしくって、うきうきしちゃいますね。

「シパンの息子たち」と題されたディスク2では、
チクラヨを代表するエミリオ・サンティステバンの作品を中心に、
ロス・モチーカス、ロス・カバジェーロス・デル・ペルーほか男女ヴェテラン歌手たちが集い、
シブいノドを聞かせてくれます。ギターとバンジョーの二重奏が聞けるのも珍しいですね。

ヴェテランの古老たちが次々と披露するコクの深い歌は、
まさしく“LA GRAN REUNION” と同様の味わいで、
こんな贅沢なラテン音楽が現在聴けるのは、間違いなくペルーだけでしょう。
クリオージョ音楽の底知れぬ人材の豊かさに圧倒されるばかりです。

ちなみに今回のリリースはサヤリーではなく、ペルーのメジャー・レーベルからの発売。
各歌手たちのイラストも載せた44ページのブックレット付きというサヤリーに劣らぬ仕上がりに、
ペルーのレコード業界の良心を見る思いがします。

Gran Reserva Del Criollismo "EL NORTE TIENE LO SUYO" Play Music & Video no number (2012)
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百年前のクリオージョ音楽 モンテスとマンリーケ [南アメリカ]

Montes Y Manrique  1911-2011  CIEN ANOS DE MUSICA PERUANA.JPG

百年も前に録音されたペルーの都市歌謡クリオージョ音楽が甦る、衝撃の2枚組CD。
ペルーの大学の研究機関が2010年11月、
録音100周年を迎えるのに先立って出版したもので、
調べてみたら、日本の東大の駒場図書館にも寄贈されてたりするんですが
CDショップなど一般に流通されていないので、
ずっとその存在を知られぬままとなっていました。
深沢美樹さんがミュージック・マガジンに紹介しなかったら、
誰も気付かなかったんじゃないでしょうか。

88ページにも及ぶずっしりとした解説書が付いたこのCD、
その資料性としても十分貴重ですけど、
お勉強用のCDなんぞに用はないという、実質重視の音楽ファンにも絶好の内容です。
なってったって驚かされるのは、とても百年前とは思えない演唱のなまなましさ。
バルス、カンシオーン、マリネーラ、ポルカ、トンデーロ、ヤラビ、
トリステ、マズルカなどの幅広いレパートリーをいきいきと歌っているばかりでなく、
ピエサ・イミタティーバという掛合い漫才のような演芸も楽しめます。

この幅広い演目は、当時のメディアの主流が劇場であったことを思えば、
素直に理解できることで、20年代にフェリペ・ピングロらによって歌謡化する以前の、
ペルーの都市大衆芸能の典型的な姿だったんでしょうね。
このエドゥアルド・モンテスとセサル・アウグスト・マンリーケのコンビは、
アメリカのレコード会社コロンビアのリクルーターに実力を認められて
ニュー・ヨークへ招かれ、3ヶ月の滞在期間中に172曲を録音したのだそうで、
本作にはそのうち29曲が収録されています。

あ、いや、実際は30曲ですね。
なぜかクレジットされてないんですが、ディスク1の最後には、
行進ラッパ風のトランペットにパーカッションも加えたピエサ・デスクリプティーバが、
シークレット・トラックのように収められています。

このCDを聴いていると、現在のクリオージョ音楽が、
いかにドラマティックな歌唱表現を深めたか、
ギター奏法もいかに高度に発達したのかを、あらためて気付かされます。
だからこそ、この時代のクリオージョ音楽の味わいというのもまた格別で、
けっして素朴などといった類のものではありませんね。
この時代ならではのヴァーサタイルでエンタテインメントな芸能の味わいは、
ドライで辛口な現代のクリオージョ音楽にはないものです。

こんな素晴らしい音源を聴いてしまうと、まだまだ膨大に残されている
20世紀初頭の録音が気になって仕方なくなりますね。
キューバのトローバやルンバだって、あ~、死ぬまでに聴きたいっ!

Montes Y Manrique "1911-2011 CIEN AÑOS DE MÚSICA PERUANA" Instituto De Etnomusicología no number
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弦の響き 宴の輪 チェオ・ウルタード [南アメリカ]

20071107 Compadre Pancho.JPG   20071107 Cuatro Arpas Y Un Cuatro.JPG

ベネズエラ最高の弦楽器奏者チェオ・ウルタードを観るのも、これが三度目。
最初はコスタ・カリベとアンサンブル・グルフィーオで来日した91年だから、だいぶ昔のことですね。
94年の来日の時もチケットは買ってあったものの、下の娘が生まれてキャンセルしたんだっけ。
そして二度目に観たのが2007年の秋、今回と同じ東大の駒場キャンパスでした。
先週の土曜日に行われた「弦の響き 宴の輪」というトーク&ミニ・ライヴは、
長年ベネズエラ音楽の普及に尽力され、現在は東大の准教授である石橋純さんによる企画。
考えてみれば、三度とも石橋さんに導かれてチェオ・ウルタードを観れたようなものです。

そもそもアンサンブル・グルフィーオの初アルバムだって、
石橋さんがいたからこそ、日本制作で実現できたんですもんね。
石橋さんは、ベネズエラ都市弦楽の魅力を日本に伝えた恩人といっても過言じゃありません。
とりわけ今回のイヴェントは、石橋さんが地道に続けてこられた日本とベネズエラとの文化交流が、
しっかりと実を結んでいるのを実感できた、とても気持ちのいいイヴェントでした。

今回チェオが引き連れてきたのは、アンサンブル・グルフィーオのような都市弦楽ではなく、
ベネズエラ伝統音楽を幅広く演奏するグループで、
家族や友人が集うパランダという宴を再現するもの。
パランダは、仲間たちと裏庭でサンバを歌う、ブラジルのパゴージと同じようなもののようです。
それを石橋先生の解説で聴くレクチャー・ライヴだったわけですが、
講義を聴くようなお堅いものではなく、
長年の付き合いである先生とチェオならではのリラックスした雰囲気で、
コンサートでは知りえない面白いエピソードもたくさん披露されました。

なかでも傑作だったのが、セレナータの曲の解説で飛び出た、若い頃のチェオの思い出話。
当時チェオが思いを寄せていた彼女の家の前で、一念発起して歌ったにも関わらず、
窓から顔を出したのは彼女ではなく、なんと彼女の母親。
「チェオ、とてもすばらしい歌だけど、娘は彼とデートでまだ家に戻ってないのよ」と言われてしまい、
恋は大失敗に終わってしまったという笑い話。

先生の教え子たちによって結成されたエストゥディアンティーナ駒場が前座で1曲演奏し、
最後にはチェオ・ウルタード・アンサンブルの4人とも共演するばかりでなく、
ぶっつけのセッションで先生が1曲歌ってみせたのも、
東大という場で長年培ってきた日=ベの友情を感じさせる、とても心温まるものでした。
さらに驚いたのは、ゲストで松田美緒さんが登場したこと。
松田さんは昨年のベネズエラ公演でチェオとも共演したんだそうで、
アルゼンチンやウルグアイのミュージシャンとの共演ばかりでない
松田さんのグローバルな活躍ぶりには、舌を巻きます。

チェオのグループは、アンサンブル・グルフィーオの盟友ベーシスト、ダビ・ペーニャに、
チェオの甥っ子であるアブラン・ウルタード(マラカス、クアトロ、バンドーラ、マンドリン)と、
ロベルト・スベロ(クアトロ、バンドーラ、マンドリン)という若者二人を加えた4人組。
チェオの円熟したクアトロ演奏は、もう何をかいわんやの素晴らしさでしたけれど、
今回はギター伴奏で歌もたっぷり披露してくれたのが聴きものでした。

20120630_Roberto Subero.JPG

若手弦楽器奏者のロベルト・スベロも実力十分なプレイを披露していて、
会場で売られていたクアトロのソロ演奏を収めたリーダー作を聴いてみると、
繊細なプレイにきらりとした個性が滲み出る好アルバムとなっていました。
これからチェオたちは、3日亀戸カメリアホール、4日アミュー立川と、
15日まで全国を回るので、ぜひ観に行かれることをおすすめします。

Cheo Hurtado "COMPADRE PANCHO" Producciones Musicarte MS091CD (1993)
Cheo Hurtado "CUATRO ARPAS Y UN CUATRO" CH・H・H Producciones FD25298801 (1998)
Roberto Subero "ENTRE DOS" no label FD0952006951 (2006)
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アフロペルー音楽の真打ち アベラルド・バスケス [南アメリカ]

Abelardo Vasquez  Porfirio, Pipo Y Vicente.JPG

ペルー、クリオージョ音楽の総本山ともいえる名ペーニャ、
ドン・ポルフィリオゆかりの歌手や音楽家たちによる一大セッション・アルバム
“VAMOS DONDE PORFIRIO” が去年の暮れにリリースされたのに続き、
ドン・ポルフィリオの創立者であるアベラルド・バスケスの名作が、ついにCD化されました。

う~ん、これぞまさしくアフロペルー音楽の真打ち登場ですねえ。
アベラルド・バスケスのCDについては、去年のクリスマスにも書いたとおり、
最晩年のアルバム1枚だけしかなく、70~80年代の絶頂期の録音は未CD化のまま。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2011-12-25
ニコメデス・サンタ・クルースの60~70年代の諸作でアベラルドの歌声を聴くこともできましたが、
アベラルドの代表作ともいえる、エンリケ・ボルハスとともに録音した89年作
“HOMENAJE A PORFIRIO, PIPO Y VICENTE” くらいはCD化してほしいと思っていたので、
今回のCD化はまさに願ったり叶ったりです。

アルバム・タイトル曲は、父ポルフィリオと兄弟のダニエル“ピポ”と
ビセンテに捧げた、アベラルド自作のマリネーラ・リメーニャの名曲。
アベラルド、ビセンテ、ダニエル“ピポ”、オズワルドのバスケス家4兄弟は、
74年に“LOS VASQUEZ” のタイトルでアルバムも残しているんですよね。
このCDには、89年作のほかに70年代のアルバムからも選曲されているようで、
ニコメデス・サンタ・クルースの名曲“Inga” は、
ニコメデスのグループ、クマナーナとの70年代録音と思われます。
あいかわらずクレジットのないイエンプサ盤なので、詳細は不明ですが。

カホンがざくざくと逞しいリズムを刻むマリネーラに、
ホーン・セクションも高らかに鳴り響くフェステーホ。
アルバムのどこを切っても、濃厚なアフロペルー音楽の肉汁が
どろりと滴り落ちる名盤中の名盤です。

Abelardo Vásquez "HOMENAJE A DON PORFIRIO, PIPO Y VICENTE" Iempsa IEM720 (1989)
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ベネズエラのコンテンポラリー・フォルクローレ ポマロッサ [南アメリカ]

Pomarrosa  DECIR PIEL.JPG   Pomarrosa  OTRA HISTORIA.JPG

レコード会社にもお国柄がありますね。
隣り合った国なのに、両極端なお国柄を感じさせるのが、ベネズエラとコロンビアです。
コロンビアはフエンテス・レーベルに象徴されるとおり、売らんかな精神丸出しで、
その商魂逞しさにヘキエキとさせられることもしばしば。
自国の音楽文化を高めようとか、地方の伝統音楽にスポットを当てて育てようなんてこと、
まるっきり念頭にないようなビジネス一辺倒のがめつさが、
一方でコロンビア音楽の大衆的なパワーを支えているともいえるんですけれど。

そんなコロンビアと対極なのがベネズエラで、インディ・レーベルが多いことからもわかるとおり、
本当に音楽を愛する人たちによって制作されていることがよく伝わってくる国です。
良い意味でのアマチュアリズムが発揮されているお国柄といえ、
ビゴット財団のようなベネズエラの豊かな民俗文化を伝えようとする良心的レーベルは、
まずコロンビアじゃあ考えられないでしょう。

伝統文化の保存・継承・発展に寄与するという、
アカデミックな思想のもとでアルバムを制作しているビゴット財団のカタログのなかには、
ベネズェラ各州の村々に伝承されている口承舞踏音楽を収集し再現するパサカージェや、
アフロ系ベネズエラ音楽をプレゼンテーションするバサージョス・デル・ソルなど、
多数の意欲作があります。
そんななか、モダンなセンスを生かしたポップ・アルバムも制作しているのが、
ビゴット財団のいいところ。
けっして研究家などのインテリだけを相手にしたレーベルじゃないんです。

というわけで、ぼくのお気に入りがこのポマロッサ。
ベネズエラの多彩なリズム、メレンゲ、ヴァルス、バンブーコ、
アギナルド、ガイタなどを取り入れて歌った、
2000年のデビュー作がことのほかフレッシュで、いっぺんでファンになりました。
クアトロやマンドリンの弦の生音の響きを生かしたアンサンブルにのって歌う
若い二人の女性歌手による澄みきった歌がすばらしく美しく、
ちょっとジャジーなアレンジなども取り入れながら、
洗練された新感覚フォルクローレを聞かせてくれます。

5年を経て制作されたセカンドでは、ピアノやサックス、ストリングスなども加え
ぐっとサウンドの厚みが増しましたけど、あいかわらず音楽の表情はすっきり爽やか。
サンゲオ、ガイタ・デ・フーロ、ガイタ・デ・タンボ-ルなど、
ベネズエラのリズムの奥深さをのぞかせながら、カラカスの都市を吹き抜ける風を思わせる、
伝統的であることと都会的洗練が両立した、すがすがしいアルバムです。

Pomarrosa "DECIR PIEL" Fundación Bigott FD2662001368 (2000)
Pomarrosa "OTRA HISTORIA" Fundación Bigott FD2662004358 (2005)
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ドン・ポルフィリオへ行こう [南アメリカ]

VAMOS DONDE PORFIRIO.JPG

ペルー音楽ファンには、嬉しいクリスマス・プレゼントです。
サヤリーのクリオージョ音楽新作2枚組をヘヴィー・ローテーションとしていたところに、
老舗レーベルのイエンプサからリリースされた、アフロペルー音楽の極上アルバムが届きました。
リマのバランコ地区にある有名なペーニャ(ライヴハウスのことです)、
ドン・ポルフィリオで活動する歌手や演奏家たちによる一大セッション・アルバムです。

ドン・ポルフィリオは、アフロペルー音楽復興の草分けドン・ポルフィリオ・バスケスの息子で
歌手のアベラルド・バスケスが84年に設立したペーニャで、父の名前が名付けられています。
アベラルドは晩年このペーニャを拠点に活動していました。
アベラルド・バスケスといえば、60年代にアフロペルー音楽を再興させた
ニコメデス・サンタ・クルースのグループ、クマナーナのフロントを務めた名歌手。
亡くなる前年の2000年に出したソロ・アルバム
“VALSES - MARINERA LIMEÑA - FESTEJOS” は、
アフロペルー独特の哀愁が滲み出た忘れられぬ名盤として、多くのファンに愛されていますね。

Abelardo Vasquez  VALSES MARINERA LIMENA FESTEJOS.JPG

ずいぶんあとになってから知ったことですけど、アベラルド・バスケスは、
ペルー音楽舞踏団インティの一員として77年に来日していたんですね。
インティのメンバーにハイメ・グアルディアがいたことはよく知られていますけど、
アベラルド・バスケスまでメンバーにいたとは知りませんでした。
う~ん、当時インティを観なかったのは、つくづく悔やまれますねえ。

さて、このイエンプサ盤ですけれど、ドン・ポルフィリオにちなんだアルバムに
アベラルド・バスケスはなくてはならないということで、
古いEP盤からおこした、アベラルドが歌う1曲を収録しています。
そして、アベラルドの遺志を継いだ歌手や演奏家たちが、
コスタ(海岸部)に伝わってきたマリネーラ、トンデーロ、フェステーホ、バルスといった
レパートリーを次々と繰り広げていて、その芳醇な味わいに酔いしれるほかありません。

今でも週末のバランコ地区のペーニャでは、こんな濃い口のアフロペルー音楽を聴けるのかと思うと、
いますぐにでもリマへ飛んでいきたくなります。

Various Artists "VAMOS DONDE PORFIRIO" Iempsa IEM723 (2011)
Abelardo Vásquez "VALSES - MARINERA LIMEÑA - FESTEJOS" Iempsa IEM0471-2 (2001)
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アルゼンチン・フォルクローレの抑制の美学 ロス・トロバドーレス・デ・クージョ [南アメリカ]

Los Trovadores De Cuyo  SÓLO LO MEJOR  EMI.JPG

アルゼンチンの名門フォルクローレ・グループ、
ロス・トロバドーレス・デ・クージョの戦前録音という触れ込みの編集盤を手に入れました。
27年にコロンビアに残した録音が聴けるのかと飛びついたんですが、
う~ん、これ、戦後のオデオン録音ですね。

抑制の効いたシブい味わいのヴォーカルとコーラスが持ち味の
ロス・トロバドーレス・デ・クージョの初期録音が、果たしてどのようなものだったのか、
ぜひ聴いてみたかったんですけれど、初復刻はまだ先になりそうですね、残念。

リーダーのイラリオ・クアドロス率いるロス・トロバドーレス・デ・クージョは、
チリと国境を接するアルゼンチン西部クージョ地方の民謡を、合唱を主体にギター伴奏で歌い、
戦前のアルゼンチンで最高の人気を誇りました。

Los Trovadores De Cuyo  LA VOZ DE LOS CERROS.JPG   Los Trovadores De Cuyo  DE LOS ANDES AL CIELO.JPG
Los Trovadores De Cuyo  LA CANCIÓN DEL LINYERA.JPG   Los Trovadores De Cuyo  Y…. PUNTO.JPG
Los Trovadores De Cuyo  COLECCIÓN ANIVERSARIO.JPG   Los Trovadores De Cuyo  SUS MÁS GRANDES ÉXITOS.JPG

クージョの民謡には独特の甘さと明るさがあって、田舎風の発声や素朴なハーモニーで歌う、
ロス・トロバドーレス・デ・クージョの味わいは格別でした。
イラリオ・クアドロスが1956年に亡くなるのと入れ替わるように、
ロス・チャルチャローレスのモダンで華やかなスタイルがフォルクローレの主流となり、
ロス・トロバドーレス・デ・クージョのような地味なスタイルは忘れ去られてしまいますが、
ぼくはいまでもロス・トロバドーレス・デ・クージョの古風な上品さが忘れられません。

Los Trovadores De Cuyo "SÓLO LO MEJOR" EMI 7243540959-2
Los Trovadores De Cuyo "LA VOZ DE LOS CERROS" DBN/EMI 8374102
Los Trovadores De Cuyo "DE LOS ANDES AL CIELO" Pampa/EMI 8-35745-2
Los Trovadores De Cuyo "LA CANCIÓN DEL LINYERA" Leader Music LM605457-2282-2-1
Los Trovadores De Cuyo "Y.... PUNTO" EMI 072434951312
Los Trovadores De Cuyo "COLECCIÓN ANIVERSARIO" EMI 7243-4-99647-2-3
Los Trovadores De Cuyo "SUS MÁS GRANDES ÉXITOS" DBN/EMI 7243-5-29136-2-6
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新感覚のクリオージョ音楽セッション ロサ・グスマン、セルヒオ・バルデオス&エドワルド・ペレス [南アメリカ]

Rosa Guzman, Sergio Valdeos & Edward Perez  DESPERTAR.JPG

ペルーの新興レーベル、サヤリー・プロダクションがまたしてもやってくれました。

リマのクリオージョ音楽の古老たちによる一大プロジェクト“LA GRAN REUNION” のあと、
あのプロジェクトを発案したギタリスト、ウィリー・テリーと
カホン奏者エドゥアルド“パペオ”アバンのデュオ作がリリースされましたが、
今度の新作は、これまでのサヤリー制作のアルバムとはちょっと趣向が違います。
単にクリオージョ音楽の伝統を継承しただけではない、
現代的なセンスを取り入れたクリオージョ音楽の21世紀ヴァージョンとも呼びたい内容で、
これが素晴らしい仕上がりとなっているんですね。

女性歌手とギターとベースの3人を基本に、曲によってブラシのドラムス、パーカッション、
アコーディオンが加わるだけのシンプルな編成で、すべてアクースティックな音づくり。
歌手のロサ・グスマンは、名歌手ホセー“タト”グスマンの娘で、
幼い頃からクリオージョ音楽の伝統の中で育ってきた人。
ギタリストのセルヒオ・バルデオスは、ブラジル音楽やジャズの影響を受け、
スサーナ・バカのバックを8年務めたという経歴の持ち主。
そしてベーシストのエドワルド・ペレスは、
ニューヨークのジャズ・シーンで鍛えられたアメリカ人ジャズ・ベーシスト。

こうしたそれぞれ異なるバックグラウンドを持つ3人がコラボしたことで、
クリオージョ音楽の名作曲家フェリーペ・ピングロ・アルバのバルスを取り上げても、
伝統的なクリオージョ音楽とは感覚の異なるリズム感やモダンなコード使いが自然に溶け込み、
コンテンポラリーなセンスを備えたクリオージョ音楽に生まれ変わるのでした。
フォービートやフラメンコをさらりと取り入れたアレンジも、なかなか粋です。

誤解のないように付け加えておきますけど、新感覚のクリオージョ音楽といっても、
スサーナ・バカみたいなのを思い浮かべられちゃあ、困りますよ。
あんな味もそっけもない歌手とロサ・グスマンとでは、比べ物になりません。
今年の初めに話題を呼んだ、チャブーカ・グランダの未発表曲集を思い浮かべてもらったほうが、
近い味わいといえます。

ロサのエレガントな甘さのある温かな歌声は、
伝統的なクリオージョ音楽の味わいを保ちつつ、現代的なセンスとも見事にマッチしていて、
不純物のない声と明解なディクション、さらに正確な音程にも感嘆させられます。
こぶしやヴィブラートを使わず、また、メロディをいっさい崩すことなく、
ストレイトに歌い切る清廉さがすがすがしく、
2枚組というヴォリュームがあっという間に感じられる、今年のクリオージョ音楽の最高傑作です。

Rosa Guzmán, Sergio Valdeos & Edward Pérez "DESPERTAR" Sayariy Producciones 7753218000197
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アンデスの魅惑 ハイメ・グアルディア [南アメリカ]

Encantos Andinos CD.JPG   Encantos Andinos DVD.JPG

ペルー山岳音楽の至宝ともいうべきハイメ・グアルディアの新作というので、
おおっと前のめりになって手に入れたら、すでに2年前に出ていたんですね。
ったくもー、ハイメくらいの大物の新作、ちゃんと流通させてほしいなぁ。
チーチャとか流行のイロモノ・グローカルばっかりに目を奪われていないでさ。

思わず愚痴っちゃいましたけど、
ペピータ・ガルシア・ミロという女性歌手とデュオをしたこの新作、パッケージがとても凝っています。
観音開きになっている表紙の扉を開けると、ブックレットを収めたホルダーが現れ、
ホルダーを開くとその下にCDが収められているという作りになっています。
実に手の込んだデザインで、手作り感の伝わる趣味の良さに嬉しくなっちゃいますねえ。
パッケージ好きとしては、パッケージ内のデザインや美しい写真を多数添えたブックレットともども、
丁寧な仕事を施したアート・ディレクションに、喝采を贈りたくなります。

そんな制作者の愛情がいっぱいに伝わるこのアルバム、
ギターのホセ・グアルディア、アルパのグレゴリオ・コンドリ、
ヴァイオリンのチマンゴ・ラレスという3人の名手を加えた楽団編成で、
ハイメとペピータが、ウァイノやヤラビなどの伝統的なレパートリーを歌っています。
古老然としたハイメの渋い歌と、スウィートなペピータのハイトーンの歌声が絶妙なバランスで、
「アンデスの魅惑」というタイトルそのままに、みずみずしい山岳音楽を彩りよく飾っているのでした。

アルパやヴァイオリンが加わったことで、サウンドにはアヤクーチョの民俗色が濃く表れていますが、
ハイメの卓越したチャランゴ演奏とペピータの土臭さのない澄んだ歌声は、
むしろ音楽を洗練へと引っ張る作用をしていて、
フォークロアな大衆音楽が芸術的洗練を極めた好サンプルともいえそうです。
音がとても良いので、気になってクレジットを見てみたら、
レコーディングはリマで行われていますけれど、ミックスとマスタリングはバルセロナとなっていて、
制作陣のこのアルバムへの力の入れようが、はっきりとわかりますね。

その後、このアルバムと同じメンバーによるコンサートが行われ、
2010年1月28日、リマの日系ペルー人劇場(!)でのライヴがDVD化されています。
巨体のハイメが小さなチャランゴを胸元高く抱えて弾く姿は、
KONISHIKIがウクレレを弾く姿そっくり。
かなりのご老体とお見受けしますが、プレイはまったく衰えておらず、
キレ味するどいリズム感に圧倒されます。

中盤でペルー南部アプリマック県出身のギター弾き語りの名手、
マヌエル・シルバが登場して2曲歌うのは、DVDだけのお楽しみ。
アルパとヴァイオリンのデュオ演奏もあったりと、
スタジオ盤とはまた違った演目が楽しめ、ファンにはこのDVDも必携でしょう。
ハイメ翁がお元気なうちに、ぜひ生で聴きたいものですけど、来日を望むのは無理でしょうか。

Jaime Guardia Y Pepita García-Miró "ENCANTOS ANDINOS" Cernícalo Producciones no number (2009)
[DVD] Jaime Guardia Y Pepita García-Miró "ENCANTOS ANDINOS : CONCIENTO EN EL TEATRO PERUANO JAPONÉS" Cernícalo Producciones no number (2010)
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トリオからカルテット、そしてセクステットへ カラカス・シンクロニカ [南アメリカ]

Caracas Sincronica  EL AGRIDULCE.JPG   Caracas Sincronica  ZAFARAFA.JPG

えええええっ! カラカス・シンクロニカが来るの?
11月10日って……明日じゃん!!
偶然手にしたチラシに、まじかよ!と口から心臓飛び出るほどびっくらこいて、
チラシ片手にダッシュでコンビニにかけこみました。
チケットをゲットすべく、はやる気持ちで画面操作を進めると、
なんと無情にも、販売終了のメッセージが。がーーーーん!!!

ベネズエラ大使館が毎年秋に開催するベネズエラ文化週間で、
歌手やミュージシャンを招聘するんですけど、
今年はなんとそれが、カラカス・シンクロニカだったとは。
2002年のベネズエラ文化週間で、都市弦楽のヴェテラン楽団エル・クアルテートが来日して以来、
会場で配られるアンケートの「今後呼んでほしいアーティスト」に、
毎回「カラカス・シンクロニカ」と書き続けたんですよ、ワタシ。
それがついに実現したっていうのに、見損ねたなんつったら、痛恨じゃすまないです。
あぁ、あとは当日券に望みをかけるしかないかと、肩を落として帰宅したら、
ベネズエラ大使館のご厚意による招待メールが届いていました!!!
あ、あ、あ、ありがとうございますぅーーーーーーっ(大泣)。

そんなてんやわんやがあった翌日の恵比寿ザ・ガーデンルーム。
メンバーが6人に増え、ドラム・セットまであったのは予想外でした。
98年のデビュー作“EL AGRIDULCE” では、
クラリネット、マンドリン、ギターのトリオ編成だったんですよね。
ベネズエラの都市弦楽アンサンブルのなかでも抜きん出た音楽性を持ったグループで、
たった3人の演奏とは思えない精緻なアンサンブルは、
当時ブラジルで活躍していたショーロ・グループのオ・トリオをホウフツとさせるものでした。
オ・トリオはギターのマウリシオ・カリーリョ、バンドリンのペドロ・アモリン、
クラリネットのパウロ・セルジオ・サントスと、カラカス・シンクロニカと楽器編成も同じで、
新世代南米弦楽アンサンブルの兄弟と思えたものです。

そして、パーカッションを加え4人編成となった02年のセカンド“ZAFARAFA” では、
多数のゲストにヴォーカリストも迎え、民俗色濃いカラフルなサウンドへと変貌していました。
デビュー作の高度なアンサンブルはそのままに、音楽性の幅をぐっと広げた作品で、
ソニー・ロリンズのナンバーをベネズエラの伝統リズムを使ってフラメンコの要素を加え、
丁々発止のインプロビゼーションを繰り広げるなど、
よりコンテンポラリーなインストルメンタル・ミュージックを志向した傑作に仕上がっていて、
どれだけ愛聴したことか。
『世界は音楽でできている』(音楽出版社)の「マイ・プレイリスト」にも選んだほどです。
『ヨーロッパ・アジア・太平洋・ロシア&NIS編』をお持ちの方は、99ページをご覧下され。

そして、この路線を拡大したのが、現在のセクステットなのですね。
以前とはクラリネットとパーカッションのメンバーが交代していましたが、
ベネズエラの伝統リズム、ホローポ、メレンゲ、ヴァルス、ガイタ、バンブーコなどをベースにしながら、
モダンなセンスで演奏する姿勢はまったく変わりありません。
ドラムスも伝統リズムを移し変えたパーカッション的な役割を果たしていて、
ドラムスというよりタンボールそのもの。

カラカス・シンクロニカが目指すのは、ちょうどブラジルのアミルトン・ジ・オランダ・キンテートが、
ショーロという枠を超えたコンテンポラリー・ジャズとも呼べる、
ブラジルの現代的なインストルメンタル・ミュージックを演奏するのと同じ方向性のものでしょう。
違いと言えば、アミルトンたちほどプログレッシヴではなく、
キューバやブラジルの要素を加えるなど、より汎ラテン的志向や、
ヴォーカル曲を多く取り上げるなど、歌もの志向があるところだと思います。

Caracas Sincronica  TABARA.JPG

会場では、ジャケットの変わったデビュー作とセカンドに加え、
現在のメンバーで2010年に出した3作目にあたる新作も販売されていましたが、
この新作に沿った演奏が、コンサートの第2部で披露されました。
メランコリックないいメロディだなと思うと、マンドリンのペドロ・マルティンの曲なのに感心。
ペドロのアミルトン・ジ・オランダばりのマンドリン・プレイも目を見張りましたけど、
ソングライティングの才能も高く、デビュー当時からのオリジナル・メンバーのペドロが、
カラカス・シンクロニカのキー・パーソンなのは間違いないですね。

コンサート終了後、楽屋で司会の石橋純さんに
「デビュー作から10年来の日本人ファン」とぼくのことを紹介され、
メンバーから次々と熱い握手を求められちゃいました。ファン冥利につきますね。

Caracas Sincronica "EL AGRIDULCE" no label FD25298619 (1998)
Caracas Sincronica "ZAFARAFA" no label FD2522002572 (2002)
Caracas Sincronica "TÁBARA" no label FD2522010966 (2010)
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バルスは死んだとか言われてるけど ロス・アビレス [南アメリカ]

Los Aviles.JPG

クリオージョ音楽の新着CDで、サヤリー二番煎じ作より気に入ったのがこちら。
クリオージョ音楽の名ギタリスト、オスカル・アビレスの息子
オスカル・アビレス・ジュニオルを中心としたグループ、ロス・アビレスのアルバムです。

「バルスは死んだとか言われてるけど」と挑発的に歌うタイトル曲の1曲目から、
「馬鹿言っちゃあ、いけねえよ」といわんばかりの力強い歌声を聞かせてくれます。
豊かな肺活量で胸の奥底によく響く堂々たる声の持ち主と、
ノドを絞ったしょっぱい声を聞かせるシブい声の二人の歌手が代わる代わる歌う、
対照的な声の交叉が妙味となっていて、
やっぱりヴァルスは、こういう芳醇なヴォーカルがあってこその音楽だと思わされますね。

歌のパートが終わるや否や、歯切れのいい高音を響かせるギターが切り込んでくるところは、
さすがオスカル・アビレスの血筋を引いた、オスカル・アビレス・ジュニオルならでは。
ギター2台、ベース、カホンという基本編成に、チャランゴ、フルート、エレキ・ベースなど、
曲ごとに手を変え品を変えた彩りを添え、聴き手を飽きさせません。
まるでリード・ギターのようなラインを弾くエレキ・ベースをフィーチャーしたアイディアなど、
なかなか斬新なアレンジとなっているほか、アコーディオンの音色を模したシンセや、
フルートの涼しげな響きもいいアクセントになっています。

神々しくも威厳のある歌と、伝統を保ちながら現代的なセンスもいかした演奏が
がっぷり四つに組み、まさにクリオージョ音楽の神髄を示す傑作となりました。

Los Aviles "¿DICEN QUE EL VALS SE MUERE?" Iempsa IEM0642-2 (2007)
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嬉しい二番煎じ ラス・ボセス・デ・ラ・グアルディア・ビエハ [南アメリカ]

Las Voces DE La Guardia Vieja.JPG

え? こんなのあり?

サヤリー・プロダクション制作のペルー、クリオージョ音楽黄金期を再現する一大プロジェクト、
“LA GRAN REUNION” と同企画のアルバムが新たに登場しました。
歌っているクリオージョ音楽の古老たちもサヤリー盤と半分以上同じなら、
バックの演奏者も、これまたほぼ同じメンバー。
完全なパクリといえる企画で、どうやってサヤリーと話をつけたんでしょ。

“LA GRAN REUNION” が日本盤でリリースされた時、
エスコーラ・ジ・サンバの老サンビスタを集めた、かつてのサンバの名企画アルバム
“ENCONTRO COM A VELHA GUARDA”『すばらしきサンバの仲間たち』(76)に
なぞられて評された方がいましたけれど、その伝で言うなら、
このアルバムはさしずめ“QUATRO GRANDES DO SAMBA”(77)ですかね。

ともあれ役者が同じなんだから、内容は悪かろうはずもありません。
サヤリー盤に比べると濃厚さに欠け、全体にあっさり聞けてしまうところが、
ちょっと物足りないところなんですが、そこは二番煎じの弱さでしょうか。
制作サイドの熱い思いがびんびんと伝わってくるサヤリー盤に比べ、
その「熱」というか、「こだわり」のようなものが足りなかったのかもしれません。
こちらの音楽監督は、ギターのレンソ・ヒルが務めています。

二番煎じといっても、コマーシャルなヒット作の「柳の下のどじょう狙い」ではなく、
こんな地味な企画の二番煎じなんだから、非難すべきものじゃありませんね。
サヤリー・プロダクションの仕事が良い影響を与えている証拠で、
クリオージョ音楽がさらに活発になってくれることを期待したいものです。

ハードカヴァーの美麗ブックレット装は、サヤリー盤にけっして見劣りしないもので、
全曲の歌詞と歌い手のポートレイトを収めているところも、“LA GRAN REUNION” と同趣向。
それにしても歌い手のオヤジの誰もかれもが、イイ顔していることといったら!

Las Voces De La Guardia Vieja "OFRENDA MAESTRA" Kijada no number (2010)
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ペルーのチャランゴ ハイメ・グアルディア [南アメリカ]

Jaime Guardia Mi Voz Y Mi Charango.JPG   Jaime Guardia Charango Peruano En Mexico.JPG

ハイメ・グアルディアのアルバムを聴いている時って、
ペルーの山岳音楽を聴いているという意識が、どっか飛んじゃってる気がします。
逆に言えば、ウァイノを聴きたくなった時って、ハイメのCDには手を伸ばしませんね。

もちろんハイメ・グアルディアは、ペルー山岳音楽のチャランゴの達人で、
ハイメのウァイノは絶品なわけですけど、
それ以上にハイメの歌とチャランゴ演奏が芸術の域に達していて、
ペルー山岳音楽うんぬんのレベルを超えたアーティストだからこそ、
そんなふうに感じるんだと思います。

ハイメ・グアルディアと同じことを感じさせる演奏家に、
ベネズエラのクアトロ奏者チェオ・ウルタードやハワイのウクレレ奏者オータサンがいます。
要するにその楽器のヴァーチュオーソで、ずば抜けた天才クラスの人の演奏には、
ジャンルを超越した音楽の神様が宿っている、ってことなんじゃないでしょうか。
ベネズエラの都市弦楽を聴くとか、ハワイ音楽を聴くとかじゃなくて、
チェオ・ウルタードのクアトロや、オータサンのウクレレを聴くというふうに。

そんなことを、最近入手したハイメのペルー盤CD2タイトルを聴きながら、あらためて思いました。
“MI VOZ Y MI CHARANGO” は、
ハイメの代表作といえるイエンプサ盤LD1590のストレイトCD化で、
“CHARANGO PERUANO EN MEXICO” も、
76年のメキシコ、ディスコ・プエブロ盤DP1017が原盤。
メキシコ盤LPは3面開きのジャケットでしたけど、ペルーでもLPは出たんでしょうか。
2枚とも、ハイメのキレのいいチャランゴの至芸が堪能できる名作です。
メロディーに華麗な装飾を施しながら爪弾くきらびやかな音色はまさに絶品で、
トレモロのあとにさっと消音する奏法が、独特のビート感を生み出しています。

Jaime Guardia El Charango Del Peru.JPG   Jaime Guardia Y Su Charango.JPG

ハイメのCDでは、95年の日本編集のボンバ盤をそのままペルーのイエンプサがリリースした
“EL CHARANGO DEL PERÚ” が一番入手しやすく、
今年の春頃、表紙を変えて再プレスされたCDが日本にも入ってきましたね。
ほかにもコンフント・リラ・パウシーナ名義のアルバムで、
ハイメのソロ・アルバムから追加された5曲を聴くことができます。
このCDは2イン1形式になっているので、ライナーをひっくり返すと、
ハイメのジャケットに変えることもできます。

Jaime Guardia & Ricardo Alvarez.JPG   Cuarteto Musical Pauza De Jaime Guardia.JPG   Jaime Guardia De Ayer, Hoy Y Siempre.JPG

そのほか、ケーナのリカルド・アルバレスとの共演やクアルテート編成のアルバムもあり、
新しいところでは、02年作でも衰えぬチャランゴのプレイと滋味あふれる歌声が聴けます。
ただ残念なのは、ハイメが孤高の存在となってしまい、
ハイメを継ぐチャランゴ奏者がペルーから現れなくなってしまったこと。
そのせいで、チャランゴの主流がペルーからボリビアへと移ってしまった面も否めませんね。

Jaime Guardia "MI VOZ Y MI CHARANGO" Carlos Guardia no number
Jaime Guardia "CHARANGO PERUANO EN MEXICO" Carlos Guardia no number (1976)
Jaime Guardia "EL CHARANGO DEL PERÚ" Iempsa CD91150171
Conjunto Lira Paucina, Jaime Guardia "CONJUNTO LIRA PAUCINA / JAIME GUARDIA Y SU CHARANGO" Iempsa CD91150077
Jaime Guardia & Ricardo Alvarez "CON TODO MI CORAZON" Disco Independientes CD9030
Cuarteto Musical Pauza "EL SENTIR DEL PUEBLO" Disco Independientes CD9047
Jaime Guardia "DE AYER, HOY Y SIEMPRE" Carlos Guardia no number (2002)
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黄金のモレーナ ルーチャ・レジェス [南アメリカ]

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ペルー、クリオージョ音楽の名歌手で忘れられないのが、ルーチャ・レジェスです。
ぼくが大のごひいきにしているエバ・アイジョンが、
範とした歌手だということを知り、後追いで聴いてみたんですね。

ルーチャの70年の大ヒット曲“Regresa” は、エバの重要レパートリーとなっていますが、
そのオリジナル・ヴァージョンを聴いて、なるほどとナットクしました。
ルーチャのすすり泣くような歌い回しなど、
エバはルーチャのヴァージョンを忠実に歌っていたことが、これを聴くとよくわかります。
伴奏のアレンジもそっくりそのままで、再演といってもいい仕上がりとなっています。
ルーチャの“Regresa” は“LA MORENA DE ORO DEL PERU” の1曲目に、
エバの“Regresa” も、93年の名盤“GRACIAS A LA VIDA” の1曲目に収録されています。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2010-11-14

胸の奥によく響かせて発声する声量の豊かさと、
息の抜きどころやブレスの巧みさなど、コントロールの効いた節回しは絶品です。
哀切の表現に卓抜した情感を醸し出す、ルーチャの歌唱力にウナらされます。
「黄金のモレーナ」の異名をとったルーチャですが、そのデリケートな哀切表現は白人的といえ、
アフロ系のフェステーホなどを聴いていると、
白人のエバの歌いぶりの方がよっぽど黒っぽく感じます。

リマの貧民街に生まれたルーチャは、生後6ヶ月で父親と死別し、
母親と16人の兄弟との生活は困窮を極めたといいます。
養護施設で8年を過ごし、25歳に歌手デビューした後も、
病弱のため歌手活動も途切れ気味でしたが、
病気と戦いながらレコード制作を続け、人気歌手として貧しい人々のあこがれの存在となりました。
しかしその栄光も、70年の大ヒット曲“Regresa” からわずか3年という短い期間で、
心臓発作のため37歳という短い生涯を閉じました。

ルーチャ・レジェスのオリジナル・アルバム6タイトルは、
97年にまとめてCD化されましたが、いずれ劣らぬ名作揃いです。
濃密な情感あふれる歌がルーチャの持ち味といっても、“LA FLOR DE LA CANELA” では
あっさりとした歌いぶりが魅力的となっていて、彼女の歌唱表現の幅の大きさがよくわかります。
そういえば昔、家で“LA FLOR DE LA CANELA” を聴いていると、
まだ7歳と3歳だった娘が手を取り合い、タンゴの真似をしておどけて踊っていたのを思い出します。
しかし、やはり圧巻は、自分の死期を覚悟して歌った「私の最後の歌」をタイトルとした
“MI ULTIMA CANCION” でしょうか。まさしく絶唱というべき歌唱に、胸を打たれます。

Lucha Reyes
"LA MORENA DE ORO DEL PERU" Discos Hispanos Del Peru RH.10.0150
"UNA CARTA AL CIELO" Discos Hispanos Del Peru RH.10.0151
"MI ULTIMA CANCION" Discos Hispanos Del Peru RH.10.0152
"SIEMPRE CRIOLLA" Discos Hispanos Del Peru RH.10.0154
"EL SHOW DE LUCHA REYES" Discos Hispanos Del Peru RH.10.0195
"LA FLOR DE LA CANELA" Discos Hispanos Del Peru RH.10.0197
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マンタロ渓谷を越えて アリシア・マギーニャ [南アメリカ]

Alicia Maguina.jpg

アリシア・マギーニャは、ペルー、クリオージョ音楽のヴェテラン女性歌手。
クリオージョ音楽名盤中の名盤“VIVA... LA MARINERA” でも1曲歌っていますが、
そこで聞ける美声のソプラノ・ヴォイスは味わいに乏しく、あまり好みの歌手ではありませんでした。

そんなアリシアに対する認識を改めさせられたのは、ウァイノを歌ったこのアルバムがきっかけ。
お祭りの華やかな衣装をまとったアリシアの写真に惹かれて買ったんですけど、
アリシアの声がウァイノとすごくマッチしていて、
ペルー山岳地帯の民俗色豊かな伴奏ともども、すっかり気に入ってしまいました。
最近ウァイノのペルー盤CDがいろいろ入荷していますけど、
このCDは見落とされているらしく、日本に入っていないのが残念です。

アリシアはこのアルバムで、さまざまなスタイルのウァイノを歌っています。
ギコギコ弾くヴァイオリン、ぶりぶり鳴るブラス、硬く太いアルパの弦の響きが
渾然一体となったバンダ・スタイルの、オルケスタ・ティピカ・デル・セントロの伴奏あり、
マンドリンが明るい響きを奏でる舞曲ウァイラスや、
名手ハイメ・グアルディアのチャランゴをフィーチャーして、
ギターとケーナが伴奏をつけるアヤクーチョのウァイノなどなど、
ペルー山岳音楽のショーケース的なアルバムともいえます。

アリシアがウァイノまで歌いこなす人だとは知りませんでしたが、
本人のライナーによれば、6歳の時にはじめてインディヘナとウァイノを知り、
インカの伝統遺産に心惹かれてウァイノを学ぶようになったんだそう。
38年生まれのアリシアが、ウァイノをレパートリーに加えるようになったのが57年、
イエンプサにウァイノを録音し始めたのが68年とのこと。
本作には2000年にアリシアが自作したウァイノ2曲も含まれています。

ジャケットを眺めていると、中央アンデスに位置するワンカヨの美しく豊かな田園風景や、
マンタロ渓谷で繰り広げられるお祭りが目に浮かぶようですね。
あー、行ってみたいなあ。世界には見てみたいところがいっぱいです。
土着のウァイノ特有のかん高い女性歌手の声とも違った、端正なアリシアの歌声は、
クリオージョのレパートリーを歌っている時より、断然魅力的です。

Alicia Maguiña "LA SANTA TIERRA" Iempsa IEM0619-2
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初期グアコの6CDボックス [南アメリカ]

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ビッグ・ニュースですっ!
ベネズエラ最強のトロピカル・バンド、グアコの初期6作品が
オリジナル・アルバム仕様でボックスCD化されました!

グアコといえば、90年代に日本でも注目を集めたベネズエラのスーパー・グループ。
60年代半ばに学生バンドとして結成され、
ベネズエラのスリアで演奏される祝祭音楽ガイタをベースに、
68年のデビュー作以来、サルサ、ファンク、メレンゲ、クンビアなど
さまざまな音楽を吸収しながら、グアコ流ポップ・ガイタをクリエイトし続け、
昨年リリースした37作目の“GUAJIRO” に至るまで40年以上の活動をほこる、
名実ともにベネズエラのトップ・グループです。

今回CD化されたのは、グアコのその長いキャリアの初期にあたる、
78年の11作目から、83年の16作目までの6タイトル。
この時期のグアコのLPでぼくが持っていたのは81年作だけですが、
その81年作をめちゃ愛聴しただけに、その前後の作品をまとめて聴けるのは、嬉しい限り。

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古い順にアルバムを聴いていくと、78年盤は冒頭から、
歯切れよいクアトロのリズム・カッティングで快調にスタート。
タンボールなどの太鼓にチャラスカ(金属性ギロ)、マラカスほか各種打楽器の演奏にのって、
リード・ヴォーカルとコーラスがかけあう伝統的なガイタのファーマットに沿ったサウンドが聞けます。
フェンダー・ローズやベースも入っていますけど、
こんな伝統寄りのアンプラグドなサウンドは今のグアコからは考えられず、
初期ならではの貴重な演奏といえます。

今回の復刻はすべてストレートCD化となっていますが、78年盤と79年盤のみ、
アルバム・ラストにボーナス・トラックとしてコメディが挿入されているのが、珍味。
長いやりとりの漫才のあと、爆笑する観客の笑い声が入り、
グアコの演奏が短く挿入されるんですけど、これって、どういう意味なんでしょう?
こんなユニークなボーナス・トラックは初めてです。

そして79年盤からは、サウンドがぐっとポップになり、
80年盤ではトロピカル・ポップの名にふさわしいサウンドへと変身しています。
“Disco Guaco” なんて曲まであり、エレキ・ギターのリズム・カッティングを強調した
ラテン・フュージョン・ディスコといった仕上がりは、時代を感じさせますね。
全体にフュージョンぽいアレンジが目立つようになり、リズム・アレンジがなかなかに鮮やかです。

そしてさんざん愛聴した81年盤は、チャランガを消化したユニークなアルバム。
はじめて聴いた時は、まるでマラヴォワみたいとびっくりしたものでした。
ガイタのリズムが弾けるなか、ヴァイオリン2台にヴィオラ、チェロの弦セクションが流麗に絡み合い、
野性味と優美さを併せ持つダンサンブルな演奏を繰り広げます。
フルートとエレキ・ギターがユニゾンでリフをキメたり、手の込んだリズム・アレンジを施しつつ、
イキオイのある演奏は手のつけられないほどで、
有無を言わさずダンスの渦に巻き込まれてしまいます。

82年盤は81年盤の方向性をさらに推し進め、完成度を高めた傑作。
ゲストでミルトン・カルドーナがコンガのソロを叩く曲もあります。
弦セクションが加わったのはこの2作のみで、83年盤になるとホーン・セクションへと交替。
非ガイタの曲も増え、無国籍トロピカル・ダンス・ミュージックへと変身しつつある、
過渡期的な作品といえます。

日本でグアコが評判となったのは、もう少し後の“MADURO”(87)あたりからですが、
それ以前の、時代の流行を敏感に取り入れ、
自在にそのスタイルを変えてきたグアコの変貌ぶりが楽しめる、優れモノのボックスです。
6枚組とは思えぬ破格の安さも、お財布に優しくって嬉しいですね。

のちにグアコは、伝統色の強いガイタ・アルバムのシリーズ“GUACO CLÁSICO” を
92~95年にかけ3タイトル発表した後、
吹っ切れたかのようにローカル色を払拭し、世界戦略へとひた走ります。
近年のすっかりガイタを忘れてしまった、コマーシャルなトロピカル・バイラブレ路線には、
正直がっかりしているので、この時代のグアコが、ぼくにはまばゆく映ります。

Guaco "GUACO 78" Velvet 101800 (1978)
Guaco "GUACO 79" Velvet IG10.003 (1979)
Guaco "GUACO 80" Velvet IG10.021 (1980)
Guaco "GUACO 81" Velvet IG10.037 (1981)
Guaco "GUACO 82" Velvet IG10.059 (1982)
Guaco "GUACO 83" Velvet LPJ3223 (1983)
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バルス・ペルアーノのボサ・ノーヴァ的展開 チャブーカ・グランダ [南アメリカ]

Lo Nuevo de Chabuca Granda.jpg

ごめんなさい。
チャブーカ・グランダの未発表曲集ということで、ずっと「パス」してたんです。
チャブーカのアルバムは手元に何枚もあるし、
なにも未発表作まで手を出さなくても…、な~んて思ってたのでした。

ところが、日本盤が出たのを機に聴いてみたら、びっくり。
こんなチャブーカ、聴いたことない!
こりゃ異色中の異色作じゃないですか!
未発表作なんてことより、異色作かつ問題作ということを強調すべきアルバムですね。

なにが異色って、いきなりフランス語で歌い出す1曲目に、
えぇ?これがチャブーカなの?と驚かされるわけですけど、
問題はまるっきりボサ・ノーヴァ・スタイルのギター。
いつものバルス・ペルアーノとはまったく異なるタイプのギターです。
これ、いったい誰が弾いてるんでしょうか。
フラット・フィフス、フラット・ナインスやディミニッシュを多用するコード使いは、
どう考えてもオスカル・アビレスとかじゃないですよねえ。

まるでデモのようなラフな音質のこの録音、どういう経緯で残されたんでしょう。
15曲中13曲は自作とはいえ、
残りの2曲はアルゼンチンのフォルクローレとアストラ・ピアソラの曲という選曲もナゾで、
ひょっとしてアルゼンチン録音なのかもしれませんね。
じゃあギターは最近日本でも人気のアルゼンチン人ボサ・ノーヴァ・ギタリスト、
アグスティン・ペレイラ・ルセーナか、なーんて、まさかね。
一番ありえる線は、68~75年にチャブーカのギタリストだったルーチョ・ゴンサレスでしょう。
ルーチョはジャズ的なコードを使ったギターも弾きましたからね。

チャブーカのヴォーカルは、アマチュアぽいところが物足りなくもあるんですけど、
こういうボサ・ノーヴァぽいシャレたサウンドだと、ぴたりハマりますね。
つい、いつものバルス・ペルアーノより魅力的かも…と、口がスベっちゃいそうです。

Chabuca Granda "LO NUEVO DE CHABUCA GRANDA" Iempsa IEM0572-2 (1968)
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ムシカ・クリオージャに挑戦したポップス・シンガー ホルヘ・パルド [南アメリカ]

Jorge Pardo.jpg

ペルーのクリオージョ音楽というと、
サヤリー・プロダクション制作のグァルディア・ビエハ世代は別格として、
エバ・アイジョン世代のヴェテランは今も元気に活躍していますけど、
もっと若い世代となると、とんと現れてこないですね。
今のリマの若者はロックやヒップ・ホップに夢中だし、
クリオージョ音楽は爺さん婆さん世代の音楽と受け止められているのか、
若手がなかなか育っていないのが実情のようです。

といっても、クリオージョ音楽の後継者たる若手がまったくいないわけではなく、
ぼくがごひいきにしている、バルトーラという女性シンガーもいます。
そしてつい最近手に入れたホルヘ・パルドという男性シンガーの新作が、
なかなか目を見張る出来で、ちょっと話題にしたくなりました。

タイトルは『伝統ペルー音楽』とそのものずばり。
サブ・タイトルに『アルトゥーロ・サンボ・カベーロとオスカル・アビレスに捧ぐ』とあるとおり、
二人のコンビのレパートリーを取り上げた内容となっています。
71年生まれというホルヘ・パルドは、
これまでバラーダやソウルなどのポップスを歌ってきた人で、歌唱力は確か。
伝統的なレパートリーと真摯に向き合った緊張感が、歌から伝わってきます。

音楽監督はギタリストのティト・マンリケが務め、コンテンポラリーな味付けなどせず、
オーソドックスなクリオージョ音楽のスタイルを貫く直球勝負ぶりが、意気に感ずですね。
ブック形式のCDの分厚い表紙を開けると、
最初のページにオスカル・アビレスの賛辞が載っています。
オープニングのSPノイズふうのSEの向こうから
ギターの調べが聞こえてくる演出も、なかなか気が利いていますね。
ホルヘの丁寧な歌唱にも若い色気が溢れていて、ゾクリとさせる場面も多数あって、
庶民的な味わいとは別物とはいえ、
ポップス・シンガーが歌うクリオージョ音楽も悪くないと思わせる説得力があります。
10曲36分足らずという内容ですが、これは入魂の作品と呼べるんじゃないんでしょうか。

Jorge Pardo "MÚSICA TRADICIONAL PERUANA : HOMENAJE A ARTURO ZAMBO CAVERO & OSCAR AVILES" Play Music & Video PMV106 (2010)
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アフロ・ペルヴィアン・セッション ペーニャ [南アメリカ]

Pena.jpg

今年はペルーの当たり年ですね。
またまたアフロペルー音楽の注目の新録が出ました。

リリース元がちょっと変わっていて、辺境ファンクのコンピなんかを出している、
ミネアポリスのシークレット・スタッシュというインディ・レーベル。
レア・グルーヴ掘りのDJが主宰しているレーベルが、
なんでまた伝統的なアフロペルー音楽のセッションなんて敢行したんだろ。
そのあたりの事情はよくわかりませんが、タイトルが印刷された帯封を外すと、
木製ケースの中にライナーとともに、CDとDVDが納められているという、
やたらと凝った装丁になっています。

録音機材を抱えてリマ入りしたプロデューサーとギタリストが、
学校の教室や居間、バルコニー、公民館などといった場所で録音してきたのだそう。
ペーニャというのがこの録音のセッション名なのか、アンサンブル名なのか判然としませんが、
録音に参加したのは24歳から65歳までの音楽家たちで、
ギター・ソロやギターとカホンなどのインスト曲と、
弦楽器と少数の打楽器の伴奏による歌曲が半々ずつ収録されています。

先々月に書いたデ・ロンペ・イ・ロハのような濃厚なアフロペルー音楽ではなく、
もっと端正で、洗練された音楽性の内容となっているのが特徴でしょうか。
スキャットを交えながら歌う若い女性歌手によるフェステーホには、
都会的なセンスが強く感じられ、その素直で伸びやかな歌声は、
先日観たばかりのロベルタ・サーにも共通するイマドキの感覚が感じられますね。
インスト・ナンバーについても、
フィンガリングの美しい響きがひときわ印象的な7・15曲目のギター・ソロでは、
ぼくの大好きなブラジルのギタリスト、マルコ・ペレイラがふと思い浮かびました。

収録時間36分ほどのDVDの方は、このセッションのメイキング・ヴィデオで、
リマ滞在1週間の中身の濃い記録となっています。
居間やバルコニーなど、さまざまな場所での録音風景ばかりでなく、
レコード会社のマスターテープ保管庫を訪ねたり、
レコード・ショップで、ニコメデス・サンタ・クルースやペルー・ネグロのアナログを掘ったりと、
コレクターなら思わず、おおっと前のめりになってしまいますね。

CD未収録の見所としては、ロック・シンガーのミキ・ゴンザレスが登場するところでしょうか。
ミキはエレキ・ギターを手に、アフロペルー音楽の古いギター・スタイルと
現代とのスタイルとの違いを実演して見せてくれます。
ミキがアフロペルー音楽の伝統もちゃんと消化したミュージシャンだということを、
あらためて再確認しました。

ヴィデオ終盤のレストランでのパーティーのシーンでは、
男女二人のタップ・ダンスや、蝋燭をもって踊る男女のダンスのシーンが披露され、
プロデューサーの熱のこもった解説(英語です)とともに、
アフロペルー音楽の良き入門編としても楽しむことのできる、
充実したドキュメンタリーとなっています。

[CD+DVD] Peña "PEÑA" Secret Stash no number (2010)
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芸歴40周年 エバ・アイジョン [南アメリカ]

Eva Ayllon En Japon.JPG    Eva Ayllon_En Vivo.JPG
   
ペルーのエバ・アイジョンが、今年で芸歴40周年を迎えました。
まだぼくは聴いてないんですが、ペルーでは記念アルバムもリリースされたようです。
昨年のアルバム“QUIMBA, FÁ, MALAMBO, ÑEQUE” でも
堂々たる歌いっぷりを披露してくれていたので、
どんな仕上がりになっているのか、楽しみです。

セリア・クルース亡き後のラテン世界で、
エバ・アイジョンが最高の女性歌手とぼくは信じていますが、
十年くらい前に比べれば、声に潤いがなくなって粗さが感じられるようになったのと、
一部の曲で不自然な力みが感じられたりと、
多少大味な面もみられるようになったのは少し気がかりです。
ヴェテランらしい円熟が臭みとならないよう、
年齢との折り合いを上手くつけていってもらいたいですね。

そういう意味でいうと、エバが最高の絶頂期にあった
15年前にライヴ体験できたのは、本当にラッキーでした。
1995年8月15日、川崎・幸文化センターで観たエバのステージは、
ぼくが生涯観たライヴのなかでも五本指に入る、忘れられないものです。

そのコンサートは在日ペルー人が招聘したもので、
工場などで働くペルー人たちの盆休みをあてこみ、
8月13日群馬県大泉町、15日川崎市幸区、17日静岡市の日程で行われたもの。
なんせ日本人なんか相手にしていないコンサートだから、
お客さんはペルー人のみ。日本人なんてぼく以外に10人いたかどうかでしたね。
会場には看板や垂れ幕はおろか、ポスターひとつ貼ってなかったので、
ペルー人が大挙して集まっているのに、近所の住民が不審な目を向けてましたっけ。

幸文化センターは当時ぼくが住んでいた鶴見から車で10分くらいのところで、
ぼくはエバに贈る花束を用意して開演5時間前に行き、スタッフたちとおしゃべりをしてたんですが、
開演を迎えるまでちょっとしたひと悶着がありました。
なんでも前々日の群馬でのコンサート終了後、ギャラの件でモメたとかで、
メンバーたちは会場入りしたものの、エバは今日は歌わないとおかんむり。
開演前のサウンド・チェックにも現れないばかりか、
開演30分前のブザーが鳴っても現れなかったのです。

スタッフはまっつぁおで右往左往、ホテルでエバを必死に説得し続け、
「中止」の文字もちらつき始めた開演予定時刻を1時間すぎたところで、
エバがようやくタクシーで到着。
楽屋入りしてあっという間に着替えたかと思ったら、到着して3分とたたずに舞台に立ち、
歌い出した早業に、ぼくは舞台袖からただ呆然、口アングリでした。

Eva Ayllon_Live 1.JPGEva Ayllon_Live 2.JPG

散々待たされたペルー人のお客さんたちは、
のっけから興奮のるつぼ。
ぼくもあわてて楽屋裏から会場へ向かうと、
自分の席がない! 
チケットには「お列31番」とあるのに、
座席番号は25番までって、おい、おい。
まー、ラティーノらしいお仕事ですこと。
席はけっこう空いてたので、
問題はぜんぜんありませんでしたが。

そうして始まったコンサートは、
そんなトラブルをおくびにも出さない、
それは見事なものでした。
メンバーとのかけ合いで盛り上げる
ステージングの旨さ、観客のあしらい方は、
まさに女王様でした。
ステージ終了後、無事エバに花束を渡すこともでき、
ツーショットで撮った写真も宝物となりました。

Eva Ayllon_Live 3.JPG

そんなエバの15年前のステージを思い出させてくれるのが、
06年8月2日でのハリウッド・ライヴを収めたこのDVDです。
オープニングが94年の“PARA TENERTE”収録の“Andar Andar” で、
ひときわ大きな歓声を受ける“Regresa” は“GRACIAS A LA VIDA”収録曲と、
やっぱりあの当時がエバの黄金期だったことを象徴しているかのようです。

19950815_Eva Ayllon_Gracias A La Vida.jpg   19950815_Eva Ayllon_Para Tenerte.jpg

しかしこのDVDは、日本で観たステージよりショーアップされていて、
フェステーホではぴちぴちの肢体がまぶしい若い女性ダンサー4人が舞い、
パーカッショニストの二人が見事なタップを披露する場面や、
アレックス・アクーニャも加わり、カホンを4人で競演するなど、見せ場がたっぷりです。
レパートリーも“Toro Mata” “Fina Estampa” の名曲から、
オドロキのEW&Fの“Fantasy” まで、114分たっぷりと楽しめます。

エバ・アイジョン 1995年日本公演 チラシ
[DVD] Eva Ayllón "EN VIVO : LIVE FROM HOLLYWOOD" Nemo Presents no number (2006)
Eva Ayllon "GRACIAS A LA VIDA" Discos Independientes CD9013 (1993)
Eva Ayllon "PARA TENERTE" Discos Independientes CD9036 (1994)
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コロンビアのお祭り音楽 ペドロ・ラサ [南アメリカ]

Pedro Laza.jpg

ペニャランダと一緒に見つけたのが、ペドロ・ラサのアルバム。
ヴィンテージ時代のコロンビア音楽が見直されるきっかけとなった、
イギリス・サウンドウェイ盤“COLOMBIA!: THE GOLDEN YEARS OF DISCOS FUENTES”の
ジャケットを飾った人といえば、若い人にもわかってもらえるはず。

ペドロ・ラサとペラジェーロスのアルバムはLP時代にもたくさんありましたけど、
ぼくはペドロ・ラサとバンダ名義の本作がお気に入りでした。
いかにもラテンな雰囲気の美人ジャケも、なかなかいいでしょ?
まさかこのアルバムがストレートCD化するとは思いもしなかっただけに、大カンゲキ。
クレジットによると09年にCD化されたようですが、
編集盤中心のフエンテス盤CDで、ストレート・リイシューされたのって珍しいんでは。

60年代頃のペドロ・ラサとバンダの編集CDを聴くと、
オーケストラによるきちっとアレンジされた端正なダンス・サウンドで、
いかにもフエンテスのハウス・バンドらしいプロっぽい演奏を繰り広げていますが、
本作のなまなましさは、それとは対極のもの。

太鼓、シンバル、カウベルが生み出す強烈なリズムに加え、
ブラスがぶんちゃか、ぶんちゃかと派手なグルーヴを巻き起こします。
ブラスはユニゾンやハーモニーをつけたリフを吹くばかりでなく、
思い思いのラインを鳴らしながら絡み合う、集団即興的な部分もあってスリリング。
ブラスの鳴りもなまなましく、威勢のいいかけ声もお祭りムードを高め、
聴いているだけでドキドキしてきます。

特に7分に及ぶメドレーなど、コロンビアーナ・ジャム・セッションといった趣で、
スネア・ドラムが高らかに乱打されるインタープレイが大迫力。
その一方、LPの両面ラストのヴァルスでは、ぶんちゃっちゃっ、ぶんちゃっちゃっと、
ヨーロッパ的なワルツそのものの演奏で、アフロ成分ゼロなところが面白いですね。

収録時間は31分足らずという短さですが、
ハジけるようなコロンビアのお祭り音楽を堪能できる一枚です

Pedro Laza Y Su Banda "PEDRO LAZA Y SU BANDA" Fuentes no number (1979)
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オールド・コロンビアの味 ペニャランダ [南アメリカ]

Penaranda CD.jpg

クラブ方面のクンビア・ブームのおかげで、
古いクンビアものが紛れて入ってくるなんてこともあるんですね。
会社帰りに寄った下北沢のクラブ・ミュージック系のショップで、
コロンビア・フエンテス盤の古いクンビアCDを見つけ、狂喜乱舞してしまいました。

クラブ系のセレクト・ショップなんて、めったに足を踏み入れないんですけど、
たまにはメンドくさがらずにチェックしてみるもんですねえ。
こんなお宝が見つかるとは、期待もしてなかっただけに、どひゃーてなもんです。
若者が集うお店に背広姿のオヤジが立ち寄ったのは、
かなり場違いぽかったですけど、んなこたぁかまっちゃらんない。

「それにしても、よく入ってきたなあ、お前。」
思わずCDにつぶやいちゃいましたよ。
コロンビアのフエンテス盤なんて、ここ十年くらいぜんぜんお目にかかりませんでしたからね。
ペドロ・ラサやコラレーロス・デ・マハグァールの新しい編集盤CDが出てたこともツユ知らず、
収穫たんまりでホックホク。なにより嬉しかったのが、ペニャランダのCDを発見できたことでした。

二十年前くらいでしたっけ、フエンテス盤のオールド・コロンビアもののCD化が始まった時、
なぜかペニャランダだけはCD化されずに、がっかりしてたんでした。
1907年バランキージャ生まれのホセー・マリア・ペニャランダは、
SP時代から活躍する歌手兼アコーディオン奏者。
かつては数多くのLPを出していたのに、
フエンテス設立50周年記念の8枚組アルバムにも1曲も選曲されないなど、
完全に忘れられた存在となっていました。

Penaranda.jpg

ペニャランダはフエンテス初のLPアーティストでもあり、
記念すべきレコード番号の1番を飾ったそのレコードは、
お色気たっぷりのジャケも嬉しい、ぼくの長年の愛顧盤でした。
そのペニャランダがまったく忘れ去られているのは、残念でならなかったのです。

そんな思いをしてただけに、95年にこんなベスト盤CDが出ていたとは嬉しい限り。
しかも件のレコード番号1番のLP12曲中10曲を収録した選曲で、
ペニャランダの軽快なアコーディオン演奏による、
パセーオ、メレンゲ、パランダがたっぷり詰まっていて大満足。
あっけらかんとした歌いっぷりには庶民的な味わいが溢れ、
スクレイパーをせかせかと細かく刻むハチロクのビートも心地いいったらありません。
時代が下った録音では、ベースが加わってツー・ビートを強調して、
バジェナートのルーツをうかがわせるところもあって、なかなかに興味深いのです。

ところで、このお店に通うような若い人で、ペニャランダを買う人っているんでしょうか。
ペニャランダを知る若者なんているわけがないから、
ヴィンテージものを聴いてみようという人がいるかどうかってことですけど、
それがちょっと気になりますね。

Peñaranda Y Su Conjunto "SUS GRANDES EXITOS - VOL.1" Fuentes D10200
[LP] Peñaranda Y Su Conjunto "PEÑARANDA" Fuentes FLP001
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アフロペルアーナのコク デ・ロンペ・イ・ロハ [南アメリカ]

De Rompe Y Raja_EL RETORNO.jpg   De Rompe Y Raja_DIASPORA NEGRA.jpg

なんだかここのところ、ペルーがきてますねえ。
サヤリー・プロダクションによるクリオージョ音楽の珠玉のようなアルバムが続いたと思ったら、
今度はアフロペルー音楽の逸品を見つけました。

95年、アフロペルー音楽の普及を目的に北カリフォルニア在住のペルー人によって
結成されたグループ、デ・ロンペ・イ・ロハのアルバムで、
北カリフォルニアの彼らの自主レーベルから2タイトル、リリースされています。
01年に出たデビュー作“EL RETORNO” は、フェステーホ、ランドー、サマクエーカ、アバネーラを、
ギター、カホン、キハーダほか打楽器の伝統的な編成で歌ったオーセンティックな内容。
混声コーラスが実に味わい深く、これぞアフロペルー音楽の神髄といった仕上がりとなっています。

そして、このデビュー作の翌年から彼らは新たなプロジェクトに取りかかり、
昨年ついに2枚組の大作“DIASPORA NEGRA” を完成させました。
8年をかけただけのことはある、たいへんな力作です。
89年に渡米したリマ生まれの女性ダンサーで芸術監督のガブリエラ・シオーマと、
打楽器奏者で音楽監督のペドロ・ロサーレスがプロデュースしたこのアルバム、
デビュー作同様フェステーホ、ランドー、サマクエーカなどのレパートリーを繰り広げているんですが、
デビュー作のオーセンティックな路線を維持しつつ、現代的な感覚のサウンド・アイディアを施し、
デビュー作をはるかに凌ぐ充実した内容に仕上げています。

たとえば、トロンボーンを加えたディスク1の4曲目のサウンドは、
どこかウィリー・コローンを思わせますし、
ディスク1の6曲目でマリンバの音色を模したキーボードをフィーチャーしたのも、
なかなか洒落たアイディアです。
カホンほか打楽器のみの伴奏をバックに、男気たっぷりのヴォーカルが交叉する
ディスク1の7曲目のフェステーホに次いで、8曲目のランドーでは一転、
泣きのヴァイオリンをフィーチャーした泣き節となるところなど、なかなかニクイ演出となっています。
さらにディスク2の2曲目では、ジャズ・ギターとエレキ・ベースを加えて印象的なリフを作るなど、
さらりとコンテンポラリーなアレンジで聞かせるセンスもいいですね。
こうした多彩なアイディアが、
アフロペルー音楽の輪郭をくっきりと強調するのに成功しているわけです。

レコーディングは1曲を除いてカリフォルニアで行われていますが、
ミックス、マスタリングはペルーで行われています。
ペルー本国でも、これほど意欲的なアフロペルー音楽のアルバムはめったにお目にかかれず、
デ・ロンペ・イ・ロハの活動が貴重なばかりでなく、その成果は功労賞ものです。
こういう本格的なのを聴くと、味気ないスサーナ・バカなんか、とても聴けなくなりますよ。

アルバムを通じて痛感するのは、
アフロペルー音楽の<黒っぽさ>にもいろいろあるなあっていうこと。
リズムはアフロ系でも、歌はムラート感覚が強いものがあったりと、
その<黒っぽさ>には、さまざまなグラデーションがあることに気付きます。
一方、混淆音楽であるクリオージョ音楽でも、
黒人歌手が歌うヴァルスなどには、もろアフロ系といった強烈な黒っぽさを感じさせるものもあり、
こうした混淆の複雑さこそに、ペルー音楽独特の深いコクの秘密がありますね。

De Rompe Y Raja "EL RETORNO" no label no number (2001)
De Rompe Y Raja "DIASPORA NEGRA Ⅰ&Ⅱ" no label no number (2009)
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天性の声 アルトゥーロ・サンボ・カベーロ [南アメリカ]

CONTIGO PERU.jpg

あぁ、もう1年が経ってしまったんですね。
去年10月9日に68歳でこの世を去ったアルトゥーロ・サンボ・カベーロ。
昨年CD化された78年作がいわば追悼作ともなってしまったわけですが、
アルバムを聴きながら、あらためて涙を誘われました。

アルトゥーロ・サンボ・カベーロのアルバムに駄作はないといっても過言ではありませんが、
さすがに髪が真っ白になってしまった晩年の録音は、やや声に衰えも感じられました。
しかし78年というこの頃の録音は、まさに脂ののったすばらしいノドを聞かせてくれます。

胸の奥からこんこんと溢れ出る太く逞しい、豊かな発声。
どんなに張り上げて歌おうとも、その声はオペラ歌手のように十分にコントロールされていて、
コクと艶のある響きはビクとも変わることがありません。
その天性ともいえる声の才能が十二分に発揮された、珠玉のようなアルバムです。

タイトルにもなっているオープニング曲の“Contigo Peru” は、
クリオージョ音楽の名作曲家アウグスト・ポロ・カンポスの名曲。
サンボの良き相棒であったギタリスト、オスカル・アビーレスの歯切れよいギターとともに、
クリオージョ音楽最高の演奏を聞かせてくれ、泣かされます。
サンボの歌はしょっぱい涙の味がするというか、
やるせない泣きの感情がこもっていて、聴くたびに胸に熱いものがこみあげてきます。

オスカル・アビーレスのほか、リンデール・ゴンゴーラやペペ・トーレスが伴奏を務めた曲もあり、
サンボに絡む合いの手のコーラスも含めて、その演奏ぶりにスキはありません。
セピア色のジャケットに写るサンボの表情も若々しい、
代表作に数えるべきCDがまた1枚増えました。

Zambo Cavero "CONTIGO PERU" Iempsa IEM668 (1978)
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リマのグァルディア・ビエハ [南アメリカ]

De familia Pureza de una tradición Vol I. Valdelomar - Dávila.jpg   De Familia Pureza de un Tradición. Vol II. Castillo - Terry.jpg

サヤリー・プロダクションが“LA GRAN REUNION” シリーズの前に手がけた、
“DE FAMILIA” シリーズの2枚のアルバムをはじめて聴いた時は、それは大カンゲキでした。
オールド・リマのヴィンテージなクリオージョ音楽が、21世紀の今聴けるだけでも驚きなのに、
それがこれほどいきいきと響くのだから、奇跡的にすら思えたものです。

そのサヤリーの記念すべき1枚めが、バルデロマール家とダビラ家の音楽家たちによるアルバム。
05年から06年にかけて録音され、08年にミックスとマスタリング、
09年になって世に出るという、時間をかけてじっくりと制作されたものです。
バルデロマール家の3人が歌・コーラスと打楽器を担当し、
ダビラ家の3人がギターの伴奏を務め、クリオージョ音楽のグァルディア・ビエハ時代ともいえる、
30年代から代々伝わってきた歌を披露してくれます。

古いマリネーラ・リメーニャに特徴的な、
豊かな声量で遠くへ投げ放つように声を張り上げる、ヴォーカルのダイナミクスが格別。
年長の古老の枯れた声もたまらない味わいがあって、胸に迫ります。
現在ではほとんど聞かれなくなったカスタネットが使われているところも、また泣かせます。
本作にエンハンストで付いている14分を超すヴィデオを観ると、
当意即妙なやりとりに、もっとも純度の高い大衆音楽の理想型を見るようで、
これこそグァルディア・ビエハという思いがします。
グァルディア・ビエハとは、伝統の守護者や守旧派といった意味で、
旧い世代のタンゴの音楽家を指すのと同じ言葉。
ブラジルのヴェーリャ・グァルダと同じ意味ですね。

そしてもう1枚は、カスティージョ家とテリー家の音楽家たちによるアルバム。
歌・コーラスを務めるカスティージョ家は、二人の古老とその子供で、
ギターを担当するテリー家の3兄弟は、カスティージョ家の子供と同世代。
前のバルデロマール家とダビラ家と比べると、ぐっと平均年齢が下がったせいか、
若々しい潤いに満ちた歌声が中心となっていて、歌の表情もぐっとまろやか。
前のアルバムが古典時代の再現ならば、こちらは伝統の継承をテーマとしているように聞こえます。

どちらのアルバムも、全曲歌詞入り、カラー写真満載のブックレットが付いていて、
愛情深く、丁寧に制作されています。
リマの街角に暮らす市井の人々が継承してきた伝統が、ひしひしと伝わってくるアルバム、
ホンモノの味わいを求める人に、ぜひおすすめしたいですね。

Familias Valdelomar Y Dávila "DE FAMILIA : PUREZA DE UNA TRADICIÓN" Sayariy Producciones/Enjundia 7753218000029 (2009)
Familias Castillo Y Terry "DE FAMILIA : PUREZA DE UNA TRADICIÓN" Sayariy Producciones/Enjundia 7753218000043 (2009)
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2010年ベスト・ラテン・アルバム ロス・グァルディアネス・デ・ラ・ムシカ・クリオージャ [南アメリカ]

Cristal Herido.jpg

ようやく秋の気配が感じられるようになってきた今日この頃。
ペルーのクリオージョ音楽を聴くのに、いい季節になってきましたよ。
二十年ぐらい前、ペルーのイエンプサ盤が日本へ大量に入ってきて以来、
とんとご無沙汰になっているという人も多いんじゃないんでしょうか。
若い方だと、クリオージョ音楽って何?という人も多いかも知れません。
そんなみなさんにおすすめしたいのが、サヤリー・プロダクション制作のアルバムです。

サヤリー・プロダクションは、リマで05年に設立されたばかりの新興プロダクション。
ペルー大衆文化にスポットをあてた意欲的な作品を企画し、
これまで4枚のアルバムを制作していますが、その4枚がどれも充実作揃い。
日本ではあまり流通しておらず、その存在がほとんど知られていないようですが、
リリースされたばかりの本作が、これまた極上の逸品。
心あるラテン音楽ファンなら、ぜったい聴かなきゃの傑作です。

このアルバムをひとことでいってしまえば、「ペルー版ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」。
ペルーのリマで30年代に花開いた都市歌謡クリオージョ音楽の黄金期の味わいを、
今に伝える19人の古老たちによる、一大セッション・アルバムです。
古老だからといって、「枯れた味わい」なんてすぐに連想しちゃいけません。
なまなましくも情感の溢れる歌の数々からは、零れ落ちるオトコの色気がいっぱい。
若い女のケツを追いかけて、子供の一人や二人はまだ作っちまいそうな、
老いて盛んどころじゃない、アブないおじいちゃんぶりが、なんともよろしいですねえ。

Renacimiento.jpg

サヤリーによるこの一大プロジェクト“LA GRAN REUNION” は、
平均年齢70歳を越す彼らが元気なうちに、クリオージョ音楽の真髄を残そうと、
07年に録音が行われたもので、昨年まず第一弾“RENACIMIENTO” がリリースされ、
本作はその続編にあたります。
両方のアルバムとも、一人1曲ずつ計19曲を収録し、
ラストは参加メンバーが交互に歌うセッションとなっています。

どちらのアルバムにも64ページに及ぶ豪華ブックレットが付いていて、
写真集と呼ぶにふさわしいクォリティの写真が並びます。
“RENACIMIENTO” の方は、19人のモノクロのポートレイトでしたが、
“CRISTAL HERIDO” の方はカラーで、
古老たちのいきいきとした表情を捉えたスナップ・ショットがずらり。
CDを聴きながらページをめくると、音楽の味わいがさらに倍加します。

本録音後、すでに19人のうちの4人が他界してしまい、
このプロジェクトが本当にぎりぎりで行われたことがよくわかります。
今後サヤリーでは、本プロジェクトのドキュメンタリー・フィルムのDVD化や、
セッションに参加した古老たちのソロ・アルバムも予定しているようで、楽しみです。
ともあれ、本作は今年のベスト・ラテン・アルバムと、太鼓判を押させてもらいましょう。

Los Guardianes De La Música Criolla "LA GRAN REUNION: CRISTAL HERIDO" Sayariy Producciones/Enjundia 7753218000050 (2010)
Los Guardianes De La Música Criolla "LA GRAN REUNION: RENACIMIENTO" Sayariy Producciones/Enjundia 7753218000012 (2009)
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テクノクンビアのアイドル ルツ・カリーナ [南アメリカ]

Ruth Karina_Sangre Caliente.JPG   Ruth Karina_Sigue Mi Ritmo.JPG

ペルーにテクノクンビアという音楽があることを知ったのは、
10年前に住んでいた鶴見で馴染みにしていた、ペルー料理レストランでのことです。

店でペルーのテレビ番組を流してたんですけど、
いやー、最初に見た時のインパクトはすごかったですよ。
女性シンガーとダンサーのアマゾン裸族風コスチュームに、
はじめはあっけにとられ、次に吹き出してしまいました。
ビキニのおねーちゃんたちが、カラフルな鳥の羽を頭にいっぱい飾り立て、
腰を上下左右に揺り動かし、両足ぱっくり開いてダンス、ダンス、ダンス。
まー、お下劣♡
オヤジ涎じゅるじゅる、ガキんちょ大喜びのおばかダンスを繰り広げます。

はっきりいってそこのペルー料理、ぜんぜん美味しくなかったんですけど、
「ねー、テクノクンビアのヴィデオかけてよ」と、よくリクエストしたものでした。

テクノクンビアは、ゲリラ組織センデロ・ルミノソと政府軍との衝突が激化し、
リマへ大量に逃げ出したアンデス住民の間で生まれたチーチャが、歌謡ポップ化したものです。
アンデスの楽器をエレキ・ギターやドラムスに持ち替え、
ワイノのメロディーとクンビアのリズムをミックスしたチーチャは、80年代に大きく発展しました。
チャカロンやロス・シャピスといったスターも生まれ、
アンデス系住民の間で爆発的ヒットを呼びますが、
リマの一般市民からは、ガラの悪い連中が好む音楽と毛嫌いされていたようです。

Chacalon Y La Nueve Crema.JPG   Los Shapis.JPG

じっさいチーチャのドンだったチャカロンは殺害されてしまったし、
チーチャが聞かれる酒場では、ケンカや殺人がたえなかったといいます。
それが90年代に入り、クンビア色を強めてポップ化し、アイドル歌手も登場するようになり、
テレビの歌番組によって全国区的な人気を呼ぶようになったとのこと。
ぼくがレストランで見せてもらっていたのは、そんなヴィデオでした。

Rossy War.JPG   Agua Bella.JPG
Euforia_BAILANDO CON EUFORIA.JPG   Euforia_SEGUIMOS BAILANDO.JPG

10年前当時、蒲田に在日ペルー人たちが集まるお店があって、
テクノクンビアのCDもたくさん置いてありました。
ビキニブラ+ホットパンツ+黒革ロングブーツの姐御ロッシー・ワールや、
ガール・グループのアクア・ベジャなど、
その頃がテクノクンビアの一番華やかりし頃だったと思います。
音楽的にはチープなものですが、ぼくはエウフォリアというバンドをひいきにしていました。
ルツ・カリーナはエウフォリアの看板歌手で、
ソロ独立後にリリースしたアルバムもよく愛聴したものです。

不確かな情報ですが、ルツは01年に来日したというウワサを聞いたことがあります。
もしウワサが本当なら、観たかったですねえ。
アマゾン・コスチュームのダンサーも来たのかしらん。
最近はとんとテクノクンビアの話題も耳にすることがなくなり、新作CDも見かけません。
クラブ方面でのクンビア・ブームでふと思い出したのですが、
その後テクノクンビアはどうなったんですかね。

Ruth Karina Y Su Grupo Pa' Gozar "SANGRE CALIENTE" Iempsa IEM0416-2 (2000)
Ruth Karina Y Su Grupo Pa' Gozar "SIGUE MI RITMO" Iempsa IEM0490-2 (2001)
Chacalon Y La Nueve Crema "EL FARAON DE LA CHICHA" Horoscopo Pasteles Verdes CD001
Los Shapis "UNIENDO AMERICA" Colibri CDCOL00001450 (1994)
Rossy War Y Su Banda Kaliente "NUNCA PENSE LLORAR" Warner Music no number (1999)
Agua Bella "CARIÑO LOCO" Iempsa IEM0417-2 (2000)
Euforia "BAILANDO CON EUFORIA" Iempsa IEM0339 (1998)
Euforia "SEGUIMOS BAILANDO" Iempsa IEM0375-2 (1999)
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